医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

文字の大きさ
715 / 996

718話 赤いバラの花束

しおりを挟む
 この前のホルモン注射から、約1か月が経った。

今日は莉子を連れて、産婦人科の診察を受けに来ている。

特に問題はなかった。ただ、ホルモンパッチと漢方の飲み薬を処方された。

顆粒状だけど、粒が大きいから喉に刺激がありそうだ。莉子にはどうかな……?

だから、服薬ゼリーも一緒に買ってきた。

このゼリーで包んで飲ませれば、少しは飲みやすくなるはずだ。

「春ちゃん、帰りにお花を買ってほしい。それにカフェに寄って、おやつを食べたい」

ふふっ、珍しいな。「いいよ。何の花がいい?」

「やっぱり、真っ赤なバラでしょう?」フフッ、わかったよ。

「何本欲しいの?」

「うん? 歳の数だけだよ」

……ええっと? 誕生日じゃないし、結婚記念日でもないし……。

何か俺、忘れているかな? なんだかちょっと焦った。

花屋に着くと、洋子さんがいた。久しぶりだから、目を丸くされた。

「あら、こんにちは。お散歩ですか?」

洋子さんは相変わらずきれいだ。

「こんにちは。はい、そうです」莉子は素直に答えている。

いつもなら、激しくやきもちを妬くのに……今日はどうしたんだろう?

「ええ、まあ……赤いバラを27本、花束にしてもらえますか?」

「はい、承知しました。お誕生日ですか?」

「いえ、そうではないのですが、莉子の希望なんですよ」

「なるほど、かしこまりました」

大きな赤いバラの花束の根元を、濃いピンクの幅広いリボンと、白と赤の細いリボンをいくつか束ねて結んでくれた。

とても華やかで美しい。

礼を言い、莉子に花束を持たせると、今度はカフェへ向かった。

カフェに着くと、花は車に置いてくればいいのに、わざわざ大きな花束を抱えたまま店内へ入っていく莉子。

カウンターには、いつものように中村が親父さんと並んでいた。

「おっ、珍しいなあ? 莉子ちゃんも元気そうだね」中村が声を掛けてくれた。

「それにしても、その花束は何だ? 記念日か?」

ふっ、何と答えればいいんだ……。

莉子を見ると、ニコニコと笑うだけで何も言わない。くそーっ。

「いや、特に理由はないんだけどね。今日は、ちょっとお茶しに来たんだよ」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

閉じ込められて囲われて

なかな悠桃
恋愛
新藤菜乃は会社のエレベーターの故障で閉じ込められてしまう。しかも、同期で大嫌いな橋本翔真と一緒に・・・。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...