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逃げ出した先に、村人たちが集まっていた。何人かは犠牲になってしまったが、それでも何人かは生き残ることが出来たみたいだった。
「勝ったのか?」
村人の1人が聞いてくる。
「いえ・・・それは」
エナトリアは申し訳なさそうに顔を背けた。
「勝ってないのか?」
「はい」
エナトリアは唇を噛む。
血が出るほど強く悔しがっていた。
「なぁ、もしかして勇者じゃないんじゃ」
誰かがそんなことを言う。
「そうだ、でなければこんなに弱いはずがない」
「初めて会った時に負けたのは、何かのトリック?」
「違いない、この勇者はペテン師だ!」
村人たちは一斉に彼女を責める。
「やめろ、それが戦ってきた者に言う台詞か?」
「村が・・・壊されたじゃないか」
「彼女はお前たちを逃がすために戦ったんだぞ。それなのに、感謝の1つもせずに、責めるだけか?あぁ!?」
俺は苛立ちをぶつける。
「感謝って・・・負けた癖に偉そうに」
村人の1人が冷たく言う。
「こいつ」
俺は胸倉を掴む。
「止めて、クルバス」
エナトリアに止められる。
「でも」
「いいの」
「・・・」
俺は手を離す。
「ふん、偽物が」
村人は捨て台詞を吐く。
「止めてよ皆、生き残ったのに争わないでよ」
先ほど助けた少女がそんなことを言う。
「ナモ・・・」
村の人たちが黙る。
「ありがとう。お嬢さん」
俺は礼を伝える。
「いいの・・・喧嘩は駄目だもん」
ナモという少女は悲しそうな眼をしてた。
「これからどーっすかな」
村人たちはそれぞれ考えていた。
「逃げるしかないだろう」
誰かが言う。
「そう・・・だな、どうせ勝てないんだ。勇者でもダメだったんだからさ・・・」
「偽物なんじゃないの?」
そんな声が聞こえてくる。
「皆さん、私にもう一度チャンスを下さい」
エナトリアは宣言する。
「何言ってるんだ、この女」
皆は彼女の事を冷ややかな目で見ていた。
「今は勝てない・・・でも、いつの日か必ず、どんな魔族に負けないほど強くなりますから」
「はいはい、口だけならなんとでも言えるんだよ」
「もういいよ、そういうの」
村人たちは冷たい態度を崩さなかった。
「でも」
エナトリアは言葉を続ける。
「そういうのさ、うざいって気づけない?今はさ住むところも家族を失った奴も居るんだよ・・・いいからもう何処かに消えて」
「分かりました」
エナトリアは歩き出す。
「待ってくれ、エナトリア」
「クルバス・・・」
「俺たちは一蓮托生・・・だろ?」
「えぇ、そうね」
そうして俺たちはこの村を後にした。
とても、後味の悪い形で。
そんな中、ある人物が俺たちのことを追いかけていた。
「おーい」
それは、ギルシュバインという男だった。
「どうしたんだ、俺たちに何か用か?」
「あぁ・・・その良かったら何だけど旅に同行させてもらえないかな?」
「俺たちは構わないが・・・でもどうしてだ?」
「僕は君たちが勇者だって信じてる」
「なに?」
俺は驚く。
それは傍に居たエナトリアも同じだった。
「風呂場で話してくれただろう。
彼女には希望を感じると」
「あぁ・・・確かに言ったな」
「これほどまでに強く人に信じられるような人物なんだ。きっと何か・・・輝くものがあったに違いない。その輝きというのが何なのか、僕は知りたいって思ったんだ・・・。それに、弱い人間でも何処かで人の役に立てる・・・その言葉に感動したんだ、僕もあまり強い人間ではないからね」
「ギルシュバイン・・・」
「君たちが強くなると本気で思ってると、僕はそう信じてる。だから、僕も一緒に強くなりたい。その答えが君たちと旅をすることで見つけられるんじゃないか。そう思ったんだ・・・だからお願いだ。連れてってくれないか?」
「いいわ」
「いいのか、エナトリア」
「その代わり、どんなことがあっても旅を止めないという覚悟はある?」
「あぁ、勿論」
「私は貴方を歓迎するわ、ようこそ私たちの仲間へ」
「こちらこそよろしく、エナトリアさん」
「エナトリアでいいわ」
「よろしく、エナトリア」
エナトリアとギルシュバインは手を交わした。こうして俺たちはギルシュバインと共に旅を始めたのだった。結果から言えば彼の判断は間違えではなかったのだろう。俺たちは魔王を倒したのだから。けれど、その後が問題だとはこの時は思わなかったのだが。
