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718話 赤いバラの花束
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この前のホルモン注射から、約1か月が経った。
今日は莉子を連れて、産婦人科の診察を受けに来ている。
特に問題はなかった。ただ、ホルモンパッチと漢方の飲み薬を処方された。
顆粒状だけど、粒が大きいから喉に刺激がありそうだ。莉子にはどうかな……?
だから、服薬ゼリーも一緒に買ってきた。
このゼリーで包んで飲ませれば、少しは飲みやすくなるはずだ。
「春ちゃん、帰りにお花を買ってほしい。それにカフェに寄って、おやつを食べたい」
ふふっ、珍しいな。「いいよ。何の花がいい?」
「やっぱり、真っ赤なバラでしょう?」フフッ、わかったよ。
「何本欲しいの?」
「うん? 歳の数だけだよ」
……ええっと? 誕生日じゃないし、結婚記念日でもないし……。
何か俺、忘れているかな? なんだかちょっと焦った。
花屋に着くと、洋子さんがいた。久しぶりだから、目を丸くされた。
「あら、こんにちは。お散歩ですか?」
洋子さんは相変わらずきれいだ。
「こんにちは。はい、そうです」莉子は素直に答えている。
いつもなら、激しくやきもちを妬くのに……今日はどうしたんだろう?
「ええ、まあ……赤いバラを27本、花束にしてもらえますか?」
「はい、承知しました。お誕生日ですか?」
「いえ、そうではないのですが、莉子の希望なんですよ」
「なるほど、かしこまりました」
大きな赤いバラの花束の根元を、濃いピンクの幅広いリボンと、白と赤の細いリボンをいくつか束ねて結んでくれた。
とても華やかで美しい。
礼を言い、莉子に花束を持たせると、今度はカフェへ向かった。
カフェに着くと、花は車に置いてくればいいのに、わざわざ大きな花束を抱えたまま店内へ入っていく莉子。
カウンターには、いつものように中村が親父さんと並んでいた。
「おっ、珍しいなあ? 莉子ちゃんも元気そうだね」中村が声を掛けてくれた。
「それにしても、その花束は何だ? 記念日か?」
ふっ、何と答えればいいんだ……。
莉子を見ると、ニコニコと笑うだけで何も言わない。くそーっ。
「いや、特に理由はないんだけどね。今日は、ちょっとお茶しに来たんだよ」
今日は莉子を連れて、産婦人科の診察を受けに来ている。
特に問題はなかった。ただ、ホルモンパッチと漢方の飲み薬を処方された。
顆粒状だけど、粒が大きいから喉に刺激がありそうだ。莉子にはどうかな……?
だから、服薬ゼリーも一緒に買ってきた。
このゼリーで包んで飲ませれば、少しは飲みやすくなるはずだ。
「春ちゃん、帰りにお花を買ってほしい。それにカフェに寄って、おやつを食べたい」
ふふっ、珍しいな。「いいよ。何の花がいい?」
「やっぱり、真っ赤なバラでしょう?」フフッ、わかったよ。
「何本欲しいの?」
「うん? 歳の数だけだよ」
……ええっと? 誕生日じゃないし、結婚記念日でもないし……。
何か俺、忘れているかな? なんだかちょっと焦った。
花屋に着くと、洋子さんがいた。久しぶりだから、目を丸くされた。
「あら、こんにちは。お散歩ですか?」
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「こんにちは。はい、そうです」莉子は素直に答えている。
いつもなら、激しくやきもちを妬くのに……今日はどうしたんだろう?
「ええ、まあ……赤いバラを27本、花束にしてもらえますか?」
「はい、承知しました。お誕生日ですか?」
「いえ、そうではないのですが、莉子の希望なんですよ」
「なるほど、かしこまりました」
大きな赤いバラの花束の根元を、濃いピンクの幅広いリボンと、白と赤の細いリボンをいくつか束ねて結んでくれた。
とても華やかで美しい。
礼を言い、莉子に花束を持たせると、今度はカフェへ向かった。
カフェに着くと、花は車に置いてくればいいのに、わざわざ大きな花束を抱えたまま店内へ入っていく莉子。
カウンターには、いつものように中村が親父さんと並んでいた。
「おっ、珍しいなあ? 莉子ちゃんも元気そうだね」中村が声を掛けてくれた。
「それにしても、その花束は何だ? 記念日か?」
ふっ、何と答えればいいんだ……。
莉子を見ると、ニコニコと笑うだけで何も言わない。くそーっ。
「いや、特に理由はないんだけどね。今日は、ちょっとお茶しに来たんだよ」
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