医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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283話 産後うつ・8・詩音サイド1

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 莉子のお兄さんから連絡があった。大事な相談があるから絵画部の山本部長と一緒に会いたいということだった。

ええ???なになに?また何かあったの? もう心臓が縮んだよ。

そしたら、お兄さんと莉子が一緒に大学に来てくれた。

とりあえず例の3号館トイレ近くの空き部室で話すことにした。

莉子は会った時から様子が変で、暗い顔をしているから、何かあったのかなあ?と思ったんだ。

お兄さんが言うには、莉子が産後うつになっているんだってことだった。

「うつ?莉子が?」なんだか信じられなかったし、かわいそうだし、もう「ええーーっ?」と言って涙がポロポロ出て止まらなかった。

莉子と抱き合ったよ。どうして、莉子ばかりこんなにめに合うんだろうって……。

莉子もぼろぼろと涙を流してワーワー泣いていた。

自分で感情のコントロールができないんだって。

お兄さんもそんな莉子を見て涙ぐんでいた。

山本部長はなんだか呆然と私たちも見ていた。

訳も分からず、思考が停止しているような感じだった。

それはそうだよね。莉子は大学を休学して、子供も生まれ、お兄さんも元気になったし、幸せいっぱいだと皆は思っていたよ。

それがなんでこうなったんだろう? お兄さんからお願いをされた。

莉子が産後うつになっているから、治すのに協力してもらえないか?ということだった。

産後はホルモンが減少してうつになりやすいんだって。

で、気がついたら、莉子が訴えるまで気が付かなかったんだって。

ん? 分からないものなのかなあ?

莉子が訴える前は普段通りですごしていたんだって。

だから気が付かなかったって言うのよ。

お医者さんのお兄さんが言うんだから、普通の人でもきっとわからなかったと思うわ。

莉子が耐えきれなくて訴えて、初めて気が付いたそうよ。

これは治せるけど、薬の治療の他に人との接触が大事なんだって。

今まで交流のあった人とのコミュニケーションがすごく良いんだって。

急に子供が生まれて母親になっても心がついていかない。

受け入れられなかったり、プレッシャーだったりで、心がすごく無理をするんだって。

だから、いくら寝ても怠いとか、何もやる気がしないとか、感情がコントロールできなくなるって説明された。

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