Sun&Shade&Sisters

唐草太知

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この日は良い天気だ。
しかしながら、空は暗い。
そう、今は夜なのである。
「という訳で行こう、お姉ちゃん」
「これまた急な」
姉はカップアイスを食べていた。
付属の木のスプーンで今まさに食べようという瞬間に僕が話しかけてるのだ。
「行きたいところがあるの」
「夜中だよ、散歩するの危ないよ」
「お姉ちゃんが一緒だから平気だよ」
「いざとなったら守る気持ちでは居るけれど、大人数の男性に囲まれたら、さすがの私でも無理だよ?」
「今が良いの」
「夜中の今?」
「そう」
僕は引き下がらずに強引に行く。
「アイス開けたばかりなんだけどなぁ」
「ねぇ~お願い」
僕は姉に甘える。
「アイスは保存がきくから帰った後でも大丈夫だけど」
「やった」
「でも、何処に行くの?
前みたいに万年筆を買いに行くの?」
「うーん、それはお姉ちゃんのオーラが出てファンを引き寄せるからダメかな」
「それじゃ、どうするの?」
「良い場所があるの。
誰にも邪魔されず2人で散歩できる場所が」
「また、路地裏?」
「それもいいけど、もっと素敵な場所」
「それはどこ?」
「それはねぇ」
僕らはその場所へと移動した。
「墓かよ!」
姉は墓地のど真ん中で叫ぶのだった。和風な雰囲気の場所で、ライトアップされてて綺麗な所だ。
「いい場所でしょ」
僕は笑顔を向ける。
「そんなわけないじゃ~ん」
珍しく姉は怯えている。
「あれ・・・苦手だっけ」
「苦手に決まってるじゃん、大体幽霊が好きって人は居ないよ」
「僕も別に幽霊が得意ってわけじゃないよ」
「じゃあ、こんな所に来なくてもいいじゃぁあああん」
姉は泣きそうだった。
珍しくうろたえる姉に少し面白さを僕は感じていた。
「場所によるかな」
「場所ぉ?」
「幽霊が人を襲うのって理由があると僕は思ってるんだよね」
「理由?」
「獣の幽霊なら、人間の理屈は通じないかもしれないけど、相手が人間ならば人間の理屈が通じると思うんだよね」
「なにさ、その理屈ってのは」
「墓があるってのは生前愛されてないとおいてもらえないじゃん。そんな人が幽霊になっても誰かを襲うって考えにくいんだ、あんまり、お墓参りに来てくれない墓もあると思うけど、寺が管理してると思うから住職さんが時々見回りに来てくれると思うんだ。幽霊もそんな人を襲おうって思わないと思う。だから墓場の霊は怖くないかな」
「なんとなく分からないでもないような理屈ね」
「でも、例外はあるよ」
「例外?」
「例えば峠とか、樹海みたいに事故や自殺が原因で死んだ場合・・・そこの霊は間違えなく加害者を恨んでるよね。もしも・・・加害者と僕らの顔が似てたら」
「似てたら?」
「お前、顔が似てるぞ!」
僕は急に振り返って大声を出す。
「ぎゃあああああっ」
姉は悲鳴を上げる。
「あははははは」
僕が姉に勝てる数少ない場所。
それは幽霊が出る場所だ。
これは少し快感だ。
「日陰ちゃん!」
姉は怒っていた。
「ごめんよ、お姉ちゃんが可愛いものだからつい」
「全くもう、悪い子なんだから」
「えへへ」
僕は笑う。
「大体、夏でもないのに幽霊って・・・余計に寒くなるよ」
「でも、季節外れの肝試しも
いいものでしょ?」
「年中通して幽霊は苦手だな」
「そう?幽霊もいっつもヒマワリばかりで飽きるでしょ、たまには桜を見たいって思ってるよ」
「私たちが夏場に肝試しを多くするだけであって、幽霊たちは年中そこに居るんだから関係ないでしょ」
「確かにそうかも」
姉の言い分も理解できる。
「もう、これっきりにしてよね。幽霊はごめんよ」
姉は嫌そうだった。
「それじゃ、僕1人で散歩?」
「そうよ」
「お姉ちゃん」
僕は姉の服の裾を掴む。
「なに?」
「1人は寂しいよ、もう一回一緒に行こう?」
「うっ」
「ダメかな」
「他の場所じゃダメなの?
他だったら全然いいんだけど。
ほら、日陰ちゃんの大好きな苺が置いてある喫茶店とかさ」
「そういうのもいいんだけど、
こういう風情ある所にたまに来たくなるんだ」
「まぁ、確かに綺麗だけどさ」
墓場には独特の魅力がある。
死者が集まる場所なのだから、
本当はそういう観光目的で行くのは良くないのだけど、綺麗なものは綺麗なのだ。いや、人が死んだ場所だからこそ最大の敬意を払おうと思い美しい建造物が出来上がるのかもしれない。
「ねぇ、ダメかな?」
「分かったよ」
姉はため息を吐く。
「本当?」
「一回だけ、一回だけだから」
「お姉ちゃん」
僕は嬉しい気持ちになる。
「本当に私は幽霊苦手なんだからね、脅かすの禁止、いいね?」
「うん」
「来て、日陰ちゃん」
「うふふふ」
僕は姉の胸に飛び込む。
抱きしめられる感触が心地よく、
姉の胸は何処か花の香りがする気がする。バラの花にはリラックス効果があるらしいが、姉の香りと少し似てる気がした。正解ではないが、とても近い・・・そんな香りだった













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