「勝ったのか?」
村人の1人が聞いてくる。
「いえ・・・それは」
エナトリアは申し訳なさそうに顔を背けた。
「勝ってないのか?」
「はい」
エナトリアは唇を噛む。
血が出るほど強く悔しがっていた。
「なぁ、もしかして勇者じゃないんじゃ」
誰かがそんなことを言う。
「そうだ、でなければこんなに弱いはずがない」
「初めて会った時に負けたのは、何かのトリック?」
「違いない、この勇者はペテン師だ!」
村人たちは一斉に彼女を責める。
「やめろ、それが戦ってきた者に言う台詞か?」
「村が・・・壊されたじゃないか」
「彼女はお前たちを逃がすために戦ったんだぞ。それなのに、感謝の1つもせずに、責めるだけか?あぁ!?」
俺は苛立ちをぶつける。
「感謝って・・・負けた癖に偉そうに」
村人の1人が冷たく言う。
「こいつ」
俺は胸倉を掴む。
「止めて、クルバス」
エナトリアに止められる。
「でも」
「いいの」
「・・・」
俺は手を離す。
「ふん、偽物が」
村人は捨て台詞を吐く。
「止めてよ皆、生き残ったのに争わないでよ」
先ほど助けた少女がそんなことを言う。
「ナモ・・・」
村の人たちが黙る。
「ありがとう。お嬢さん」
俺は礼を伝える。
「いいの・・・喧嘩は駄目だもん」
ナモという少女は悲しそうな眼をしてた。
「これからどーっすかな」
村人たちはそれぞれ考えていた。
「逃げるしかないだろう」
誰かが言う。
「そう・・・だな、どうせ勝てないんだ。勇者でもダメだったんだからさ・・・」
「偽物なんじゃないの?」
そんな声が聞こえてくる。
「皆さん、私にもう一度チャンスを下さい」
エナトリアは宣言する。
「何言ってるんだ、この女」
皆は彼女の事を冷ややかな目で見ていた。
「今は勝てない・・・でも、いつの日か必ず、どんな魔族に負けないほど強くなりますから」
「はいはい、口だけならなんとでも言えるんだよ」
「もういいよ、そういうの」
村人たちは冷たい態度を崩さなかった。
「でも」
エナトリアは言葉を続ける。
「そういうのさ、うざいって気づけない?今はさ住むところも家族を失った奴も居るんだよ・・・いいからもう何処かに消えて」
「分かりました」
エナトリアは歩き出す。
「待ってくれ、エナトリア」
「クルバス・・・」
「俺たちは一蓮托生・・・だろ?」
「えぇ、そうね」
そうして俺たちはこの村を後にした。
とても、後味の悪い形で。
そんな中、ある人物が俺たちのことを追いかけていた。
「おーい」
それは、ギルシュバインという男だった。
「どうしたんだ、俺たちに何か用か?」
「あぁ・・・その良かったら何だけど旅に同行させてもらえないかな?」
「俺たちは構わないが・・・でもどうしてだ?」
「僕は君たちが勇者だって信じてる」
「なに?」
俺は驚く。
それは傍に居たエナトリアも同じだった。
「風呂場で話してくれただろう。
彼女には希望を感じると」
「あぁ・・・確かに言ったな」
「これほどまでに強く人に信じられるような人物なんだ。きっと何か・・・輝くものがあったに違いない。その輝きというのが何なのか、僕は知りたいって思ったんだ・・・。それに、弱い人間でも何処かで人の役に立てる・・・その言葉に感動したんだ、僕もあまり強い人間ではないからね」
「ギルシュバイン・・・」
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「いいわ」
「いいのか、エナトリア」
「その代わり、どんなことがあっても旅を止めないという覚悟はある?」
「あぁ、勿論」
「私は貴方を歓迎するわ、ようこそ私たちの仲間へ」
「こちらこそよろしく、エナトリアさん」
「エナトリアでいいわ」
「よろしく、エナトリア」
エナトリアとギルシュバインは手を交わした。こうして俺たちはギルシュバインと共に旅を始めたのだった。結果から言えば彼の判断は間違えではなかったのだろう。俺たちは魔王を倒したのだから。けれど、その後が問題だとはこの時は思わなかったのだが。
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