3 / 55
第一章バカヤロウやらかし編
やらかし2:バカヤロウ、無詠唱魔術が暴発して自爆
しおりを挟む
「う~ん、やけにリアルな夢だったな」
朝、冒険者用の安宿で目を覚ましたテスターは、さっきまで見ていた夢を思い出す。その夢の中でテスターはスキル?やら鑑定?やらを使い、そしてゴブリンに殺された。
「あの時の感覚は本当にヤバかった。死ぬってあんな感じなのかな?まあ、夢なんですけど」
「現実やで、馬鹿金髪」
「誰?」
声を掛けられた方を見ると白いローブを着た金髪の女がいた。年齢はテスターと同じぐらい、中々の美人ただが声から失礼さを感じる。それは、夢の中の女と同じ声だった。
「で、でたぁゴースト!」
「ゴーストちゃうって!アタシは天使や」
「天使ってあの、人間に祝福を与える的な?」
「せや。馬鹿金髪、お前は神様によって人間用スキルの試用者に選ばれたんや。おめでとさん」
人間用スキル。その言葉を聞いて昨日の記憶が鮮明になる。やはり、あれは夢では無かったのだと確信したテスターは右手を前に突き出し叫んだ。
「鑑定!」
その叫びに応えるかの様に、空間に文字が出現する、という事は無く叫びが虚しく響いた。
「かー!んー!てー!いー!」
「やかましい!」
「天使ー!昨日のアレ出ないんですけどー?」
「ああ、鑑定のスキルは貸しただけやからな。基本お前には同じスキルは貸さへん。ちょぅとこれ読んで」
天使は数枚の書類を空間から取り出し机の上に置く。テスターがそれらに目を通すと、どうやらそれは契約書の様だった。
「えー、何々、スキル試用者契約?これから毎日貴方は…」
【スキル試用者契約】
・貴方は神によって選ばれたスキル試用者です。スキル試用者とは、魔物と戦う強い意志を持ちながら実力が伴わない人間からランダムに選ばれた存在です。
・契約に同意した場合、その日から毎日別のスキルが貴方に貸し与えられます。
・スキルとは神が人間の為に作った、主に戦う為に作った力です。これまで神は人間に最小限の力しか与えてきませんでしたが、これからはこのスキルによって人間自身で魔物に対抗してもらう事となりました。
・神は人間に比べ強大過ぎる為、どのスキルが人間にとって有用か判断できません。そこで、スキルの効果を試験するのが貴方達試用者なのです。
・試用者は契約期間の間、毎日貸し与えられるレンタルスキルの他に自動復活のスキルが与えられます。なので命の心配はせず、どんどん魔物と戦いデータ収集にご協力いただけます。
・その他ご質問等がありましたら、専属の天使にご確認下さい。
「…なるほど。つまり、俺は昨日マジで死んだけど、この契約のサービスで復活したと」
「せやで。ちなみに、今はまだ仮契約中やけど、契約せずに今までの人生を歩む事も自由や」
「こんな美味しい話を振られて契約しない訳ないだろ!不死身だけでも大儲けなのに、さらに毎日日替わりで神の力の一部が使えるとか、すごすぎるだろ!」
本契約をするか否か。運命の分岐点でテスターは迷わなかった。正直、昨日の鑑定は自分にはいらないスキルだったが、なんせ神の力だ。テスターの念願である魔王撃破もスキルの力があれば可能。
「乗るしかねえよ、こんなビッグウェーブ!」
テスターは契約書に力いっぱいでっかい字でフルネームを書き込んた。
【私は契約内容を理解した上で神との本契約を結び、スキル試用者として励む事を誓います。テスタメント・アーモンド四世】
「はいな!ほな本契約成立って事で。あ、自己紹介してへんかったわ。アタシはあんたの専属天使ヒース。よろしくなー」
「テスターだ。こちらこそよろしく。ところで、この契約によると、俺は毎日『自動復活+日替わりのスキル一つ』が使えるって事か?」
「その認識であっとるよ。今日は無詠唱魔術や」
この時代、スキルは無くとも魔術は一応存在した。しかし、魔術の行使には長い詠唱が不可欠であり、魔術で出来る事も大体が他で代用が効くので魔術を使うのは一部の研究者か暇人だけだった。
だが、詠唱無しとなると話は変わってくる。魔術使う暇あったら相手を殴るか逃げろが常識だった時代が終わるかも知れない。
「マジか…魔術が無詠唱とかマジか…歴史変わるわコレ」
「そらまあ、アタシら歴史変えなあかん訳やし」
「よし、それじゃさっそ」
チュドドドーン!!!
