渋谷ですれ違っただけなのに

スピカナ

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第7話 天使(おばさん)降臨

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 「おばさ~ん、出て来てよ。
明日はこいつんちに引っ越さないといけなくなったんだよ。
どうする? 早くなんとかしてくれよ、頼むよ」

「海斗もさ、おばさーんって呼びかけてよ。
でないと戻れないよ」

「おばさ~ん! 一生のお願いです!
俺たちを助けてくださ~い! 出て来てください、お願いします!」


「ほい、来た」

「ほら、出て来てあげたよ。
一体どうなってるの?」

天使のおばさんがひょこっと俺の横に現れた。

「へっ、びっくりした~! おばさん出てきたよ!」

「え? どこ? 見えないけど」

海斗は部屋中をキョロキョロ。

「今の声聞こえなかった?」

「何にも聞こえないよ」

「うわ~じゃあ通訳しないとダメなのか……
おばさん、助けてよ。いきなり中身が変わっちゃったんだよ」

天使「ええ~? や~だ~。
せっかくイケメンが目の前にいるのに、もったいないわよ。反対!」

ああ~もう、頭抱えた。

「どうした? なんか言われたのか?」

「せっかくイケメンが目の前にいるから、もったいないって嫌がってる」

「あははは! 面白いおばさんだな。
なんで俺には聞こえないわけ?」

「そうだよ、おばさん、彼にも聞かせてやんなよ」

天使「それは無理。波長が合わないと聞こえないよ」

「あのさ、波長が合わないと聞こえないんだって」
「へえ~そうなんだ」

「おばさん、早く元に戻る方法を聞いてきてよ!」

‥‥‥___。

なんでだか、返事もしないし......もう待ってられないわ。

「とにかく荷物作ろう。寝る時間がなくなるよ」

11時になって、ようやく目処がついた。

慌てて交替で風呂に入った。

「あのさ、ベッドが1つしかないから、お前は下に寝てくれない?」

「はあ~? 俺はベッドでしか寝たことないんだよ。
お前が下に寝ろよ」

「ああ~いやだいやだ.....」

ボンボンはなんてわがままなんだ。

しょうがないから荷物からキャンプ用の寝袋を出した。

「早く寝よう。疲れたよ。
明日目が覚めたら元通りになってるかもしれないし」

「そうだね。そうしよう。お休み」

「うん。お休み。
おばさん、明日の朝までには戻してよね。頼むよ」

天使「わかったわよ」

「へ? いたの?」

天使「だってイケメンを眺めてたっていいでしょう?
あの世にもイケメンは滅多にいないんだよね~」

「そうなんだ……分かったよ。とにかくおやすみなさい」

そのまま疲れてぐっすり寝てしまった。

翌朝、アラームで起こされた。

なんだか身体がずっしり重い。肩もこりこりだ。

顔を洗って朝食の準備。
食べ終わったら食器洗って荷物に入れないといけない。

「おい、海斗、起きろよ」

……駄目だ。寝起きが悪い。

ベッドで寝たくせに。

なんで俺にすり変わったんだよ。

俺はイケメンが好きなのに。

たまに渋谷ですれ違う、超イケメンで高身長の海斗。

絶対アルファだよ。

学内イケメンコンテスト優勝のやつ。

俺は遠くから見ていたのに、

今はベッドで俺が転がっている。
おかしいぜ。

つくづく不細工で地味だな、オレって嫌になる。

人生は何があるか分からないなあ~って……

……おばさんの口癖が移った。


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