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711話 親分子分
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昼休みになった。ター坊に「5分ほど話があるから、院長室まで来てくれないか」と頼んだ。
「ター坊、仕事はどうだ?不自由してないか?」
「うん、大丈夫だよ。英語ができるナースのクラークがそばにいるから助かってる」
「そうか、それは良かった」
ちょっと言いにくい話になるかもしれない。
「モデルの話?」
ター坊がニヤリと笑う。さすがに鋭い。
「分かった?」
「みんな、お兄さんが出るかどうか気にしてたんでしょ?」
「ええ?なんで分かるんだ?」
「だって俺、休憩室でみんなに聞かれたもん」
ああ~、ヤバい。全員知ってるな……。
「そうなんだよ。で、なんでそんなことになるのか分からなくてさ。ター坊なら理由が分かるかなと思ったんだ」
「そんなこと、聞かなくても分かるよ」
ター坊はあっさりと言う。
「みんな、インスタでお兄ちゃんを見て憧れてここに入ったんだと思うよ。お兄ちゃんと一緒なら楽しいし、人にも自慢できる。でも自分だけモデルで出るくらいなら、ここには入ってないよ」
「ええ……そうなのか?」
「そうだよ。なんで俺が一発でお兄ちゃんだって分かったか、思い出せば分かるでしょ?お兄ちゃんほどきれいな人は、そうそういないよ。だからみんなの気持ちも分かるよ」
「ああ……困った……」
「困ることないでしょ?1回でもいいから、みんなと出てあげればいいじゃない?すごく喜ぶと思うよ。クリニックの女性スタッフだって似たようなもんでしょ?だからお兄ちゃんが出れば、みんなが喜ぶんだよ。これが結論ね」
「じゃあ、またね~」
そう言い残して、ター坊は帰っていった。
なんだか、胸にくさびを打たれたような気分だ。
ああ~面倒くさい。
しかし、今回は桃香の芸名デビューもかかっている。
もし「全部なし」と言ったら、莉子が怒って口をきかなくなるかもしれない。
しょうがない……出るか。くそー!!
あの社長の罠にハマった気がする。悔しい……。
結局、莉子と桃香の撮影に付き合い、さらにメンズのショーにも出ることになった。
つまり、2回も休みを使うことになる。
ああ~いやだ。なんて面倒くさいんだ。
莉子も、もう少し他のことに興味を示してくれればいいのに……まったく。
しょうがない。みんなに「俺も出る」とメールを送った。
すると、全員から「出ます」と返事がきた。
社長に電話した。
「みんな出るそうなので、よろしくお願いします」
「あははは、そう来なくっちゃあ。親分が出なきゃ、子分は出られませんよ。じゃあ、詳細は追ってメールしますね。よろしくお願いします」
親分子分? 何の話だよ? 清水の次郎長か? 勘弁してくれ。
「ター坊、仕事はどうだ?不自由してないか?」
「うん、大丈夫だよ。英語ができるナースのクラークがそばにいるから助かってる」
「そうか、それは良かった」
ちょっと言いにくい話になるかもしれない。
「モデルの話?」
ター坊がニヤリと笑う。さすがに鋭い。
「分かった?」
「みんな、お兄さんが出るかどうか気にしてたんでしょ?」
「ええ?なんで分かるんだ?」
「だって俺、休憩室でみんなに聞かれたもん」
ああ~、ヤバい。全員知ってるな……。
「そうなんだよ。で、なんでそんなことになるのか分からなくてさ。ター坊なら理由が分かるかなと思ったんだ」
「そんなこと、聞かなくても分かるよ」
ター坊はあっさりと言う。
「みんな、インスタでお兄ちゃんを見て憧れてここに入ったんだと思うよ。お兄ちゃんと一緒なら楽しいし、人にも自慢できる。でも自分だけモデルで出るくらいなら、ここには入ってないよ」
「ええ……そうなのか?」
「そうだよ。なんで俺が一発でお兄ちゃんだって分かったか、思い出せば分かるでしょ?お兄ちゃんほどきれいな人は、そうそういないよ。だからみんなの気持ちも分かるよ」
「ああ……困った……」
「困ることないでしょ?1回でもいいから、みんなと出てあげればいいじゃない?すごく喜ぶと思うよ。クリニックの女性スタッフだって似たようなもんでしょ?だからお兄ちゃんが出れば、みんなが喜ぶんだよ。これが結論ね」
「じゃあ、またね~」
そう言い残して、ター坊は帰っていった。
なんだか、胸にくさびを打たれたような気分だ。
ああ~面倒くさい。
しかし、今回は桃香の芸名デビューもかかっている。
もし「全部なし」と言ったら、莉子が怒って口をきかなくなるかもしれない。
しょうがない……出るか。くそー!!
あの社長の罠にハマった気がする。悔しい……。
結局、莉子と桃香の撮影に付き合い、さらにメンズのショーにも出ることになった。
つまり、2回も休みを使うことになる。
ああ~いやだ。なんて面倒くさいんだ。
莉子も、もう少し他のことに興味を示してくれればいいのに……まったく。
しょうがない。みんなに「俺も出る」とメールを送った。
すると、全員から「出ます」と返事がきた。
社長に電話した。
「みんな出るそうなので、よろしくお願いします」
「あははは、そう来なくっちゃあ。親分が出なきゃ、子分は出られませんよ。じゃあ、詳細は追ってメールしますね。よろしくお願いします」
親分子分? 何の話だよ? 清水の次郎長か? 勘弁してくれ。
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