21 / 41
4-4
しおりを挟む
この日は良い天気だ。
しかしながら、空は暗い。
そう、今は夜なのである。
「という訳で行こう、お姉ちゃん」
「これまた急な」
姉はカップアイスを食べていた。
付属の木のスプーンで今まさに食べようという瞬間に僕が話しかけてるのだ。
「行きたいところがあるの」
「夜中だよ、散歩するの危ないよ」
「お姉ちゃんが一緒だから平気だよ」
「いざとなったら守る気持ちでは居るけれど、大人数の男性に囲まれたら、さすがの私でも無理だよ?」
「今が良いの」
「夜中の今?」
「そう」
僕は引き下がらずに強引に行く。
「アイス開けたばかりなんだけどなぁ」
「ねぇ~お願い」
僕は姉に甘える。
「アイスは保存がきくから帰った後でも大丈夫だけど」
「やった」
「でも、何処に行くの?
前みたいに万年筆を買いに行くの?」
「うーん、それはお姉ちゃんのオーラが出てファンを引き寄せるからダメかな」
「それじゃ、どうするの?」
「良い場所があるの。
誰にも邪魔されず2人で散歩できる場所が」
「また、路地裏?」
「それもいいけど、もっと素敵な場所」
「それはどこ?」
「それはねぇ」
僕らはその場所へと移動した。
「墓かよ!」
姉は墓地のど真ん中で叫ぶのだった。和風な雰囲気の場所で、ライトアップされてて綺麗な所だ。
「いい場所でしょ」
僕は笑顔を向ける。
「そんなわけないじゃ~ん」
珍しく姉は怯えている。
「あれ・・・苦手だっけ」
「苦手に決まってるじゃん、大体幽霊が好きって人は居ないよ」
「僕も別に幽霊が得意ってわけじゃないよ」
「じゃあ、こんな所に来なくてもいいじゃぁあああん」
姉は泣きそうだった。
珍しくうろたえる姉に少し面白さを僕は感じていた。
「場所によるかな」
「場所ぉ?」
「幽霊が人を襲うのって理由があると僕は思ってるんだよね」
「理由?」
「獣の幽霊なら、人間の理屈は通じないかもしれないけど、相手が人間ならば人間の理屈が通じると思うんだよね」
「なにさ、その理屈ってのは」
「墓があるってのは生前愛されてないとおいてもらえないじゃん。そんな人が幽霊になっても誰かを襲うって考えにくいんだ、あんまり、お墓参りに来てくれない墓もあると思うけど、寺が管理してると思うから住職さんが時々見回りに来てくれると思うんだ。幽霊もそんな人を襲おうって思わないと思う。だから墓場の霊は怖くないかな」
「なんとなく分からないでもないような理屈ね」
「でも、例外はあるよ」
「例外?」
「例えば峠とか、樹海みたいに事故や自殺が原因で死んだ場合・・・そこの霊は間違えなく加害者を恨んでるよね。もしも・・・加害者と僕らの顔が似てたら」
「似てたら?」
「お前、顔が似てるぞ!」
僕は急に振り返って大声を出す。
「ぎゃあああああっ」
姉は悲鳴を上げる。
「あははははは」
僕が姉に勝てる数少ない場所。
それは幽霊が出る場所だ。
これは少し快感だ。
「日陰ちゃん!」
姉は怒っていた。
「ごめんよ、お姉ちゃんが可愛いものだからつい」
「全くもう、悪い子なんだから」
「えへへ」
僕は笑う。
「大体、夏でもないのに幽霊って・・・余計に寒くなるよ」
「でも、季節外れの肝試しも
いいものでしょ?」
「年中通して幽霊は苦手だな」
「そう?幽霊もいっつもヒマワリばかりで飽きるでしょ、たまには桜を見たいって思ってるよ」
「私たちが夏場に肝試しを多くするだけであって、幽霊たちは年中そこに居るんだから関係ないでしょ」
「確かにそうかも」
姉の言い分も理解できる。
「もう、これっきりにしてよね。幽霊はごめんよ」
姉は嫌そうだった。
「それじゃ、僕1人で散歩?」
「そうよ」
「お姉ちゃん」
僕は姉の服の裾を掴む。
「なに?」
「1人は寂しいよ、もう一回一緒に行こう?」
「うっ」
「ダメかな」
「他の場所じゃダメなの?
他だったら全然いいんだけど。
ほら、日陰ちゃんの大好きな苺が置いてある喫茶店とかさ」
「そういうのもいいんだけど、
こういう風情ある所にたまに来たくなるんだ」
「まぁ、確かに綺麗だけどさ」
墓場には独特の魅力がある。
死者が集まる場所なのだから、
本当はそういう観光目的で行くのは良くないのだけど、綺麗なものは綺麗なのだ。いや、人が死んだ場所だからこそ最大の敬意を払おうと思い美しい建造物が出来上がるのかもしれない。
「ねぇ、ダメかな?」
「分かったよ」
姉はため息を吐く。
「本当?」
「一回だけ、一回だけだから」
「お姉ちゃん」
僕は嬉しい気持ちになる。
「本当に私は幽霊苦手なんだからね、脅かすの禁止、いいね?」
「うん」
「来て、日陰ちゃん」
「うふふふ」
僕は姉の胸に飛び込む。
抱きしめられる感触が心地よく、
姉の胸は何処か花の香りがする気がする。バラの花にはリラックス効果があるらしいが、姉の香りと少し似てる気がした。正解ではないが、とても近い・・・そんな香りだった
しかしながら、空は暗い。
そう、今は夜なのである。
「という訳で行こう、お姉ちゃん」
「これまた急な」
姉はカップアイスを食べていた。
付属の木のスプーンで今まさに食べようという瞬間に僕が話しかけてるのだ。
「行きたいところがあるの」
「夜中だよ、散歩するの危ないよ」
「お姉ちゃんが一緒だから平気だよ」
「いざとなったら守る気持ちでは居るけれど、大人数の男性に囲まれたら、さすがの私でも無理だよ?」
「今が良いの」
「夜中の今?」
「そう」
僕は引き下がらずに強引に行く。
「アイス開けたばかりなんだけどなぁ」
「ねぇ~お願い」
僕は姉に甘える。
「アイスは保存がきくから帰った後でも大丈夫だけど」
「やった」
「でも、何処に行くの?
