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837話 辞令・宮本外科医・専攻医へ
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朝一で夏が、宮本君に速見先生のことを伝えたそうだ。
すると、昼休みが終わる頃に宮本君が院長室にやって来た。
「速見先生がこちらにいらっしゃると伺って、決心が固まりました。
実は、岩城先生のもとで研修をさせていただいたおかげで、少しずつ自信を取り戻すことができました。
それで、もう一度専攻医にチャレンジしたいと思っていたんです。
ただ、なかなか言い出すタイミングがなくて……。でも速見先生がこちらにいらっしゃるなら、今がちょうど良いタイミングだと感じまして……。
ぜひ、俺を岩城先生のもとに送っていただけないでしょうか?
それと、わがままですが、専攻医になった暁には、また菜の花に戻ってきてもいいでしょうか?」
「うん、いいよ。好きにしていいよ。こっちはいつでも待ってる。
診察室が足りなかったら、無理やりにでも改装して作るよ……あれ?何年も前に同じことを言ったような気がするなあ……」
宮本君は吹き出した。
「はい、まったく同じことをおっしゃっていただきました!」
アハハハ、二人で笑った。
すぐに辞令を出した。
「本当は社内の移動じゃないんだけど、まあ、同じようなものだよね」
<人事異動>
外科 宮本医師 大学病院での専攻医研修を命ずる。
終了後は復帰するものとする。
菜の花クリニック 病院長 北原春樹
まあ、遊びだよね、この辞令は。
みんなこれを見て笑っていた。
でも誰かが「これは院長の愛だね」と言っていたらしい。
看護部長が教えてくれた。
宮本君が専攻医時代のミスでメスが持てなくなり、医師を辞めようと田舎に帰ったこと。
それから菜の花クリニックで復活したことを、みんな知っているからこそ、
この異動を心から喜んで送り出してくれると思う。
岩城にもメールを送っておいた。
速見医師の代わりに宮本君を専攻医として送ること、
それから、夏はもう行かなくて済むのでごめんねという、勝手なお願いも添えて。
今度ご馳走するから許してくれって頼んだ。
岩城からは、絵文字が大量に送られてきた。笑うよ。
宮本君は、次の専攻医募集のタイミングで応募する予定だ。
岩城からはすでに病院長に話を通してあるそうで、専攻医の募集開始もあと1か月くらいだから、ちょうどいい。
しかし、速見医師がうちに来るとなると、やはり大学病院の方も困るわけだ。
それで、岩城から宮本君と即日交代で入って欲しいと言われた。
1日でも空白が出来るとシフトが大変なんだって。
それで、辞令の翌日から宮本君は大学病院に行くことになった。
ただ、いずれは戻ってくるから、挨拶は寂しいから良いですって言うんだよね。
帰ってきた時にさせてくださいだって。
「うん、まあいいよ。頑張って行っておいで。待ってるからね」
そう言って、玄関で俺と看護部長の二人で見送った。
すると、昼休みが終わる頃に宮本君が院長室にやって来た。
「速見先生がこちらにいらっしゃると伺って、決心が固まりました。
実は、岩城先生のもとで研修をさせていただいたおかげで、少しずつ自信を取り戻すことができました。
それで、もう一度専攻医にチャレンジしたいと思っていたんです。
ただ、なかなか言い出すタイミングがなくて……。でも速見先生がこちらにいらっしゃるなら、今がちょうど良いタイミングだと感じまして……。
ぜひ、俺を岩城先生のもとに送っていただけないでしょうか?
それと、わがままですが、専攻医になった暁には、また菜の花に戻ってきてもいいでしょうか?」
「うん、いいよ。好きにしていいよ。こっちはいつでも待ってる。
診察室が足りなかったら、無理やりにでも改装して作るよ……あれ?何年も前に同じことを言ったような気がするなあ……」
宮本君は吹き出した。
「はい、まったく同じことをおっしゃっていただきました!」
アハハハ、二人で笑った。
すぐに辞令を出した。
「本当は社内の移動じゃないんだけど、まあ、同じようなものだよね」
<人事異動>
外科 宮本医師 大学病院での専攻医研修を命ずる。
終了後は復帰するものとする。
菜の花クリニック 病院長 北原春樹
まあ、遊びだよね、この辞令は。
みんなこれを見て笑っていた。
でも誰かが「これは院長の愛だね」と言っていたらしい。
看護部長が教えてくれた。
宮本君が専攻医時代のミスでメスが持てなくなり、医師を辞めようと田舎に帰ったこと。
それから菜の花クリニックで復活したことを、みんな知っているからこそ、
この異動を心から喜んで送り出してくれると思う。
岩城にもメールを送っておいた。
速見医師の代わりに宮本君を専攻医として送ること、
それから、夏はもう行かなくて済むのでごめんねという、勝手なお願いも添えて。
今度ご馳走するから許してくれって頼んだ。
岩城からは、絵文字が大量に送られてきた。笑うよ。
宮本君は、次の専攻医募集のタイミングで応募する予定だ。
岩城からはすでに病院長に話を通してあるそうで、専攻医の募集開始もあと1か月くらいだから、ちょうどいい。
しかし、速見医師がうちに来るとなると、やはり大学病院の方も困るわけだ。
それで、岩城から宮本君と即日交代で入って欲しいと言われた。
1日でも空白が出来るとシフトが大変なんだって。
それで、辞令の翌日から宮本君は大学病院に行くことになった。
ただ、いずれは戻ってくるから、挨拶は寂しいから良いですって言うんだよね。
帰ってきた時にさせてくださいだって。
「うん、まあいいよ。頑張って行っておいで。待ってるからね」
そう言って、玄関で俺と看護部長の二人で見送った。
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