28 / 55
第三章キモヤロウ暴走編
暴走3:キモヤロウ、アンド、何かあった未来のキモヤロウ
しおりを挟む
それから一週間、
「今日のスキルはテイムッス」
「人も魔物も力を示せば従いますよー。昨日のツワモノさん達は例外ですけど」
ニクちゃんは毎日スキルを得て試用していたのだが、
「今日はアイテムボックスてやつッス。馬車一台分は物を収納できちゃうッス」
「ニクちゃんは馬車三台までならリフト出来ます!」
結果は、
「今日のスキルは暴食ッス!魔物を食べればどんどん強くなるッス!」
「付与魔術同様、効果ゼロでしたー!」
どれも、
「剣聖ッス!」
「ニクちゃんはもう達人ですので!」
「経験値獲得百倍ッス!」
「足りません!というか、ニクちゃんもうカンストしてる可能性大なのです!せめて、限界突破とか無いんですか?」
これも、
「オートクラフト!素材さえあれば、防具やら武器やらが一瞬で出来るッス!」
「このニクちゃん、我が肉体こそが最強と自負してます!残念ながら、武具は特にいらないのです!」
「農業ッス…」
「スキルって聖女様の代わりに現地民がバトる為のものですよね?神様ネタ切れしてて、適当なので数合わせしてるのですか?」
散々だった。
そんなこんなで更に一ヶ月程が過ぎ、ニクちゃんは貸し与えられた全部のスキルを何周かしたのだが、良し悪し以前にマトモに発動してるかも怪しいスキルが大半だった。これを報告する為、レーゼは一旦天界に帰る事になった。
「えー、ニクちゃんに割り振った十のスキルの内、半分以上が効果を実感出来ないという悲しい結果を神様に報告に行くッス。多分神様激おこぷんぷん丸ッス」
「天狗様は悪くないです!だから、神様に怒られても気にしないで下さい!」
ニクちゃんの励ましを背中に受け、レーゼは天界へと戻って行った。つまり、現在久しぶりにニクちゃんは独り身に戻っちゃったのだ。
「天狗様がお家に居ないのは寂しいですねー。最近はツワモノも来ないし、ニクちゃんお暇モードです」
ちなみに、ニクちゃんは働いていない。ホーガンステーキ系列店からの上納金と、道場破りから巻き上げる臨時収入でお金は腐る程持っている。
「誰かニクちゃんをお嫁さんにしたい人はいませんかぁー!」
ニクちゃんは玄関の前で仁王立ちになり、挑戦者を求める。だが、最近では既に一部のストーカーを除き近隣のツワモノは皆ニクちゃんに勝てない事を悟り目を合わせない。そして、ストーカーは先月くたばったし、マジでヒアカムニューチャレンジャ待ち状態である。しかし、ニクちゃんに挑む無謀な余所者がそう都合よく現れるのか?
「話は聞かせて貰った!」
無駄な挑戦者は居た。この辺りの人間では無さそうな金髪の男が挑戦者として現れた。
「俺の名はテスター!ホーガンステーキが大好きな十八歳の冒険者だ!魔王退治を目指してカシューからインゲンに来たのだが、本場のホーガンステーキが食べたくなってここに来たらオーナーさんの挑戦者募集の叫びが聞こえて飛んできたのさ!」
挑戦者はご存知この物語の主人公、バカヤロウことテスターだった。現在の話は、テスターがインゲンの港で魔王のいる島までの船が出せない事を知る少し前。つまり、第三章は一章と二章の間の話という事なので、そこん所さんよろしくお願いします。
「おおーっ、ウチのステーキの大ファンでしたか!しかし、やめとけやめとけです。失礼ですが、お客様はツワモノの域に達していません」
ニクちゃんの願力はテスターの身体能力を正確に見抜いていた。そして、残念ながらテスターの実力はニクちゃんの求める基準には届いていなかった。
「テスターさん、カシュー出身の冒険者ならゴブリン殺しのブライアンは知ってますよね?」
「ああ。よく知ってるさ」
「そのブライアンがニクちゃんの求めるツワモノ最低ラインです。それ以下の人は殺してしまうのでお断りします」
「確かに俺はブライアンさんみたいな強さは無い。だが、体力や剣技だけが人の強さじゃないだろ?」
テスターは右手を前に出し、魔術の構えを見せる。それを見たニクちゃんは、テスターから何度も死線をくぐり抜けてきた猛者の出す空気を感じ取った。
