医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘～い愛の物語

368話 詩音サイド

　先日、莉子が来てくれて、莉子兄と聡さんも一緒にカフェに行った。

すっごく楽しかった。なんだか知らないけれど、聡さんと莉子兄はあんなに仲が良かったかなあ？　

しょっちゅうお互いに顔を見ては、ニコニコしていたのよね。

なんかなあ？ちょっと引っかかるけれど、まあいいか。お兄さんは素敵な人だからね。

一緒にお茶をするだけでも見惚れちゃって幸せだったわ。

それよりも大学祭の話が出なくて本当に良かったわ。

多分、お兄さんも私に気を使ってくれたんだと思う。

写真を撮るのにすごくお金をかけてくれたらしいのに申し訳ないわ。

実は莉子を守る会の面々がみんな辞めたのよ。

まあ、莉子が来ると言うだけで、絵に興味もないのに、どっと入ったから予想はしていたわ。

元からいた部員達も、冷ややかな目で見ていて、静観するって感じだった。

先日、莉子が来なかったんだけど、そしたらすぐ皆帰っちゃったのよね。酷くない?

絵はねえ、裕司もそうなんだけど、後の4人も題材が皆同じだからやっぱり厳しいわよ。

実は部員だけ部室で発表会をするんだけど、この時に裕司を入れて２人しか出さなかったのよ。

他の人は忙しくてできなかったって。

で、その持ってきた１人がやけに写真そっくりに出来ているから、みんなであれ～？って言ったら、

なんか、AIを駆使したらしいのよね。私、耳元で大馬鹿野郎と言ってやったわ。

どっちにしろ絵画部の発表作としては、どうかなあ？

他の部員達が見て、ええ～とか、う～んとか言うもんだから、居心地が悪そうにしていたわ。

ろくにデッサンの練習を１枚もやっていないのに、いきなり発表作を描くってちょっと無理だもんね。　

海や山の絵でも描いた方がよほど素直で良かったよ。それなら出せたかもね。

モデルになった莉子や桃香ちゃんがかわいそうだわ。

莉子にはねえ、なんとなく伝えておいた。

部長として恥ずかしいけどさ。

今回のメインは、どんどん素敵になってきた、莉子の浅田夏輝の絵だと思うわ。

ふわっと描きたいって言っていたけど、本当にやさしくていい感じになっていて、私もいいなあ～って思ったよ。

さすがに天才に習っているだけはあるわ。

夏がめちゃくちゃハンサムで、雰囲気がいい感じになっていたからねえ。

へえ～って皆が言っていたよ。お兄さんも絶賛だったもんね。いいなあ～。

夏にあげたらすごく喜んだって。あの出来なら誰でも喜ぶわ。

額縁に入れて、実家に飾ってあるそうよ。お母さんもすごく感激したらしいのよね。

私のお兄さんの絵はねえ。へへへ、もちろん額縁に入れて我が家に飾っているよ。一生の宝だもん。

お兄さんだってすごくうれしそうに見てくれたんだよ。すごく褒めてくれたしね。

お兄さんの絵には、不思議と聡さんもやきもちを妬かないのよね。

結婚して分かったんだけど、聡さんってこんなにやきもちを妬く人だったの？と思った。

すごくかわいがってくれるのは良いんだけど、異常なくらいに心配性なのよ。

結婚したら急に妻がモテる？　ないない。過保護だよ。