医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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964話 アートセラピー

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「どういう施設だって、やるからには経営が成り立たないとダメだろう?だから考えたんだよ。

まず、今の心療内科と兼精神科には新たな医師を採用して、常勤でやってもらう。

そして、サテライトの3階が空いているだろ?あそこに新たな施設を作りたいと思ったんだ。

それは普通のリハビリ施設じゃなくて、精神科のトラウマに特化した再生施設を作りたいんだよ。

そこは、リハビリが終わった人や途中の人――外科もそうだけど、手先を使うリハビリまでは今できていないだろ?

だから、作業療法士を1名常勤で採用して、その人と俺とでそこをやるんだよ。

そういう再生のための施設にしたいんだ。

たとえば、相談ルームや診察室にもなるカウンセリングルーム、作業スペースの部屋。リラックスルーム、歓談のスペース。それから受付。会計は1階でやってもらう。

今までは作業療法まで手が回らなかったからね。

心療内科や精神科の患者さんにも、絵を描くことで心を再生していってほしいんだ。

あと、買い物をしたり、洗濯物をたたんだり、台所で料理の練習をしたりできる場所も必要だよね。

そういう作業療法士のサポートも必要だ。患者さんを「治ったから」とポーンと放り出すんじゃなくてさ。

それから、莉子にやってほしいことがあるんだ。莉子、アートセラピーって知ってるか?」

莉子「うん?知らない。聞いたことない」

「芸術心理療法士(認定アートセラピスト)っていうんだよ。莉子にこれを勉強して、資格を取ってほしいんだ。

大卒の資格は要らないし、通信でも通学でもいい。半年で資格が取れるらしい。通学といっても土日だけで、月に2回くらい。時間は13時から18時までだ。

これは、心のリハビリに絵を描くことで、自分のトラウマを知り、再生していく助けになるんだ。部屋の半分は作業療法士に常勤で頼み、残りをアートスペースにして、莉子にやってほしいんだ。

つまりね、これの資格を勉強していくことで、莉子はトラウマから再生していけるような気がするんだ。

患者も医師のもとでやる場合は、医療保険や介護保険が使えるんだよ。

だから、老人施設にいる人でも作業療法を受けてもらえる。ちょうどうちはバスもあるしさ。活かしてもらえばいいだろう?」

夏「なるほど……保険が使えるなら、考えないとダメですね。お兄さんはそれをやって自分のトラウマが治せるんですか?」

「それがね、精神科の先生で、ちょっとこの前オンラインで診てくれた先生がすごく感じが良かったんだよね。
医大も俺たちと一緒なんだ。

まだ何も話してないんだけど、その人が来てくれるなら、彼に今の心療内科と精神科をやってもらって、俺も診てもらおうかと思ってるんだ。

今の菜の花の中ではプライバシーが保てないから、じっくり治療を受けることはできない。

でも、サテライトの中に防音付きのカウンセリングルームを作ってしまえば、そこに来てもらって治療してもらえるだろう?」

夏「ああ、そうですね。本当は心療内科や精神科はすべて防音室で、ゆっくりカウンセリングができるのが望ましいんですよね。

確かに今は全然それができてないですね。それは反省しますよ。

よく分かりました。早速、父に話してみます。莉子はどう?資格にチャレンジできる?」

莉子「う~ん、よくわかんない」

「ネットで概要の説明を見ればわかるよ。学校の案内動画があったよ」

莉子「じゃあ、早速見てみるよ」

「うん、二人とも頼むよ。もし、オンラインの医師がダメなら他を探すし、莉子がやりたくないなら、他の人を探すから心配しなくていいよ」

莉子「ダメーーー!明日まで待ってて!」

ふふふ、二人で笑った。

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