診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第19章 アニメと新しい世界へ

393話 フェイク

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 桐生さんに話した日から、もうカメラマンを2名募集していた。

今回はプロのカメラマンが欲しいからねえ。
採用者が来るまでは、神崎さんと三枝さんが2名体制で撮影するそうだ。

もちろん桐生さんから、全員に「密着取材を始める」と伝えてもらっている。

「ええー??」と皆ビビっていたらしい。その調子だよ。

出来れば捧腹絶倒の場面を見たいものだ。
カメラくらいで怖がっていたら舞台でどうするんだよ。

連日3600人に見られるんだぜ。頑張れと言いたい。

俺もキーボードの練習をもっとしよう。
余裕で弾かないといけないからな。

ところで、今日の午後にまた合奏の練習があるんだよ。いやだなあ。
……行けない__と言っておこうか?

なんだか嫌な予感がする。

曲を増やされたらどうしよう?断固断るぞ。
とにかく練習に励んで、午後から合奏に行った。

3階に行ったら、また青山先生がナース達と喋っていた。

早く専攻医が来ればいいのに。
なんでそんなに暇なんだ。

俺の顔を見ると、もうニヤニヤしている。
全く‥‥‥俺をへこませたいいじめっ子に見える。

性格悪!絶対に負けるもんか。

知らん顔をして音楽室に入った。
すると、あやつも一緒に入って来たじゃないか。

どういうこと?

「何で青山先生も入って来たの?」
「いや、僕もひきますからねえ」
「は?」

ええー??なんだって?

「じゃあ、青山先生一人でやってよ。俺はやりたくないんだよ」

川瀬師長「あら、お二人とも子供みたいですよ。みんなで盛り上げないでどうするんですか?利用者さん達が“イケメンが揃った”って喜んでるんですよ。お願いしますよ。仲良く二人とも出てくださいよ」

くそーっ……。青山先生は澄まして楽しそうにしていた。

キーボードが弾けるんじゃん。なんだよ、フェイクを仕掛けたな。

歯ぎしりしている間に、もうピアノが始まってしまった。

俺も余裕が出たから、隣の青山先生の演奏を見ていたら――なんてうまいんだ!!

くそー、騙しやがったな。

余裕で俺の方を見ながら楽しそうに弾くじゃないか!その笑顔が許せん。

ああ~頭ぼりぼりしたい。

とにかく5曲が終わった。

利用者さんやスタッフがバチバチと大拍手をした。
あ~疲れた。帰る。

さっさと帰ろうとすると、
川瀬「あっ、なんか曲が増えたんでしたっけ?」と音楽療法士の岡田さんに聞いていた。

でも俺はそれを無視して、
「ごめんなさい、今から人が来るので失礼します。青山先生にやってもらってね」と言い残して逃げた。

夕方、莉子が帰って来ると、

「春ちゃん、サテでこれ預かって来たよ」と渡された。

まじかあ……。プリントを見ると、やはり増やされた曲だった。

ああ~なんだよ。もう死にたい。青山樹の野郎め!

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