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684話 英語はいかが?
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夏が全館に向けてアナウンスをした。
「スタッフの皆さん、お疲れ様です。一旦手を止めて6階に集まってください。30分休憩をしましょう。カフェからおやつの差し入れがあります。以上です」
ゾロゾロと皆集まってきた。莉子やカンパニーや売店スタッフが試作で作ったパンケーキや、ワッフル、フルーツヨーグルト、ドーナツ、焼き菓子、菓子パンなど、色々あった。
パンや焼き菓子はフードから届いたらしい。へえ、多分社長からの差し入れだね。
社長の気配りには感謝だな。莉子、俺たちもいただこうよ。
ドリンクを手にし、ゆったりとダイニングの椅子に腰を下ろした。
なんだか皆がちらちらとこっちを見ている。ふっと笑った。
「どうしたの?珍しい光景かな?」と笑いながら聞くと、みんなもつられて笑っていた。
本居君が「いや~いつも仲がいいですよねえ」
「あははは、まあね。でもそっちもでしょう?」
「えへへへ・・」と笑うので、隣の奥さんが恥ずかしそうにしていた。
「あら~いいわねえ」と看護部長が言うので、
「今度から総合案内には三枝斗真君が一緒に並びますので、フォローしてあげてくださいね。特に看護主任はいつも一緒になりますのでね、宮本君もよろしく頼みますよ」
というと、皆クスクス笑いだした。
「そうだ、まだ皆さんに伝えていなかったのですが、バーンズ先生と三枝君はちょっと立っていただけますか?」
「このお二人は日本人なのですが、アメリカ育ちのため、日本語の会話はできますが読み書きは苦手だそうです。それで皆さん、そのつもりでフォローをお願いしますね」
「これから外国人の患者さんが増えると思うので、院内研修も実施予定ですが、翻訳アプリを活用するか、英語の得意なスタッフにお願いする形で対応しましょう。
ちなみに、三枝さんは、英語のほかに、フランス語、スペイン語、イタリア語も日常会話レベルで話せるそうです。皆さん、どんどん頼ってくださいね。はい。座って良いですよ。ありがとうございました」
「あとは、英語の得意な方は、宮本看護主任ですね。それから、帰国子女のナースで加納朋子さんと看護助手の野見山元子さん、それから医局の事務担当の桐谷美穂子さん。あとは浅田理事ですね。あと皮膚科の河野真知子先生は留学経験があるから達者だと思いますよ。あと、整形の百瀬先生はどうですか?」
「すみませんねえ、全然だめですね。僕は聞くだけです」百瀬先生は謙遜かな?
「循環器内科の渡辺先生はどうですか?」
「そうですね、まあ何とか話しますね。学会で海外に行くことがあるので、やっぱり練習しましたよ」
「あとは理学療法士のお二人はどうですか?」
「いや~苦手ですねえ。まあ、案内所が隣なので安心しています」クスクス笑いがでた。
「放射線や検査技師の皆さんはどうですか?」
シ~ンとしている。「あ、はい、わかりました」皆どっと笑った。
「それから、まだいたかなあ?」と理事の顔を見た。
「フットケアの高見凜さんと蓮さんはインターナショナルスクール出身だから、大丈夫じゃないですか?」
と夏が言うと、二人ともニターっと笑っている。
夏が「You guys can speak English, right?」と聞くと「はーい!」と声を揃えたので笑った。
「後は他に何か話せる人はいますか?片言でもいいですよ」
遠慮がちに手を挙げたのは、元警察官の大野さんだった。
「下手なのですが、英語は強制的に教育を受けるので、警察官なら大体相手の言うことは理解できると思います。話すのはそれほど得意ではないです」
「はい、ありがとうございます。あとはどなたかいますか?」
またおずおずと遠慮がちに手が上がった。お掃除の羽田さんと坂間さんだ。
「あのう私達、英語も習っているので、なんとかカタコトなら話します」
「うわ~頼もしいなあ。ありがとうございます。あとね、医者なら英語は相当勉強しているはずだから、聞くことは出来ると思います。ねえ、宮本くん!」
「あわわわ・・あー全部忘れたかも・・」みんなどっと笑っている。
「花井先生はどうですか?」
「えーっとまあ、聞くだけですね。僕より奥さんの方が話せるかなあ?」
「ちょっと!やめてよ~」と奥さんが言うのでまた笑った。
そこへ看護部長が笑顔で「院長先生は英語、どうですか?」と尋ねてきた。
「ええ・・とねえ。へへへ、うちは娘が小さい時から、浅田理事が英語で育てたんですよ。だから二人の会話を聞きながら、日本語で返事する感じですね。ちょっと不思議な感じだけどね。奥さんは子供に注意したりするときに英語が移ってしまって、ノーと言ったりしていますけど、僕は話せませんね」
「そうだ、整形外科で用意した送迎バス2台は、整形外科の患者さんだけでなく、急病人や一人で移動できない方も送迎するそうなので、臨機応変に対応をお願いします。ただし、一人で通えるような元気な人は別ですよ」
