医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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744話 院長見回り・2

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 次にリハビリセンターを訪れた。

端の方からしばらく様子を見ていると、二人の理学療法士が近づいてきた。

「お疲れ様です。何かご用でしょうか?」

「いや、特に用はないよ。久しぶりに時間ができたから、見学させてもらおうと思ってね」

「かしこまりました。どうぞごゆっくりご覧ください」

そう言って、二人は持ち場へ戻っていった。モデル級のイケメンだなあ……。

患者さんたちも、ここへ来るのがちょっとした楽しみになっているんじゃないか?

リハビリ受付に声をかけた。

「人手は足りていますか?」

受付のスタッフは穏やかに微笑みながら答えた。

「はい、大丈夫です。みんなで助け合っているので、特に困ることはありません」

「それならよかった。じゃあ、引き続き頑張ってくださいね」

先ほど話せなかった管理担当の大野さんと話したくなり、インカムで呼びかけると、彼は管理室にいるらしい。

地下へ降り、管理室のドアをノックすると、大野さんが顔を出した。


「お疲れ様です。ちょっとお話を聞きたくて」

大野は穏やかにうなずいた。

「はい、どうぞ何でも聞いてください」

「お掃除の方は、人手が足りていますか?シフトは問題なく回っていますか?」

「ええ、大丈夫です。現在9人いますが、希望休もきちんと組み込めていますし、パートの範囲内でみなさん働けています」

「それなら安心ですね。あと、バスの送迎で何か困っていることはありますか?」

「今のところ大きな問題はないですが……リハビリ帰りにスーパーで買い物する方が多くて、荷物が増えるんですよね。そのせいで乗り降りが大変になることはありますが、断るのも難しくて、まあ目をつぶっています」

「ははは、確かにしょうがないですね。患者さんも生活がありますしね。それでいいと思います。ところで、一番遠い患者さんはどこから来ていますか?」

「そうですね……ここから10キロほどのところです。ただ、具合が悪そうな方を断るのは難しいですね。それに、もう少し小回りの利く車があれば便利かもしれません。今のバスだと遠方の送迎の際に燃費が気になることもあります」

「なるほど、確かに。車の件は理事に相談して検討しましょう。何かあればまた理事に伝えてください。じゃあ、よろしくお願いします」

そう言って、管理室をあとにした。

 なるほど、小さい車か……それは考えていなかった。意外と便利かもしれないな。

2階へ向かった。花井部長の様子はどうだろうか。

消化器内科は、以前は座り切れないほど患者で溢れていたが、今は落ち着いて、適度にまとまっている。

今日は仁科君も診療に加わっているから、その影響もあるのかもしれない。

ちらっと覗いたところ、花井先生と目が合ってしまった。ふふっ。

「院長!お疲れ様です。何か急用ですか?」

「いや、今日はあちこちを見学しているだけだよ。ところで、仁科先生が消化器内科を担当して、少しは楽になったかな?」

「もう、雲泥の差ですよ!すごく助かっています!」

「へえ~そんなに活躍しているんですね」

「はい。内視鏡の技術は抜群ですし、診療も丁寧で、患者さんからの評判もすこぶる良いですよ。本当に素晴らしい先生が来てくれましたね」

「花井部長がそこまで褒めるなら、安心ですね。本当に良かった。ところで、彼とは患者さんの病状について話し合うことはありますか?」

「はい、週に二回、月曜と木曜の診療終わりに時間を設けています。翌日に内視鏡を受ける患者さんについて、事前に説明をしっかりしておくんです。

医局で話し合いができるよう、看護部長に協力をお願いして、患者さんの診療スケジュールを調整してもらっています」

「ああ、それはいいですね。ぜひ続けてください。お二人で検討すべきこともいろいろあるでしょう。医局はそういう場だから、どんどん活用してください。また困ったことがあれば教えてください。では、また来ますね」

そう言い残し、部屋をあとにした。

よしよし、俺の杞憂だったかな?(笑)

やっぱり仁科君は優秀だね。モテるだけのことはある。

ついでに隣の呼吸器内科の恵美先生の様子も見ていこうか。

診療室の前には患者さんが6人ほど待っていた。

ちらっと覗くと、診療の真っ最中だったため、受付の助手に声をかけた。

「用事はないんだけど、ちょっと顔を見に来ただけだから、後でそう伝えてくれますか?」

そう言い残し、そのまま失礼した。

さて、今日はそろそろ帰ろう。7階へ向かう。夏に話がある。

……そういえば、お尻の痛み、椅子に座れないほどじゃないよな? 

まさかね。でも腰を痛がっていたのは気になる。

インカムで居場所を尋ねると、理事室にいるらしい。

よし、行こう。

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