15 / 47
2-9
しおりを挟む
街中にふわっと、エナトリアは着地する。
俺をお姫様抱っこして。
「平気かい、姫様?」
「姫って柄じゃないんだが」
「いいじゃないか、実際姫みたいなものだろう?」
「違うって」
俺は否定しておく。
あまりカッコいいとは言えないが、一応は男なのだ。
「ホテルに行こう」
「いいけど」
「予約してあるんだ、君を救出したら連れてこようと思っていてね」
「なるほど?」
「さぁ、入ろう」
俺はエナトリアに案内されるまま、ホテルに入る。
「随分と豪華だな」
「英雄なんだ、豪勢に行かないと勇者になった意味が無い」
「いいのか、贅沢してる気がするけど」
「いいんだ、命を張ってるんだ文句は言われまい?」
「そうかもしれない」
「先ほど予約したものだが」
エナトリアは受付の人に話しかける。
「はい、話は伺ってます。どうぞエナトリア様。
そして、お連れの方もどうぞ」
受付の男が丁寧に挨拶する。
「さぁ、行こう。クルバス」
「分かった」
俺は部屋に案内される。
驚くべきことに最上階のスィートルームだ。
「どうぞこちらへ」
受付の男がカギを開ける。
「私が最初だ」
エナトリアが中に入る。
「どうぞ、お客様。
それではワタクシは仕事に戻りますので」
ホテルのスタッフが俺を誘導した後、去っていった。
「分かりました」
俺は手を振る。
「クルバス、早く」
エナトリアに催促される。
「えっと、失礼します」
こんな豪華な場所は入ったのは初めてで緊張する。
中に入って驚く。
「ようこそ、クルバス」
「これは・・・」
豪華な室内だから驚いたのではない。
エナトリアが花束を持って俺の事を出迎えてくれたからだ。
「君のために用意したんだ、受け取ってくれると嬉しい」
それはバラの花束。
花言葉は愛だったか。
それが100本もあるのだから驚く。
「男性が女性に花束を贈るのは聞いたことがあったが、
逆は初めてかもしれない」
「嬉しいな君の初めてを貰えて」
「それにしてもどうして俺に」
「もう、分かってるだろう。私が君に対してどんな思いを抱いてるのかを」
「・・・」
やっぱり、先ほどのあれは照れ隠しだったんだ。
「改めて言わせてほしい、えーっと、ごほん」
「・・・」
俺はバラの花束を抱えて、その言葉を待つ。
「私たちの旅はいつ、殺されるか分からない危険なものになるだろう。私は・・・もしものことを考えてしまった。その、もしもって言うのは私が何か不意な出来事で死んでしまった時の事だ。旅が始まった瞬間、私は死ぬことは覚悟してたつもりだったんだ。でも、心の何処かで少しだけ恐怖を感じた、その恐怖は一体何なんだろうと私なりに自問自答を繰り返した、そして答えを見つけたんだ」
「それはなに?」
「死んだ時に1人きりになるのが怖いのだと」
「・・・」
「それは皆が噂してる天国のような花畑に囲まれた暖かくも美しい景色が私を待ってるのかもしれない、でも、悪い方に考えるのなら何も無い真っ暗な空間かもしれない。どっちになるのか、はたまたもっとひどい世界に私は送られるのか、私には分からないでも、1つだけ希望を感じることを思いついたんだ」
「何だい?」
「クルバス」
「あぁ、聞いてるよ」
「私と共に死んでほしい、そうしたら私は寂しくないんだ」
「分かったよ、一緒に死のう、エナトリア。
君が魔族に殺されたのならば、俺もまた共に殺されよう。
君が空腹で餓死してしまったのならば、俺もまた空腹で倒れよう。君が崖から落ちて死んだのならば、俺もまた飛び落ちよう。
君が溺れたのならば、俺もまた海へ飛び込もう。
君に寂しい思いをさせない、好きだ、エナトリア」
「嬉しい!」
エナトリアは俺に飛びついてくる。
俺はそれを受け止めるのだった。