その後は休憩も終わって引き続き作業が続いた。
「スタッフの皆さん、お疲れ様です。一旦手を止めて6階に集まってください。30分休憩をしましょう。カフェからおやつの差し入れがあります。以上です」
ゾロゾロと皆集まってきた。莉子やカンパニーや売店スタッフが試作で作ったパンケーキや、ワッフル、フルーツヨーグルト、ドーナツ、焼き菓子、菓子パンなど、色々あった。
パンや焼き菓子はフードから届いたらしい。へえ、多分社長からの差し入れだね。
社長の気配りには感謝だな。莉子、俺たちもいただこうよ。
ドリンクを手にし、ゆったりとダイニングの椅子に腰を下ろした。
なんだか皆がちらちらとこっちを見ている。ふっと笑った。
「どうしたの?珍しい光景かな?」と笑いながら聞くと、みんなもつられて笑っていた。
本居君が「いや~いつも仲がいいですよねえ」
「あははは、まあね。でもそっちもでしょう?」
「えへへへ・・」と笑うので、隣の奥さんが恥ずかしそうにしていた。
「あら~いいわねえ」と看護部長が言うので、
「今度から総合案内には三枝斗真君が一緒に並びますので、フォローしてあげてくださいね。特に看護主任はいつも一緒になりますのでね、宮本君もよろしく頼みますよ」
というと、皆クスクス笑いだした。
「そうだ、まだ皆さんに伝えていなかったのですが、バーンズ先生と三枝君はちょっと立っていただけますか?」
「このお二人は日本人なのですが、アメリカ育ちのため、日本語の会話はできますが読み書きは苦手だそうです。それで皆さん、そのつもりでフォローをお願いしますね」
「これから外国人の患者さんが増えると思うので、院内研修も実施予定ですが、翻訳アプリを活用するか、英語の得意なスタッフにお願いする形で対応しましょう。
ちなみに、三枝さんは、英語のほかに、フランス語、スペイン語、イタリア語も日常会話レベルで話せるそうです。皆さん、どんどん頼ってくださいね。はい。座って良いですよ。ありがとうございました」
「あとは、英語の得意な方は、宮本看護主任ですね。それから、帰国子女のナースで加納朋子さんと看護助手の野見山元子さん、それから医局の事務担当の桐谷美穂子さん。あとは浅田理事ですね。あと皮膚科の河野真知子先生は留学経験があるから達者だと思いますよ。あと、整形の百瀬先生はどうですか?」
「すみませんねえ、全然だめですね。僕は聞くだけです」百瀬先生は謙遜かな?
「循環器内科の渡辺先生はどうですか?」
「そうですね、まあ何とか話しますね。学会で海外に行くことがあるので、やっぱり練習しましたよ」
「あとは理学療法士のお二人はどうですか?」
「いや~苦手ですねえ。まあ、案内所が隣なので安心しています」クスクス笑いがでた。
「放射線や検査技師の皆さんはどうですか?」
シ~ンとしている。「あ、はい、わかりました」皆どっと笑った。
「それから、まだいたかなあ?」と理事の顔を見た。
「フットケアの高見凜さんと蓮さんはインターナショナルスクール出身だから、大丈夫じゃないですか?」
と夏が言うと、二人ともニターっと笑っている。
夏が「You guys can speak English, right?」と聞くと「はーい!」と声を揃えたので笑った。
「後は他に何か話せる人はいますか?片言でもいいですよ」
遠慮がちに手を挙げたのは、元警察官の大野さんだった。
「下手なのですが、英語は強制的に教育を受けるので、警察官なら大体相手の言うことは理解できると思います。話すのはそれほど得意ではないです」
「はい、ありがとうございます。あとはどなたかいますか?」
またおずおずと遠慮がちに手が上がった。お掃除の羽田さんと坂間さんだ。
「あのう私達、英語も習っているので、なんとかカタコトなら話します」
「うわ~頼もしいなあ。ありがとうございます。あとね、医者なら英語は相当勉強しているはずだから、聞くことは出来ると思います。ねえ、宮本くん!」
「あわわわ・・あー全部忘れたかも・・」みんなどっと笑っている。
「花井先生はどうですか?」
「えーっとまあ、聞くだけですね。僕より奥さんの方が話せるかなあ?」
「ちょっと!やめてよ~」と奥さんが言うのでまた笑った。
そこへ看護部長が笑顔で「院長先生は英語、どうですか?」と尋ねてきた。
「ええ・・とねえ。へへへ、うちは娘が小さい時から、浅田理事が英語で育てたんですよ。だから二人の会話を聞きながら、日本語で返事する感じですね。ちょっと不思議な感じだけどね。奥さんは子供に注意したりするときに英語が移ってしまって、ノーと言ったりしていますけど、僕は話せませんね」
「そうだ、整形外科で用意した送迎バス2台は、整形外科の患者さんだけでなく、急病人や一人で移動できない方も送迎するそうなので、臨機応変に対応をお願いします。ただし、一人で通えるような元気な人は別ですよ」
その後は休憩も終わって引き続き作業が続いた。
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