医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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388話 心の癒し

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 夕飯が終わると、莉子は昼間の塾で興奮したこともあって、かなり疲れが出ているようだった。

なんといっても今日は昼寝をしていない。これはあとで影響大だ。

風呂は昼間に入っているから、食後はすぐに歯磨きをさせてベッドに入るように言った。

なんだかちょっとよろよろと歩いている。すぐ後ろを支えて、そのまま歯磨きをさせた。

ひっくり返って頭でも打ったら大変だからな。でも、なんだか夏がニヤニヤしながら俺を見ていた。

呆れているんだろうなあ。もういいだろう?俺は莉子を甘やかしたいんだよ!勘弁してくれよ。

俺は横目で夏の目を見ながら心で喋った。テレパシーは通じているようだ。

スケジュールでは八時から夏と一緒に風呂に入る時間なんだけど、先に莉子を寝かせて来ると言って莉子の部屋に連れていった。

莉子の服を脱がせてパジャマを着せた。莉子は目をつぶったままだし、もうほとんど寝てるよね。

そのまま抱くようにしてベッドに横たえた。

それから2分も経たないうちに眠ってしまった。

ああ~すごく甘やかしたかったのに~つまらないよ。

なんだか、俺はブスっとして部屋を出た。夏が俺の顔を見てぷーっと噴き出した。

ああ、なんだよ~、今度は夏の番だ、一緒に風呂に入るぞ。

夏はニヤニヤしながら、もう着替えの準備まで終わっていた。風呂もたまっているしね。

ベッドを見ればいつでも寝られます状態だった。俺はしょうがないので風呂に入った。

あとから夏が入って来た。なんだかつまんないなあ・・。なんだろうねえ。

「お兄さん背中を流しますよ」と言うから、風呂椅子に座って全部夏に任せた。

たまにはされるがままも良いよね。

俺は身体の力が抜けているんだよ。身体を洗った後に肩をもんでくれた。

「寂しいですか?」と夏が聞いてきた。もう返事する元気もないよ。

俺はがっくりしたままだった。ふっと夏が笑っている。

一緒に入ろうと言って二人で湯船に入って前に夏を抱えた。

俺の肩に頭を預ける夏。「夏、ごめん、今日は何もしてやれなかったな」

「ふっ、いいですよ。いつでも待っていますから」

そうだよな。夏はいつもそうだ。自分を主張するわけでもない。

ただ、淡々と待っている。でも火をつけると激しく燃える。そんな不思議なやつだ。

こっちがエネルギー不足だと満足させてやれない。

例えば今日みたいに、心にぽっかりと穴の開いた状態だと、俺は捨てられた犬のようになる。

でも夏は責めもしないし慰めもしない。ありのままを受け止めるだけだ。

そういうところが俺は安らげる。今日は夏に甘えたまま寝かせてもらおうと思う。

夏ならそんな俺を受け止めてくれるから。
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