俺をお姫様抱っこして。
「平気かい、姫様?」
「姫って柄じゃないんだが」
「いいじゃないか、実際姫みたいなものだろう?」
「違うって」
俺は否定しておく。
あまりカッコいいとは言えないが、一応は男なのだ。
「ホテルに行こう」
「いいけど」
「予約してあるんだ、君を救出したら連れてこようと思っていてね」
「なるほど?」
「さぁ、入ろう」
俺はエナトリアに案内されるまま、ホテルに入る。
「随分と豪華だな」
「英雄なんだ、豪勢に行かないと勇者になった意味が無い」
「いいのか、贅沢してる気がするけど」
「いいんだ、命を張ってるんだ文句は言われまい?」
「そうかもしれない」
「先ほど予約したものだが」
エナトリアは受付の人に話しかける。
「はい、話は伺ってます。どうぞエナトリア様。
そして、お連れの方もどうぞ」
受付の男が丁寧に挨拶する。
「さぁ、行こう。クルバス」
「分かった」
俺は部屋に案内される。
驚くべきことに最上階のスィートルームだ。
「どうぞこちらへ」
受付の男がカギを開ける。
「私が最初だ」
エナトリアが中に入る。
「どうぞ、お客様。
それではワタクシは仕事に戻りますので」
ホテルのスタッフが俺を誘導した後、去っていった。
「分かりました」
俺は手を振る。
「クルバス、早く」
エナトリアに催促される。
「えっと、失礼します」
こんな豪華な場所は入ったのは初めてで緊張する。
中に入って驚く。
「ようこそ、クルバス」
「これは・・・」
豪華な室内だから驚いたのではない。
エナトリアが花束を持って俺の事を出迎えてくれたからだ。
「君のために用意したんだ、受け取ってくれると嬉しい」
それはバラの花束。
花言葉は愛だったか。
それが100本もあるのだから驚く。
「男性が女性に花束を贈るのは聞いたことがあったが、
逆は初めてかもしれない」
「嬉しいな君の初めてを貰えて」
「それにしてもどうして俺に」
「もう、分かってるだろう。私が君に対してどんな思いを抱いてるのかを」
「・・・」
やっぱり、先ほどのあれは照れ隠しだったんだ。
「改めて言わせてほしい、えーっと、ごほん」
「・・・」
俺はバラの花束を抱えて、その言葉を待つ。
「私たちの旅はいつ、殺されるか分からない危険なものになるだろう。私は・・・もしものことを考えてしまった。その、もしもって言うのは私が何か不意な出来事で死んでしまった時の事だ。旅が始まった瞬間、私は死ぬことは覚悟してたつもりだったんだ。でも、心の何処かで少しだけ恐怖を感じた、その恐怖は一体何なんだろうと私なりに自問自答を繰り返した、そして答えを見つけたんだ」
「それはなに?」
「死んだ時に1人きりになるのが怖いのだと」
「・・・」
「それは皆が噂してる天国のような花畑に囲まれた暖かくも美しい景色が私を待ってるのかもしれない、でも、悪い方に考えるのなら何も無い真っ暗な空間かもしれない。どっちになるのか、はたまたもっとひどい世界に私は送られるのか、私には分からないでも、1つだけ希望を感じることを思いついたんだ」
「何だい?」
「クルバス」
「あぁ、聞いてるよ」
「私と共に死んでほしい、そうしたら私は寂しくないんだ」
「分かったよ、一緒に死のう、エナトリア。
君が魔族に殺されたのならば、俺もまた共に殺されよう。
君が空腹で餓死してしまったのならば、俺もまた空腹で倒れよう。君が崖から落ちて死んだのならば、俺もまた飛び落ちよう。
君が溺れたのならば、俺もまた海へ飛び込もう。
君に寂しい思いをさせない、好きだ、エナトリア」
「嬉しい!」
エナトリアは俺に飛びついてくる。
俺はそれを受け止めるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる