医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘～い愛の物語

274話 夏輝実家・サイド

　「お母さん、夏輝は帰ってきたか？」

「あ～っと、あっ今車の音がしたから帰って来たんじゃないですか？」

父が玄関まで出迎えにきていた。「ただいま、あれ父さん、なんか俺に用事でもあったの？」

「いや～特にないけどさ、土日と連休はいつも北原さんちだなあ」ふっ、まあね。

「お父さん、やきもちですか？」母が笑っている。

俺は連休帰りだったから、荷物がいっぱいあった。

洗濯物に教科書もいっぱい持って行っていた。

先に母さんの顔でも見るか、「母さん、ただいま」

「お帰り、莉子ちゃんは元気だった？桃香ちゃんはどうなの？」

「うん、莉子はベビーシッターさんがフルタイムでいるそうだから、休養は取れていて、元気だったよ」

「桃香ちゃんはかわいいさ。最高だよ。俺がおむつを替えてミルクを飲ませているんだよ」

「はあ～ん、そうか、俺たちには全然わからないよな？母さん……」

「ふっ、父さん、もしかしてやきもちを妬いているんですか？？」あははは。母さんと一緒に笑ったよ。

「連休の間、お前はいったい何をしていたんだ？」

「エへへへ、面白い。お兄さんに勉強を見てもらっていたんだよ。数学に生物、物理に化学だよ」

「はあ～ん、そうか。桃香ちゃんの動画が足りなかったよ」　

「はあ？？２回も送ったのに……。まだ不足って、なんだよ」

「あらっ？夏輝、なんだか首元にきらりと光っているんだけど、それなあに？？」

「ん？これね、お兄さんと莉子が医大の合格祝いにくれたんだよ」

「おい、見せてみろよ」父さんが急いでそばにやってきたから、俺は外して見せた。

お母さんと一緒になって見ているよ。「ええ？これってプラチナじゃないの？刻印があるわよ」

「うん、そうなんだよ、高すぎるから遠慮したんだけど、お兄さんが宝石売り場で俺の首の長さに合わせて注文してくれたんだよ」

「はーーっ、待ってくれ、お母さん、裏の刻印を見たか？H＆Nってなんだ？」はあ～とお母さんが驚いていた。

「ふふふ、そのとおりだよ。俺はお兄さんにかわいがられているからねえ」

「ふ～ん、そうか。連休中ずっと勉強をしていたのかな？」

「違うよ。初日からなぜか俺は高熱を出していたんだよ。勉強しすぎかなあ？ああ～肩が凝る」

えええーーーっ？？と二人でハモった。

「俺は熱でよく覚えていないんだけど、お兄さんが点滴してくれていたよ。で、ずっと寝込んでいる間も看病してくれてたんだ。卵雑炊も作ってくれたしさ。やっぱりお医者さんって最高だね。病院に行かなくても家で治療してもらえるんだもんね。しかも無料だしさ。ホント凄いよ。」

「はあ……そうなのねえ。ふ～ん、良かったわねえ」と母が言った。父は頬杖をついて横を向いてたよ。あははは。

「腹が減った、夕飯まだ？　早く食べようよ」

「もうできているから手を洗っていらっしゃい」「はーい！」

「お父さん、やきもち妬いている場合じゃないですよ。医学生向けの塾って学費が何百万もするんですよ。
ましてや、夏輝なんて奇跡の合格だから学年でビリだって言ってましたよ。
それを同じ大学にしたおかげで、北原さんにいたせり尽くせり教わることが出来ているんだから、ものは考えようですよ。
私はありがたいと思っていますよ。結局は安く済んでいるんですよ。他の人は医学部のほかに塾にもずっと通い続けるみたいですよ。ああ～高そう。
だからいいじゃないですか？いくらでもあちらにお邪魔して教えて貰って欲しいですよ。私はね。はい、ご飯にしましょう！」