医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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812話 チャンスを待つ

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 スタッフを募集して10日になる。

「夏、今どれくらい応募があるの?」

夏はなんだか渋い表情をしていた。

「それが、あまり集まっていないんですよね」

「看護助手は3人、ナースはまだ12人なんですよ」

「ええ? じゃあ、十分に集まってるだろう? すぐ面接をしようよ」

俺は喜び勇んでそう言った。

だが夏は、「だって、この程度じゃあまり選べないじゃないですか?」などと贅沢を言っていた。

「とりあえず履歴書を見せてよ。看護部長と精査して、面接に踏み切るかどうかを決めるからさ」

こうなったら夏は無視だよ。早速、会議室に看護部長と主任に来てもらった。

そして、看護助手とナースの履歴書を見てもらった。

夏は、なんだか気に入らないような表情をしていた。夏は贅沢なんだよ……。

まあ、部長と主任がダメだというなら、俺はそれに従うよ。

二人とも、穴が空くほど履歴書を何度も見ていた。

さあ、なんて言うのかなあ……?

部長は、う~ん……と片手で頬杖をつきながら考え込んでいた。

「なに? そんなに問題なの?」と聞いても、「う~ん……」と首をひねっている。

──どちらにせよ、手放しで喜べる相手ではない、ということだよね。

もうそれだけで、俺の期待は半減した。

「看護主任はどう思うの?」

「正直、分からないんですよ。一日でも一緒に仕事をすれば、かなり見えてくるんですけど……こうやって経歴や顔写真だけだと、なかなか難しいですよね」

「いっそ、単発のアルバイトにでも来てもらう? それで判断してみたら? それとも、試用期間を設けてやってみる?」


それでも看護部長がうんと言わない。──しょうがない。俺が独断で決めよう。



爆弾を落とすように言った。

3人の視線が、俺に注がれる。

「全員、1か月の試用期間を設けます。ただし、これからあと1週間、“試用期間つき”の募集をかけます。その後、全員に試用で働いてもらいます。
アルバイト扱いで、1日で辞めてもいいし、1か月続けてもいい。最後に、本人とこちらの希望が合えば採用します。
──やっぱり、履歴書だけでは分からない部分が多々あると思うんで、それは良しとしてほしい。
途中でどうしようもなければ、その時点で帰ってもらっても構わない。そういう条件で、再度募集をかけましょう。
じゃあ、理事。この履歴書の皆さんにも“試用期間つき”になったことを連絡してくれますか?」

理事「はい。分かりました。連絡します」

看護部長と看護主任も、「はい、分かりました」と承知してくれた。

「では会議を終わります。お疲れさまでした」

皆が帰ったあと、夏が言った。

「お兄さん、全員なんて……本気ですか?」

「うん、本気だよ。──今のスタッフたちが優秀すぎるんだ。だから、踏み切れないんだと思う。

でも一緒にやっていくうちに、相性が良くなる人もいると思うんだよね。

ここは、

理事「はい。分かりました」

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