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【11】極夜
【11】極夜……⑦
しおりを挟む身体が軋むようだった。うなじを噛まれたせいか全身が痺れ、痛みがあってもおかしくないほどの庄なのに触れる息までも快楽として享受してしまう。
「ん……ッ」
亀頭球まで受け入れてしまったら、そこが貯め込んだ子種を吐き切って萎むまでは引き抜くことできない。うなじから首筋にかけて生温い感覚がして、ツッと伝ったミアの血は鎖骨からシーツへ滴り落ち、赤い染みを作った。
「ミア」
間欠的にビュク……、ビュクと今まで知らなかった場所へシャノンが吐精を続けている。それを促すように、ミアの中が締まって絞り尽くそうとしているのだ。それにはシャノンも身体を震わせ、ジッと目を閉じていた。
「まだ、足りない……」
射精が終わるまで、ずいぶんと時間を要した。亀頭球はいくらか萎んだものの、陰茎は硬度を失わない。
「うん、足りないね。まだたくさんあげるからね」
引き抜かずに、身体を返されミアは無意識にシャノンの肩へ腕を回し唇を重ねた。最初は血の味がしていたが、次第に唾液に交じって薄まって行く。
「シャナ、愛してるの」
口内に囁かれる言葉をコクリと飲み込んだシャノンが、小さく頷いていた。ゆっくと抽送をはじめ激しくなるにつれ、ついさっき吐き出した精液が泡立っていた。
「僕の愛の方が大きいに決まってるよ」
そんな言葉とともにミアは抱き締められ、何度もシャノンの愛情がミアの中へ注がれた。
どれくらいの時間を欲にまみれ過ごしていたか見当がつかなかった。途中、変化してホッキョクギツネになってしまったシャノンに長い舌で愛撫されたりもした。人間の姿になったりとシャノンは変化した姿を保っていることができなかったようだった。
「まだ夜……」
ミアはシャノンに背中から抱きしめられたまま、ベッドの中から窓の外を眺めている。
「うん。まだもう少し極夜は続くよ。少し落ち着いてきた?」
「だいぶ楽になりました」
うなじにキスをされたミアは、ハッとして恐るおそる手を伸ばす。そこには確かに噛み跡が残っていて、ミアは両手で口元を覆った。
「ミア、痛い?!」
「痛くはありません。犬歯が大きな跡になってるから、シャナに噛んでもらえたんだなって実感してるんです。夢かと思ったから」
「夢じゃないよ。一息で仕留めたからきれいに跡がついた」
「仕留めるって……。私、獲物ですか」
クスクス笑うミアのヒートは、すっかり治まったようだった。
「ミア、せっかく皆が飾りつけしてくれたからクリスマスのお祝いをしよう」
「今、何日ですか?」
「年は明けたよ」
「ええ?!クリスマス、終わってるじゃないですか!サンタクロースは来たのですか?」
起き上がろうとするも、ミアは動くことができなかった。
「まだ終わってないよ。ここら辺は暦が違うから、年が明けてからクリスマスを祝うんだよ。それに僕たちは大人だからサンタクロースは来ないよ」
「ええ……。私、すごく楽しみしていたのに」
「欲しいものがあったの?」
「特には」
シャノンがミアを抱き寄せ、腹の辺りを摩っている。
親切で少しおせっかいなサンタクロースたちが、扉の向こうへ食事とともにたくさんのプレゼントを置いて行ったことに、まだふたりは気づいていない。
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