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97話 大学・2(莉子を守る会発足)
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俺は大急ぎで仕事を終わらせて帰宅した。
莉子、ただいまー。返事がないよ。莉子の部屋を覗くと眠っていた。やっぱり疲れたんだね。もう少し寝かせておこう。
早速夕飯を仕度した。今夜はチキンの照り焼きだ。冷凍のコーンやインゲンを重宝しているので、それをソテーにして添える。今日は照り焼きの味が濃いからソテーにバターは使わない。あとはみそ汁だ。パプリカのピクルスも出す。これは活躍するよね。
食事が出来上がって、洗濯や片づけをしたら7時だ。そろそろ莉子を起こそう。食事の時間が遅くなると、莉子の胃の負担になるからだ。
莉子、起きろよ。ご飯だよ。かわいくてつい顔中にキスをする。すると、両手を差し出した。これは引っ張って起こせっていうこと?もう~しょうがないなあ~。はいはい、莉子、起きて下さいと言いながら手を引っ張って上半身を起こすと抱いてそのまま立たせる。耳元で「莉子、裸だよ」とささやくと、ぎゃっと目を開けた。あははは。引っかかったー。笑える。ふふふ。もう~!とぷんぷんしながら笑っていた。
そのままダイニングに行って座った。何を飲みたい? 「う~ん。まず水。それからアイスティーでよろしくです!」はいはい、莉子は女王様だもんな。ふっ。俺は梅酒のソーダ割だ。梅酒は自家製で、焼酎ではなくブランデーで作ったものだ。強いので少しだけ入れた。
「照り焼きチキンだね。おいしそう~」じゃあ、食べよう。野菜もしっかり食べてね。莉子は結構パクパクと箸が進んでいる。ほう、食欲があるじゃないか。へ~。調子が良くなっているんだね。やっぱり午前だけ学校と言うのが今の体力に合っているのかなあ。ところで、俺は話を聞きたくてうずうずしているんだよ。
今日は送ってもらったって言ってたけど、誰に送ってもらったの?
「えーっとね、浅田 夏輝君って言ってたかな。今日は初めて喋ったんだよね。この前、私が救急車で運ばれた時に、クラスの何人かが正門から3号館までずっと手分けして誘導してくれたんだって。
で、今日は授業が始める前に先生に時間を頂けるようにお願いして、最初に皆にご挨拶とお礼を言ったんだよ。そしたら、誰かが、今度から具合が悪くなる前に一声掛けてくれって言ってくれて、行ける人で手分けして家に送るから心配しなくていいよって言ってくれたんだよ。そしたらみんなが拍手してくれて、私はもう泣いちゃったよ......。
ううう......とまた泣き始めた。
ふっ、そうか。良かったね。俺は莉子のそばに行って抱きしめた。そんなことがあるんだね。良い友達ばっかりで本当に良かったね。なんてありがたいんだ。(虫だと言って悪かったよ。ああ~反省)
ひとしきり泣くと、また食べ始めた。ここが前とちょっと違うなあ。元気になってきているということだね。
「でね、昼休みになったら、やっぱりちょっとだるくなって、帰ろうかなあ?と思っていたら、5.6人くらいの男の子たちが集まって来て、[疲れたなら送ろうか?]って言ってくれたんだ。
で、びっくりしたんだけど、その子たちはこの前誘導してくれていた子たちで<莉子を守る会>って言うのを作ったんだって」 へっ??