「ムムッ、不思議な方ですね。貴方は強いのかクソ雑魚なのかちょっと分からなくなりました」
「なら勝負してみようじゃないか。俺は、今の実力がインゲンの最上位の戦士にどれだけ通じるか試したい」
「良いでしょう、道場にドウジョなのです!だけど危なくなったら直ぐに止めますからね!」
二人は玄関から道場へと移り、一礼の後に戦闘が静かに始まった。
「テスターさん、先手は譲ります。貴方の得意な魔術やら何やらを遠慮なくぶつけて下さい。終わったらニクちゃんのターンです!」
「そんじゃ、お言葉に甘えて…英雄召喚!」
テスター初手スキル発動。ヒースが横に居たら「他人の前でスキル堂々と使うなやアホ」と殴られていただろうが、ヒースは今日は天界だ。今頃は他の天使と一緒に今までこデータを報告しているだろう。そして、天使達が居ない日に出会った事でテスターとニクちゃんはお互いがスキル試用者だと知らないまま出会い、戦闘をしている。
「英雄召喚?そんな魔術があるんですね!ワクワクします!」
ニクちゃんはテスターの英雄召喚をスキルだと気付かす、未知の英雄の出現に心からワクワクする。二人の間に閃光が走り、光が収まるとそこには丸々と太ったオバハンが居た。
「ゲップー!二十九代目ホーガンここに参上ー!バトルなんてめんどいですー!でも召喚されちゃったから、さっさと敵を倒しで帰るのですよ」
現れたオバハンは年齢と体格こそ違うが、どうみてもニクちゃんです。本当にありがとうございます。
「何でぇ!?」
未来の自分に何かあったのを察してニクちゃん大ショック。
「何でぇ!?」
勝負の相手の何かあった未来の姿を召喚してしまった事にテスターも大ショック。
「何でぇ!?」
若い頃の自分とやらなあかん事に未来のニクちゃんも大ショック。
「今日のスキルはテイムッス」
「人も魔物も力を示せば従いますよー。昨日のツワモノさん達は例外ですけど」
ニクちゃんは毎日スキルを得て試用していたのだが、
「今日はアイテムボックスてやつッス。馬車一台分は物を収納できちゃうッス」
「ニクちゃんは馬車三台までならリフト出来ます!」
結果は、
「今日のスキルは暴食ッス!魔物を食べればどんどん強くなるッス!」
「付与魔術同様、効果ゼロでしたー!」
どれも、
「剣聖ッス!」
「ニクちゃんはもう達人ですので!」
「経験値獲得百倍ッス!」
「足りません!というか、ニクちゃんもうカンストしてる可能性大なのです!せめて、限界突破とか無いんですか?」
これも、
「オートクラフト!素材さえあれば、防具やら武器やらが一瞬で出来るッス!」
「このニクちゃん、我が肉体こそが最強と自負してます!残念ながら、武具は特にいらないのです!」
「農業ッス…」
「スキルって聖女様の代わりに現地民がバトる為のものですよね?神様ネタ切れしてて、適当なので数合わせしてるのですか?」
散々だった。
そんなこんなで更に一ヶ月程が過ぎ、ニクちゃんは貸し与えられた全部のスキルを何周かしたのだが、良し悪し以前にマトモに発動してるかも怪しいスキルが大半だった。これを報告する為、レーゼは一旦天界に帰る事になった。
「えー、ニクちゃんに割り振った十のスキルの内、半分以上が効果を実感出来ないという悲しい結果を神様に報告に行くッス。多分神様激おこぷんぷん丸ッス」
「天狗様は悪くないです!だから、神様に怒られても気にしないで下さい!」
ニクちゃんの励ましを背中に受け、レーゼは天界へと戻って行った。つまり、現在久しぶりにニクちゃんは独り身に戻っちゃったのだ。
「天狗様がお家に居ないのは寂しいですねー。最近はツワモノも来ないし、ニクちゃんお暇モードです」
ちなみに、ニクちゃんは働いていない。ホーガンステーキ系列店からの上納金と、道場破りから巻き上げる臨時収入でお金は腐る程持っている。
「誰かニクちゃんをお嫁さんにしたい人はいませんかぁー!」
ニクちゃんは玄関の前で仁王立ちになり、挑戦者を求める。だが、最近では既に一部のストーカーを除き近隣のツワモノは皆ニクちゃんに勝てない事を悟り目を合わせない。そして、ストーカーは先月くたばったし、マジでヒアカムニューチャレンジャ待ち状態である。しかし、ニクちゃんに挑む無謀な余所者がそう都合よく現れるのか?
