医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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495話 仲間を信じて*

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 夏に相談しないといけないことがいっぱいある。

例えばスタッフの採用についてだ。

夏は毎晩、オフィスで病院の収支と、お金関係はすべて記録して管理している。

人事と給料もやってくれている。凄いよ。

それと収益を銀行の夜間金庫に持って行ってくれているのも夏だ。

このビルが出来てからというもの、病院も家計も莉子関係もすべて一緒に管理してくれている。

お陰でどれだけ俺が助けられているのか分からない。

俺を事務仕事から解放して、診療に専念できるようにしてくれているんだ。ありがたいよ。

俺はそういう実務的なことは本当に苦手だ。

今でもスタッフが多すぎるのは承知している。それなのに更に二人技師を採用したい。

でも夏ならわかってくれる。


せっかく大勢の患者さんが来てくれているんだ。こんな幸せはない。

なんとか今の患者さんを断らないで、こちらが対応できるようなシステムに変えていきたい。

いくつか考えていることはあるが、出来ればスタッフの口から言って欲しいと思っている。

上から指示するだけでは一心同体にはならないからだ。

皆を信じて巻き込もうと思う。まず話し合いの為に時間を作ろう。

時短の為に、事前に改良したいところを家で考えてもらって提出だ。

思い切って来週の火曜を研修日として、診療を休みにして時間を作るつもりだ。


オープンしてから、岩城や川瀬のおかげで、俺の抑うつ状態も大分改善してきている。



早く無理のないシステムを作ることだ。続けていくためにはそれしかない。


それにしても、大学病院を辞めて以来、忙しくて莉子も夏も全然かわいがってやれていない。それがすごくつらい。

莉子には、言葉でいうより、肌で触れ合った方が分かってもらえるからそうしよう。

でも夏よ。ごめんね。いつも後回しになってしまう。

夏だって嫁なのにしてもらうことばかりで、俺は何もしてあげられていない。それもつらい。

もうずっと一緒に風呂にも入っていないね。

俺が不調でバタッと寝てしまうからな。夜もすれ違いだ。本当に申し訳ない。

でも今夜は‥‥‥ああ無理だ。寝込んでいた莉子を風呂に入れてやらないといけない。

莉子も今は心と身体がつらいんだ。莉子優先でごめんな。


ああ~でも待って・・その前に10分だけ作ろう。夏のための時間だ。

夏は今どこにいる? リビングにいない。寝室かオフィスだな。携帯で電話をかけた。

「夏か?今どこにいる?」「はい、オフィスにいます」すぐ切って2階に急いだ。

2階に降りたら夏とばったり会った。来てくれようとしたらしい。

一瞬見つめ合うと、何も言わずに手を引っ張り抱きしめた。何回も深いキスをした。

夏の腰の力が抜けていくのが分かった。腰を支えながら首筋や耳もとにも唇を落としていった。

「夏、ごめん、10分だけ時間を作った。このまま行くね。今度ゆっくりできる時間を作るからね」

「お願い・・あと5分・・お願い」夏が泣きそうになって言った。

夏がこんなことを言うのは初めてだった。夏もつらかったんだな。

「ああ悪かった・・。寂しかったね。いつも負担をかけてすまない」

ああ~俺は一体なにをやっているんだ・・。

何もできずに、ただぎゅっと抱きしめていた。
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