前みたいに万年筆を買いに行くの?」
「うーん、それはお姉ちゃんのオーラが出てファンを引き寄せるからダメかな」
「それじゃ、どうするの?」
「良い場所があるの。
誰にも邪魔されず2人で散歩できる場所が」
「また、路地裏?」
「それもいいけど、もっと素敵な場所」
「それはどこ?」
「それはねぇ」
僕らはその場所へと移動した。
「墓かよ!」
姉は墓地のど真ん中で叫ぶのだった。和風な雰囲気の場所で、ライトアップされてて綺麗な所だ。
「いい場所でしょ」
僕は笑顔を向ける。
「そんなわけないじゃ~ん」
珍しく姉は怯えている。
「あれ・・・苦手だっけ」
「苦手に決まってるじゃん、大体幽霊が好きって人は居ないよ」
「僕も別に幽霊が得意ってわけじゃないよ」
「じゃあ、こんな所に来なくてもいいじゃぁあああん」
姉は泣きそうだった。
珍しくうろたえる姉に少し面白さを僕は感じていた。
「場所によるかな」
「場所ぉ?」
「幽霊が人を襲うのって理由があると僕は思ってるんだよね」
「理由?」
「獣の幽霊なら、人間の理屈は通じないかもしれないけど、相手が人間ならば人間の理屈が通じると思うんだよね」
「なにさ、その理屈ってのは」
「墓があるってのは生前愛されてないとおいてもらえないじゃん。そんな人が幽霊になっても誰かを襲うって考えにくいんだ、あんまり、お墓参りに来てくれない墓もあると思うけど、寺が管理してると思うから住職さんが時々見回りに来てくれると思うんだ。幽霊もそんな人を襲おうって思わないと思う。だから墓場の霊は怖くないかな」
「なんとなく分からないでもないような理屈ね」
「でも、例外はあるよ」
「例外?」
「例えば峠とか、樹海みたいに事故や自殺が原因で死んだ場合・・・そこの霊は間違えなく加害者を恨んでるよね。もしも・・・加害者と僕らの顔が似てたら」
「似てたら?」
「お前、顔が似てるぞ!」
僕は急に振り返って大声を出す。
「ぎゃあああああっ」
姉は悲鳴を上げる。
「あははははは」
僕が姉に勝てる数少ない場所。
それは幽霊が出る場所だ。
これは少し快感だ。
「日陰ちゃん!」
姉は怒っていた。
「ごめんよ、お姉ちゃんが可愛いものだからつい」
「全くもう、悪い子なんだから」
「えへへ」
僕は笑う。
「大体、夏でもないのに幽霊って・・・余計に寒くなるよ」
「でも、季節外れの肝試しも
いいものでしょ?」
「年中通して幽霊は苦手だな」
「そう?幽霊もいっつもヒマワリばかりで飽きるでしょ、たまには桜を見たいって思ってるよ」
「私たちが夏場に肝試しを多くするだけであって、幽霊たちは年中そこに居るんだから関係ないでしょ」
「確かにそうかも」
姉の言い分も理解できる。
「もう、これっきりにしてよね。幽霊はごめんよ」
姉は嫌そうだった。
「それじゃ、僕1人で散歩?」
「そうよ」
「お姉ちゃん」
僕は姉の服の裾を掴む。
「なに?」
「1人は寂しいよ、もう一回一緒に行こう?」
「うっ」
「ダメかな」
「他の場所じゃダメなの?
他だったら全然いいんだけど。
ほら、日陰ちゃんの大好きな苺が置いてある喫茶店とかさ」
「そういうのもいいんだけど、
こういう風情ある所にたまに来たくなるんだ」
「まぁ、確かに綺麗だけどさ」
墓場には独特の魅力がある。
死者が集まる場所なのだから、
本当はそういう観光目的で行くのは良くないのだけど、綺麗なものは綺麗なのだ。いや、人が死んだ場所だからこそ最大の敬意を払おうと思い美しい建造物が出来上がるのかもしれない。
「ねぇ、ダメかな?」
「分かったよ」
姉はため息を吐く。
「本当?」
「一回だけ、一回だけだから」
「お姉ちゃん」
僕は嬉しい気持ちになる。
「本当に私は幽霊苦手なんだからね、脅かすの禁止、いいね?」
「うん」
「来て、日陰ちゃん」
「うふふふ」
僕は姉の胸に飛び込む。
抱きしめられる感触が心地よく、
姉の胸は何処か花の香りがする気がする。バラの花にはリラックス効果があるらしいが、姉の香りと少し似てる気がした。正解ではないが、とても近い・・・そんな香りだった
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ゆりいろリレーション
楠富 つかさ
青春
中学の女子剣道部で部長を務める三崎七瀬は男子よりも強く勇ましい少女。ある日、同じクラスの美少女、早乙女卯月から呼び出しを受ける。
てっきり彼女にしつこく迫る男子を懲らしめて欲しいと思っていた七瀬だったが、卯月から恋人のフリをしてほしいと頼まれる。悩んだ末にその頼みを受け入れる七瀬だが、次第に卯月への思い入れが強まり……。
二人の少女のフリだけどフリじゃない恋人生活が始まります!
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる