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167話 夏輝サイド
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莉子んちで退院報告&捜索のお礼パーティーをやってくれた。でも俺(夏輝)は複雑な気持ちだった。
釈然としないと言うか......。なんというか、俺に出来ることはいつだってするんだけど、なんだかむなしいんだ。
本当は莉子が入院している時に、会えなかったことがすごく寂しかったんだ。
あの莉子が発見された時のお兄さんのわっと泣き出した、あの光景が衝撃だった。
あの冷静沈着なお兄さんがだよ。我を忘れて取り乱すなんて信じられなかったよ。
そりゃあ、俺だってあの時はたまらず泣いたさ。
莉子が行方不明で、画材屋からの消息が分からなかった時の焦燥感ったらなかった。
本当に、誰かに誘拐されたんじゃないか?とか、ひき逃げにされたんじゃないか?
はたまた、悪い奴に車に引き込まれていないか?なんてどんどん妄想は膨らむんだ。
俺はあらゆる事態を想定したよ。本当に崩れそうになった。泣き出したい気分だったんだけど、死んだわけじゃないんだから、今ここで泣くわけにはいかないって我慢したんだ。きっとお兄さんだって同じ気持ちだったと思う。
でも莉子が見つかって、お兄さんがわっと泣きながら莉子を抱きしめて、わーわーと泣き続けた時さ、俺だってその時は走って莉子を抱きしめたかったんだよ。同じようにワーワーと泣きたかった。
心では泣いていたんだよ。抱きしめられないのがすごく悔しかったんだ。拳を握って我慢したよ。
お兄さんが「夏君ありがとう」と言ってくれた時は、俺は天を仰いで泣いていたんだ。だから顔を見せるわけにいかないから、そのまま、うんって頷いたんだ。でも鼻をすすっていたから、きっと泣いていたのがバレていたと思う。
それから莉子はぐったりしていて意識がなかったんだ。こういう時はお兄さんでないと莉子を助けられない。
俺は医者じゃないからな。出番はないんだよ。悔しい......。なんで俺は医者を目指さなかったんだろう?
その後は入院したってメールが届いたんだけど、「意識がなくてしゃべれないからしばらく会えないけどごめんね」っていう、お兄さんからのグループメールが来たんだ。
俺は毎日毎日、朝から晩まで莉子のことが心配で心配で、一体どうなったのか聞きたくてしかたがなかったんだ。
でも俺には莉子は手の届かない人だ。今や人妻なんだよ。パーティーで会えるまで、どんなにつらくて寂しかったことか!言葉に出すのも辛いよ。
莉子は入学した時からずっと気になっていたんだ。可憐でかわいくて、触れるとなぜか壊れそうな気がする。そんな儚さがあるんだよ。莉子には。だから抱きしめて守ってやりたい衝動に駆られる。
あと、なぜか独占したくなるんだよね。誰にも触らせたくないというか、そんな気にさせるんだよ。そんな子は初めてなんだ。
だっていないだろう?そんな子は。遠くで見ているだけだったのに、我慢が出来なくなって<莉子を守る会>の人になった。でも衝撃のあの告白だろう? ふっ、俺はお兄さんにバレてるなあって思ったよ。
莉子兄は頭が良いんだよね。感性も素晴らしいんだ。だからすごく尊敬している。あんなに深い愛情で莉子を包める人って俺は知らない。
すべてに負けているよ。俺は。でも......、それでも莉子を深く愛しているんだ。もうどうしようもなく辛いけど、莉子から離れたくない。例えお兄さんがいてもだ。
そんな俺に詩音は気づいているんだよね。だから心配げに「大丈夫?」なんて聞いてくれるんだ。
ふふふ、俺ってそんなに切なさそうな表情をしているのかなあ?
釈然としないと言うか......。なんというか、俺に出来ることはいつだってするんだけど、なんだかむなしいんだ。
本当は莉子が入院している時に、会えなかったことがすごく寂しかったんだ。
あの莉子が発見された時のお兄さんのわっと泣き出した、あの光景が衝撃だった。
あの冷静沈着なお兄さんがだよ。我を忘れて取り乱すなんて信じられなかったよ。
そりゃあ、俺だってあの時はたまらず泣いたさ。
莉子が行方不明で、画材屋からの消息が分からなかった時の焦燥感ったらなかった。
本当に、誰かに誘拐されたんじゃないか?とか、ひき逃げにされたんじゃないか?
はたまた、悪い奴に車に引き込まれていないか?なんてどんどん妄想は膨らむんだ。
俺はあらゆる事態を想定したよ。本当に崩れそうになった。泣き出したい気分だったんだけど、死んだわけじゃないんだから、今ここで泣くわけにはいかないって我慢したんだ。きっとお兄さんだって同じ気持ちだったと思う。
でも莉子が見つかって、お兄さんがわっと泣きながら莉子を抱きしめて、わーわーと泣き続けた時さ、俺だってその時は走って莉子を抱きしめたかったんだよ。同じようにワーワーと泣きたかった。
心では泣いていたんだよ。抱きしめられないのがすごく悔しかったんだ。拳を握って我慢したよ。
お兄さんが「夏君ありがとう」と言ってくれた時は、俺は天を仰いで泣いていたんだ。だから顔を見せるわけにいかないから、そのまま、うんって頷いたんだ。でも鼻をすすっていたから、きっと泣いていたのがバレていたと思う。
それから莉子はぐったりしていて意識がなかったんだ。こういう時はお兄さんでないと莉子を助けられない。
俺は医者じゃないからな。出番はないんだよ。悔しい......。なんで俺は医者を目指さなかったんだろう?
その後は入院したってメールが届いたんだけど、「意識がなくてしゃべれないからしばらく会えないけどごめんね」っていう、お兄さんからのグループメールが来たんだ。
俺は毎日毎日、朝から晩まで莉子のことが心配で心配で、一体どうなったのか聞きたくてしかたがなかったんだ。
でも俺には莉子は手の届かない人だ。今や人妻なんだよ。パーティーで会えるまで、どんなにつらくて寂しかったことか!言葉に出すのも辛いよ。
莉子は入学した時からずっと気になっていたんだ。可憐でかわいくて、触れるとなぜか壊れそうな気がする。そんな儚さがあるんだよ。莉子には。だから抱きしめて守ってやりたい衝動に駆られる。
あと、なぜか独占したくなるんだよね。誰にも触らせたくないというか、そんな気にさせるんだよ。そんな子は初めてなんだ。
だっていないだろう?そんな子は。遠くで見ているだけだったのに、我慢が出来なくなって<莉子を守る会>の人になった。でも衝撃のあの告白だろう? ふっ、俺はお兄さんにバレてるなあって思ったよ。
莉子兄は頭が良いんだよね。感性も素晴らしいんだ。だからすごく尊敬している。あんなに深い愛情で莉子を包める人って俺は知らない。
すべてに負けているよ。俺は。でも......、それでも莉子を深く愛しているんだ。もうどうしようもなく辛いけど、莉子から離れたくない。例えお兄さんがいてもだ。
そんな俺に詩音は気づいているんだよね。だから心配げに「大丈夫?」なんて聞いてくれるんだ。
ふふふ、俺ってそんなに切なさそうな表情をしているのかなあ?
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