医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

文字の大きさ
401 / 996

400話 実家にて・夏輝サイド・2

しおりを挟む
「夏輝、朝ご飯は食べたの?」母さんが心配してくれた。

「うん、食べたけど朝が早かったから、なんか食べようかな?桃もなんかおやつを食べさせた方が良いかも」

「そうね、じゃあ、なんかあるわよ。桃ちゃんはヨーグルトでもいいの?」

「うん、栄養があるから良いよ。俺はなんでもいいよ。パンでもいいよ」

「今、お父さんが起きて来るから、ホットケーキでも焼くわよ」

「そう?悪いね。楽しみに待ってるよ」そこへ父がやって来た。「おう、来たのか」

早速、「桃ちゃ~ん、おいで」と言って抱き上げた。もうベタベタだよ。

「お父さん、ホットケーキが焼けましたよ。夏輝もいらっしゃい」

食卓を囲むのは両親と俺と桃香だけ。兄たちはとっくに遊びに行った。

「桃ちゃん、ヨーグルトを食べようねえ。何をかけて食べたいかなあ?」なんて言いながらフルーツソースを選ばせている。

どうせ全部かけるくせにと、いつも内緒で笑っている。

母もそれがわかっているから、俺と目を合わせて意味ありげに笑っている。

「今日はゆっくりできるの?」

「いや、今日は莉子の具合が悪いから、昼飯を作りたいし家事もしたいんだよ。お兄さんはオンライン診療で手が離せないからさ。だから桃を夕方まで預かって欲しいんだけどいいかな?」

「あら、莉子ちゃんも本当に身体が弱いのねえ。北原さんも大変だわ」

「いいよ。おいて行って良いよ。ファミレスでお子様ランチでも食べさせようかなあ?ねえ母さん」

「良いですねえ、賛成。あとお買い物や公園にも行きましょうよ。普段保育所だとあまり外に出ないでしょう?」

「母さん、ありがとう。その通りなんだよ。もっと桃香と遊んでやりたいんだけどね」

「そうだ、見て欲しいものがあるんだよ」「なあに?」「なんだよ?」

俺はバッグから聴診器を取り出した。「お兄さんがプレゼントしてくれたんだ」

「ええ?もう?早いんじゃないの?」

「うん、早いよ。人の診療はできないけど、家の中で使うのは自由なんだよ。しかもこれは高級品なんだよ」

「へえ~」と両親が感心していた。

「俺にさ、桃の健康管理を全部任せるって言われたんだ。それで買ってくれたんだと思うよ。今ね、お兄さんの昔使っていた教材を借りて、聴診の音の聴く勉強をしていて、特訓してくれているんだよ。毎日やっているよ、お兄さんと莉子と桃で練習をさせてくれるんだよ」

父が「うわ~・・本当にありがたいねえ・・」と感動しているよ。でしょう?

「本当にねえ・・、こんなにしてもらえるなんてねえ‥‥‥」母が感慨深げだ。

「個別指導もいいとこだね。普通はないよね?」と父も喜んでいるよ。

「そうですよ。本当に北原さんだから教えてくれるんですよ。ほら、嫁に出したから!フフフ。特別扱いですね」

「だからさ、父さんと母さんを今、聴診してあげるよ。俺も結構分かるようになったんだよ」

えーっと言いながらも、二人とも交代でソファに横になった。で、聴診をした。

でも二人とも笑っちゃって、胸が揺れるから音が中々わからなかったよ。ふふふ。

とにかく二人とも健康だったし、すごく喜んでくれたんだ。少しは親孝行が出来たかな?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...