「ぬぁにっ!」
これから無詠唱魔術を使おうと思ったその瞬間、テスターの右手から火球ガ下痢便の如く垂れ流され、その反動でテスターの身体は斜め45度で左上へと発射された。
「ぐえっ!」
天井に激突し、カエルの様な悲鳴をあけたテスター。それが彼が生前最期に発した言葉となった。首の骨が折れ、意識が消えていく中、テスターは思った。無詠唱はアカン、と。
朝、冒険者用の安宿で目を覚ましたテスターは、さっきまで見ていた夢を思い出す。その夢の中でテスターはスキル?やら鑑定?やらを使い、そしてゴブリンに殺された。
「あの時の感覚は本当にヤバかった。死ぬってあんな感じなのかな?まあ、夢なんですけど」
「現実やで、馬鹿金髪」
「誰?」
声を掛けられた方を見ると白いローブを着た金髪の女がいた。年齢はテスターと同じぐらい、中々の美人ただが声から失礼さを感じる。それは、夢の中の女と同じ声だった。
「で、でたぁゴースト!」
「ゴーストちゃうって!アタシは天使や」
「天使ってあの、人間に祝福を与える的な?」
「せや。馬鹿金髪、お前は神様によって人間用スキルの試用者に選ばれたんや。おめでとさん」
人間用スキル。その言葉を聞いて昨日の記憶が鮮明になる。やはり、あれは夢では無かったのだと確信したテスターは右手を前に突き出し叫んだ。
「鑑定!」
その叫びに応えるかの様に、空間に文字が出現する、という事は無く叫びが虚しく響いた。
「かー!んー!てー!いー!」
「やかましい!」
「天使ー!昨日のアレ出ないんですけどー?」
「ああ、鑑定のスキルは貸しただけやからな。基本お前には同じスキルは貸さへん。ちょぅとこれ読んで」
天使は数枚の書類を空間から取り出し机の上に置く。テスターがそれらに目を通すと、どうやらそれは契約書の様だった。
「えー、何々、スキル試用者契約?これから毎日貴方は…」
【スキル試用者契約】
・貴方は神によって選ばれたスキル試用者です。スキル試用者とは、魔物と戦う強い意志を持ちながら実力が伴わない人間からランダムに選ばれた存在です。
・契約に同意した場合、その日から毎日別のスキルが貴方に貸し与えられます。
・スキルとは神が人間の為に作った、主に戦う為に作った力です。これまで神は人間に最小限の力しか与えてきませんでしたが、これからはこのスキルによって人間自身で魔物に対抗してもらう事となりました。
・神は人間に比べ強大過ぎる為、どのスキルが人間にとって有用か判断できません。そこで、スキルの効果を試験するのが貴方達試用者なのです。
・試用者は契約期間の間、毎日貸し与えられるレンタルスキルの他に自動復活のスキルが与えられます。なので命の心配はせず、どんどん魔物と戦いデータ収集にご協力いただけます。
・その他ご質問等がありましたら、専属の天使にご確認下さい。
「…なるほど。つまり、俺は昨日マジで死んだけど、この契約のサービスで復活したと」
「せやで。ちなみに、今はまだ仮契約中やけど、契約せずに今までの人生を歩む事も自由や」
「こんな美味しい話を振られて契約しない訳ないだろ!不死身だけでも大儲けなのに、さらに毎日日替わりで神の力の一部が使えるとか、すごすぎるだろ!」
本契約をするか否か。運命の分岐点でテスターは迷わなかった。正直、昨日の鑑定は自分にはいらないスキルだったが、なんせ神の力だ。テスターの念願である魔王撃破もスキルの力があれば可能。
「乗るしかねえよ、こんなビッグウェーブ!」
テスターは契約書に力いっぱいでっかい字でフルネームを書き込んた。
【私は契約内容を理解した上で神との本契約を結び、スキル試用者として励む事を誓います。テスタメント・アーモンド四世】
「はいな!ほな本契約成立って事で。あ、自己紹介してへんかったわ。アタシはあんたの専属天使ヒース。よろしくなー」
「テスターだ。こちらこそよろしく。ところで、この契約によると、俺は毎日『自動復活+日替わりのスキル一つ』が使えるって事か?」
「その認識であっとるよ。今日は無詠唱魔術や」
この時代、スキルは無くとも魔術は一応存在した。しかし、魔術の行使には長い詠唱が不可欠であり、魔術で出来る事も大体が他で代用が効くので魔術を使うのは一部の研究者か暇人だけだった。
だが、詠唱無しとなると話は変わってくる。魔術使う暇あったら相手を殴るか逃げろが常識だった時代が終わるかも知れない。
「マジか…魔術が無詠唱とかマジか…歴史変わるわコレ」
「そらまあ、アタシら歴史変えなあかん訳やし」
「よし、それじゃさっそ」
チュドドドーン!!!
「ぬぁにっ!」
これから無詠唱魔術を使おうと思ったその瞬間、テスターの右手から火球ガ下痢便の如く垂れ流され、その反動でテスターの身体は斜め45度で左上へと発射された。
「ぐえっ!」
天井に激突し、カエルの様な悲鳴をあけたテスター。それが彼が生前最期に発した言葉となった。首の骨が折れ、意識が消えていく中、テスターは思った。無詠唱はアカン、と。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。
森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。
一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。
これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる