医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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564話 軽井沢 

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 昨日の授賞式では大勢の人に会ったり、写真を撮られたり、TVカメラを向けられて疲れてしまった。

莉子を見るとまだ寝ている。起きられないようだ。

ホテルはもう一泊出来るから、そのまま寝かせておいてもいい。

バルコニーから見える林間が美しい。

緑が濃いと言うか、空気が新鮮で深くておいしい。

鳥のさえずりもあちこちから聞こえてくる。

あの並木道を散歩したいなあ。木陰が涼しくて気持ちよさそうだ。

時々自転車で行き交う観光客らしき人達が見える。

桃香は起きていたから、かわいい半ズボンとTシャツに着替えさせた。

「桃香、朝ご飯を食べる?」「うん、食べる」

ルームサービスを頼んだ。ワッフルがあるそうだ。莉子も桃香も大好きだ。

熱い紅茶もポットで届いた。一口飲むとすごく美味しい。

これは莉子にも飲ませないといけないな。

「莉子、おいしいワッフルがきたよ。紅茶もすごく美味しいよ。それとも要らない?」

髪を撫でて頬にキスをした。耳元で「起きろ~」と小さい声で声掛けした。

全然、反応しない。聞こえているのか?

「桃香、ママを起こしてくれない?」「はーい!」

どうするのかな?と見ていたら、ベッドにどんと乗っかって「ママー起きてー!」と激しく揺らしている。

ぷーっ想定外。強烈だなあ。あははは。

「ああ~もう~分かったから!起きればいいんでしょ!」

莉子が起きたよ。笑いが止まらない!ふふふ・・傑作だ。

「莉子、このワッフル最高においしいよ~」

「ええ?食べる!」 「ママ~起きた?」「うん、起きた!」

「ほらガウンを羽織ってくれば? 紅茶が美味しいから飲めば目が覚めるよ」


おいしく朝食を取った後は、地図を片手に林間をみんなで散歩した。

自転車の方が良いのかなあ?歩きだと帰り道が分かりにくいね。

行けども行けども林間の道が続く。

しかも道があちこちで曲がっているから、抜け出すのが大変だな。

でも莉子と桃香は自転車に乗れない。親の責任だ・・・ちょっと反省するよ。

まあ、適当なところで帰った。あとは車で移動だ。

「莉子、どんなところに行きたい?」

「う~ん。分かんない。きれいなところかな?」

花がいっぱい咲いている公園に行って、それから池の周りを一周した。

疲れたから、にぎやかな町に行って何か食べようか?

車で移動して町に着いた。「うわ~楽しそう!」莉子の目が輝いた。

なんだよ・・莉子はこっちの方が好きなんだな。

勝手にどんどん見て歩いて行くから、こっちがついて行くことにした。

でもなんだか変だ・・。俺達見られているよね?

前から来る人達が、あっと言う感じで好奇の視線を向けられた。

携帯で写真も撮られている。桃香をカメラから隠した。

俺達の周りだけなぜか空間ができる。皆後ずさりして見つめてきた。

「莉子、俺達注目を浴びているみたいだよ。このまま続ける?」

「えっ?そうなの?気が付かなかった・・」

「じゃあ、あそこのカフェにでも入る?」

「うん、そうする」

桃香と莉子はカフェで無邪気にコーヒーのソフトクリームを食べていた。

俺はだんだん食欲が落ちてきた。居心地が悪いんだよね・・・。

「莉子、この後はどうする?」

「春ちゃん、帰りたいんでしょう?そんな顔をしてるもん」バレた・・。

「じゃあ、郊外のレストランにでも行く?ここは人が多いからさ」

「うん、そうしよう。なんか森の中にあるようなレストランに行きたいなあ」

「じゃあ、車に戻ろうよ」 なんだかカフェの中にいても注目を浴びていた。

これじゃあ、まるで芸能人だよ。
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