医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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715話 仮の父親役

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 莉子と桃香の雑誌モデルの撮影日。

撮影場所は海の近くにある、撮影専用に貸し出されているリゾート感たっぷりの建物だった。

木製のデッキが張り出していて、いかにも海辺の雰囲気が漂う。とてもいい感じだ。

莉子と桃香は、リゾートを思わせる母娘の服装で撮影に臨んだ。

キッチンも備わっていて、そこで料理をする莉子と桃香の撮影もあった。

桃香がめちゃめちゃかわいい。一体誰の子だよ?ふふふ。大満足だ。

さらに、海辺の砂浜でも撮影が行われた。

俺は莉子が日焼けしないように、パラソルを持って手伝った。

すると、監督が突然声をかけてきた。

「すみません、後ろ姿で構いませんので、一緒に撮影をお願いできますか?」

はあ? ただ働きか? まあ、ちょっとだけならいいか。

プロダクションの担当者も来ていて、俺の反応をじっと見ている。

撮影が進むうちに、担当者が監督となにやら話をしていた。

「あの…すみません。監督から、莉子さんたちと一緒に顔出しで撮影をお願いできないかとの相談がありました。もちろんモデル料はお支払いしますが、いかがでしょう?」

莉子がじっと俺を見つめていた。

「ええ? でも服はどうするんですか? 俺は私服ですよ」

「ああ、それは大丈夫です。撮影でハシゴするので、予備の衣装が車に積んであります」

なんか嫌な予感がする。また、あの社長の戦略か? なし崩しにしようとしているな。

そこへ、莉子と桃香がやってきた。

「春ちゃん…私、春ちゃんのことを世間に自慢したい。桃香だって喜ぶよ。だってお父さんがこんなにカッコいいんだもん」

「パパ、一緒にやろうよ。お願い!」

やめてくれよ。桃香にまで言わせるのか?

「いやだ、絶対出ない。それより早く帰ろう」

そう言うと、莉子がそっと俺に抱きついてきた。桃香も同じようにくっついてくる。

「莉子、人前でやめろよ」

撮影スタッフはキョロキョロしていて、目のやり場に困っているようだ。

ああ…過去の嫌な記憶が蘇ってくる。また、同じことを繰り返すのか?

そこへ、監督がスタッフとなにやら話している。

「すみません。どうしても気が進まないなら、無理しなくてもいいそうです。撮影スタッフの一人に父親役をお願いすることになりました」

「うん? どの人ですか?」

そこには、30代前半くらいの長身のイケメンスタッフが立っていた。俺を見て、軽く微笑んで会釈する。

すると、莉子がひそひそと囁いた。

「他の男性のそばに寄りたくないよ」…じゃあ、しょうがないか。

「はい、分かりました。やります」思わずそう答えてしまった。

これは社長の策略なのか?

たとえそうだとしても、莉子を他の男のそばに寄せるのは、絶対に嫌だった。

また、負けたよ……俺、情けない。

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