医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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424話 スカウト

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 今日もどうしてこんなに患者が多いんだろう? 予約外がね。食事が遅くなったよ。

俺がテーブルに着くと、そこへ岩城がトレーを持ってやって来た。

「なんだよ、今日は遅いじゃないか?」

「大変なんだよ。事故があってさ。緊急が3人も同時に来たんだよ」

「ふ~ん、それはご苦労さんだなあ」そこへ、申し合わせたように川瀬がやって来た。

「あれ?俺一人だと思ったのに、皆遅かったんだなあ」

「お前はなんで遅くなったんだ?」

「俺は緊急オペが入っちゃってさあ、大変だよ」

「まあ、飯でも食ってくれよ」「北原はなんで遅かったんだよ?緊急はないだろう?」

「よく言うよ、予約外が多くてさ。今日は満員だよ」早く食おうぜ。時間が無くなるよ。

そこへ呼吸器内科の医師が夏を連れてやって来た。少し離れた席に座った。

なんだか夏がかしこまっているけどさ。何事なんだよ。ふっ、呼び出されて怒られるのか?? 

夏も俺をちらっと見た。何をやらかしたんだよ?

なんか小声で喋ってるけどね。

俺がちらちら見ているから、岩城も川瀬も気が付いていて、黙って食べている。

なんだか急に憂鬱になった。夏が気になってしょうがない。

知らん顔をしないといけないのに、俺はダメだな・・できないな。

話しは全く聞こえなかった。俺は食べ終わって、アイスコーヒーを飲んでいる。

俺が急に無口になっているから、岩城と川瀬が気を使っているようだ。

話しは10分くらいで終わったようだ。二人は出て行った。

俺は夏にメールした。「どうしたんだ?何かあったのか?」

返事はすぐには来なかった。はあ~・・。

「ふっ、そんなに夏君が心配なのか?」と川瀬が聞いてきた。

「気になるさ。それは莉子であっても同じだよ」

「なんだか胸がキュンキュンするなあ~」と岩城が茶化した。

今の俺はそれに乗る気にはならなくて、下を向いていた。

そこへメールが返って来た。ん?すぐメールを見る。

「大丈夫です。俺に将来、呼吸器内科に来ないか?と誘われていました。まだ5年なんですけどね。早すぎですよね。分からないと言っておきました」

ふふっ、笑った。「なんだよ??」と二人が声を揃えた。

「夏が呼吸器内科にスカウトされたらしいよ。その話だったんだって。まだ5年になったばかりなのにさ」

「へ===っ??」「すげえなあ~もうか?まだ始まったばかりだろう?」

「夏は聴診が得意なんだよ。俺が特訓したからさ。耳も良いしさ。かなり複雑な音も聞き分けられるんだよ」

「へえ~、信じられない…そんな学生がいるのか?」

「それがいるんだよねえ‥夏は優秀なんだよ。4年の終わりにはとうとう成績が4番になったんだよ」

「えええ?マジかー・・信じられない・・」

「うちで約定を付けておこうかな?」と岩城が言った。

「産婦人科でも聴診は大事だからな。うちで貰おうかな?」と川瀬まで乗ったよ。

「残念だなあ。夏は最初から心療内科にいくって言ってるよ、俺と同じ土俵で話をしたいんだってさ」

「くそーーーっ!!」岩城と川瀬が吠えた。


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