医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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811話 地雷

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 先日の看護主任や看護部長が提案してくれた受診前のテンプレートはすでに完成していて、パソコンやタブレットでも閲覧・記入が可能になっている。

すごくわかりやすくなったね。

こうして優秀な人材がいて、クリニックが前進していくのは本当にありがたいよ。

このテンプレートの存在で、内視鏡検査はさらにスムーズに回っていくだろうと思っている。

花井部長、仁科医師、湯川医師の話し合いにより、いくつかの運用が決まったそうだ。

その内容がメールで共有された。これは全スタッフに向けた情報だ。

まず、一般的な消化器内科の診療は花井部長が担当。

内視鏡が必要そうな患者については、テンプレートに事前に記入されているため、予測がつく。

そうした患者は、仁科医師か湯川医師に回す。

内視鏡検査は午前と午後に分けて、2人の医師が交代で担当する。

そのスケジュールは順番表で明確になっている。

自分で診察した患者を自身で内視鏡したい場合は、自分の順番枠を確認して、そこに予約を入れればいい。

もし都合が合わない場合は、もう一方の医師の順番枠に入れる。

緊急の場合は順番があっても、他の患者には待ってもらい、緊急患者を優先すること。

ただし、一番最後の検査枠は常に空けておくようにしている。

これは、途中で緊急患者が入っても、最後に予定されていた患者が閉院まで待たされずに済むようにするためだ。

たとえば大腸内視鏡の最後の予約は16時。

鎮静剤を使用して検査後1時間休憩しても、閉院時間までに帰れるようになっている。

そういう意味でも、食事制限のある検査の場合は、午前に大腸、午後に上部、という流れが自然にできあがる。

お腹が空いたまま夕方まで待たされるのは、患者さんがかわいそうだからね。

可能であれば、やっぱり午前中に終わるのが一番だ。

まあ、午後でも逆算すれば対応はできるんだけど……

誰でも午前中に終わらせたいんだよ、やっぱり。

それから、お父さんが早速スタッフ用の引き出しやロッカーを注文して搬入してくれた。

もう6階の休憩室はギュウギュウで、かなり窮屈になっている。

あとは、採用者用に制服を用意し、引き出し・ロッカー・名札・IDカードの準備だ。

しょうがないから、整形外科の奥のロッカーも使わせてもらうことにした。

これで、当面の問題は片付いた。

看護部長には、新規採用されたナースたちの教育の日程と場所を決めてもらった。

お掃除のスタッフには理事と山野チーフがつき、実践で今いるスタッフに教えてもらいながら、順番に覚えてもらう予定。

カフェのスタッフは、理事と常勤の小宮山小枝子さん、清水理恵子さんが担当。

まあ一応、菜の花フーズから基本的な研修は受けているはずだけどね。

──夏の秘書は、後回しだな。さぞ吟味するんだろうなぁ(笑)

実は、これが一番楽しみなんだ。

夏に「夏の秘書は俺の秘書でもあるの?」と聞いてみたら、

目をまん丸にして!

「何を言ってるんですか! お兄さんの一番の秘書は俺じゃないですか? 他には要りませんよ!」と、ムキになった。

……触れてはいけない地雷だったらしい。あははは……笑う。

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