「それで、その子たちは皆車で通学しているから、今度から私の回りに座ることにして、具合が悪い時は誰かが送って行くってことにしたそうよ。私、またそこで泣いちゃって・・・。詩音ちゃんや裕司君だって、いつも隣に座ってくれているのに、また一度に増えたからうれしくてうれしくてー、ああ、涙が止まらないよ~」
今度は俺が絶句した。本当に良かったなあ~。ありがたいよねえ。詩音ちゃんや裕司君に部長の3人のほかに、莉子を助けてくれる人がいっぱいいたんだねえ。本当にうれしいね。俺も感激してうるうるとしてしまったよ。
莉子、ただいまー。返事がないよ。莉子の部屋を覗くと眠っていた。やっぱり疲れたんだね。もう少し寝かせておこう。
早速夕飯を仕度した。今夜はチキンの照り焼きだ。冷凍のコーンやインゲンを重宝しているので、それをソテーにして添える。今日は照り焼きの味が濃いからソテーにバターは使わない。あとはみそ汁だ。パプリカのピクルスも出す。これは活躍するよね。
食事が出来上がって、洗濯や片づけをしたら7時だ。そろそろ莉子を起こそう。食事の時間が遅くなると、莉子の胃の負担になるからだ。
莉子、起きろよ。ご飯だよ。かわいくてつい顔中にキスをする。すると、両手を差し出した。これは引っ張って起こせっていうこと?もう~しょうがないなあ~。はいはい、莉子、起きて下さいと言いながら手を引っ張って上半身を起こすと抱いてそのまま立たせる。耳元で「莉子、裸だよ」とささやくと、ぎゃっと目を開けた。あははは。引っかかったー。笑える。ふふふ。もう~!とぷんぷんしながら笑っていた。
そのままダイニングに行って座った。何を飲みたい? 「う~ん。まず水。それからアイスティーでよろしくです!」はいはい、莉子は女王様だもんな。ふっ。俺は梅酒のソーダ割だ。梅酒は自家製で、焼酎ではなくブランデーで作ったものだ。強いので少しだけ入れた。
「照り焼きチキンだね。おいしそう~」じゃあ、食べよう。野菜もしっかり食べてね。莉子は結構パクパクと箸が進んでいる。ほう、食欲があるじゃないか。へ~。調子が良くなっているんだね。やっぱり午前だけ学校と言うのが今の体力に合っているのかなあ。ところで、俺は話を聞きたくてうずうずしているんだよ。
今日は送ってもらったって言ってたけど、誰に送ってもらったの?
「えーっとね、浅田 夏輝君って言ってたかな。今日は初めて喋ったんだよね。この前、私が救急車で運ばれた時に、クラスの何人かが正門から3号館までずっと手分けして誘導してくれたんだって。
で、今日は授業が始める前に先生に時間を頂けるようにお願いして、最初に皆にご挨拶とお礼を言ったんだよ。そしたら、誰かが、今度から具合が悪くなる前に一声掛けてくれって言ってくれて、行ける人で手分けして家に送るから心配しなくていいよって言ってくれたんだよ。そしたらみんなが拍手してくれて、私はもう泣いちゃったよ......。
ううう......とまた泣き始めた。
ふっ、そうか。良かったね。俺は莉子のそばに行って抱きしめた。そんなことがあるんだね。良い友達ばっかりで本当に良かったね。なんてありがたいんだ。(虫だと言って悪かったよ。ああ~反省)
ひとしきり泣くと、また食べ始めた。ここが前とちょっと違うなあ。元気になってきているということだね。
「でね、昼休みになったら、やっぱりちょっとだるくなって、帰ろうかなあ?と思っていたら、5.6人くらいの男の子たちが集まって来て、[疲れたなら送ろうか?]って言ってくれたんだ。
で、びっくりしたんだけど、その子たちはこの前誘導してくれていた子たちで<莉子を守る会>って言うのを作ったんだって」 へっ??
「それで、その子たちは皆車で通学しているから、今度から私の回りに座ることにして、具合が悪い時は誰かが送って行くってことにしたそうよ。私、またそこで泣いちゃって・・・。詩音ちゃんや裕司君だって、いつも隣に座ってくれているのに、また一度に増えたからうれしくてうれしくてー、ああ、涙が止まらないよ~」
今度は俺が絶句した。本当に良かったなあ~。ありがたいよねえ。詩音ちゃんや裕司君に部長の3人のほかに、莉子を助けてくれる人がいっぱいいたんだねえ。本当にうれしいね。俺も感激してうるうるとしてしまったよ。
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