「話は聞かせて貰った!」
無駄な挑戦者は居た。この辺りの人間では無さそうな金髪の男が挑戦者として現れた。
「俺の名はテスター!ホーガンステーキが大好きな十八歳の冒険者だ!魔王退治を目指してカシューからインゲンに来たのだが、本場のホーガンステーキが食べたくなってここに来たらオーナーさんの挑戦者募集の叫びが聞こえて飛んできたのさ!」
挑戦者はご存知この物語の主人公、バカヤロウことテスターだった。現在の話は、テスターがインゲンの港で魔王のいる島までの船が出せない事を知る少し前。つまり、第三章は一章と二章の間の話という事なので、そこん所さんよろしくお願いします。
「おおーっ、ウチのステーキの大ファンでしたか!しかし、やめとけやめとけです。失礼ですが、お客様はツワモノの域に達していません」
ニクちゃんの願力はテスターの身体能力を正確に見抜いていた。そして、残念ながらテスターの実力はニクちゃんの求める基準には届いていなかった。
「テスターさん、カシュー出身の冒険者ならゴブリン殺しのブライアンは知ってますよね?」
「ああ。よく知ってるさ」
「そのブライアンがニクちゃんの求めるツワモノ最低ラインです。それ以下の人は殺してしまうのでお断りします」
「確かに俺はブライアンさんみたいな強さは無い。だが、体力や剣技だけが人の強さじゃないだろ?」
テスターは右手を前に出し、魔術の構えを見せる。それを見たニクちゃんは、テスターから何度も死線をくぐり抜けてきた猛者の出す空気を感じ取った。
「ムムッ、不思議な方ですね。貴方は強いのかクソ雑魚なのかちょっと分からなくなりました」
「なら勝負してみようじゃないか。俺は、今の実力がインゲンの最上位の戦士にどれだけ通じるか試したい」
「良いでしょう、道場にドウジョなのです!だけど危なくなったら直ぐに止めますからね!」
二人は玄関から道場へと移り、一礼の後に戦闘が静かに始まった。
「テスターさん、先手は譲ります。貴方の得意な魔術やら何やらを遠慮なくぶつけて下さい。終わったらニクちゃんのターンです!」
「そんじゃ、お言葉に甘えて…英雄召喚!」
テスター初手スキル発動。ヒースが横に居たら「他人の前でスキル堂々と使うなやアホ」と殴られていただろうが、ヒースは今日は天界だ。今頃は他の天使と一緒に今までこデータを報告しているだろう。そして、天使達が居ない日に出会った事でテスターとニクちゃんはお互いがスキル試用者だと知らないまま出会い、戦闘をしている。
「英雄召喚?そんな魔術があるんですね!ワクワクします!」
ニクちゃんはテスターの英雄召喚をスキルだと気付かす、未知の英雄の出現に心からワクワクする。二人の間に閃光が走り、光が収まるとそこには丸々と太ったオバハンが居た。
「ゲップー!二十九代目ホーガンここに参上ー!バトルなんてめんどいですー!でも召喚されちゃったから、さっさと敵を倒しで帰るのですよ」
現れたオバハンは年齢と体格こそ違うが、どうみてもニクちゃんです。本当にありがとうございます。
「何でぇ!?」
未来の自分に何かあったのを察してニクちゃん大ショック。
「何でぇ!?」
勝負の相手の何かあった未来の姿を召喚してしまった事にテスターも大ショック。
「何でぇ!?」
若い頃の自分とやらなあかん事に未来のニクちゃんも大ショック。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる