ゾンビと魔法少女と外宇宙邪神と変身ヒーローと弩級ハッカー、あと俺。

くろねこ教授

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Scene16 五古河逆と俺のビジネスホテル

第95話

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俺は横須賀へ着いた。
が、そこにいたのは倒れた人影。
格闘術の遣い手、凶器を身体に隠す危険な女、五古河逆【ごふるかわさからう】。

「逆、どうした」

米軍にやられたのか。
はたまた邪神。
普通の人間やゾンビにボロボロにされるようなヤツじゃない。

「フフフ。
 その通り、ゾンビ風情が五古河を傷つけられる訳が無い」

「五古河を傷つけられるのは同じ五古河。
 逆を制裁したのは俺。
 五古河凌だ」

「お前か、逆を誑かしたのは」

「誰だ、お前」

「五古河凌、【ごふるかわしのぐ】
 そいつの兄と言えば通じるか」

殺気、俺でも一瞬で分かる剣呑な雰囲気。
そいつを俺にぶつけてくる男。
背丈は俺と同じか少し低い。
しかし、逆と似たしなやかな肉体。
鍛え上げられている。
歩く姿は、豹の様。
素早さと攻撃力を合わせ持つ猛獣の気配。

「アンタ、女を傷つけるものじゃない。
 まして妹なんだろう」
「妹だからな。
 本気でぶちのめした。
 分かるか、ただのアザじゃない。
 臓器を傷つけた。
 そいつが普通の人間なら三日と保たずに死ぬだろう」

「しかし逆も五古河だ。
 うまくすれば生き延びるかもな」

逆を指して言う。
確かに逆はボロボロ。
シャツが破れ、身体に青痣が出来ている。
それだけでは無い、破れた服から見える身体は不自然に黒い。
五古河凌の台詞が事実なら致命傷。

「何故、こんなことをする?」
「分かり切った事だ。
 護衛を引き受けておきながら、
 ここまで連れて来ない。
 しかも護衛対象から目をそらしている」

五古河凌は薄笑いを浮かべる。

「馬鹿にも程が有る
 五古河の恥だ。
 自分はその恥を注いだまで」

石礫が飛んでくる。
五古河凌が俺に向かって足元の石を蹴りつけたのだ。

「七鮎川円花は何処にいる?
 逆から聞いている。
 黒い革ジャンを着た男。
 貴様が草薙だろう。
 貴様と七鮎川は一緒に行動している筈だ」

人に物を教えてくれと頼む態度じゃない。
コイツはさらに石礫を飛ばしてくるのだ。
俺は立ち上がって、避けねばならない。

「俺を傷つけていいのか。
 円花のところに案内させるんだろう」
「安心しろ」

にこやかな笑みを浮かべる五古河凌。
笑いながらも殺気を飛ばす男。
どうも逆とは違うベクトルで物騒な輩だな。

「手足の一本位無くしても案内は出来るだろう」

五古河凌が目を細める。

「その手をジャンパーから出せ」

俺は左手にバット、右手をジーンズのポケットに入れている。
相手は右手が気になる様だ。
拳銃を持ってると警戒してるらしい。
しかし、拳銃は革ジャンの内ポケット。
ジーンズに有るのは……

五古河凌が石礫を飛ばす。
避ける俺にいきなり走り寄る。
素早い。
近付いてくる動作さえ見せていなかったのに。
既に距離を詰められている。
足蹴りの動作。
俺はまだ反応できない。
こいつが逆並の実力者なら、足蹴り一発で俺の身体は吹き飛ぶ。
下手をすれば骨の一本位は持っていかれる。


『ダークビュレット』
闇の塊よ、愚か者を退けよ!

声と黒い炎。
炎が宙に舞い男を襲う。

五古河凌の動きが止まる。

ポケットから取り出した俺の右手に入ってる物は魔水晶。
シアカテルが俺の車に置いて行った物だ。
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