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再び美少女と出会い、困惑していた俺は更なるトラブルに巻き込まれる
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「お~~い、ソーマー」
ティーカから手を離すと、ミリが呼びかけながら走ってくる。
彼女はすぐに俺達の傍らまで近づくと、肩で息をしながら俺を見つめる。
「はぁ、はぁ。もう、ソーマってば勝手に先に行っちゃって~。追いつくの大変だったよ~」
「あ、ごめんごめん。人が襲われてると思ったらつい急ぎ過ぎちまってさ。でも、何とかなったからさ」
頭を掻きつつ、少しふくれっ面のミリに謝罪する。こちらもとんでもない美少女だが、ここ数週間ともに旅をしていた事もあり、どうにかなれる事が出来たから、ティーカよりは普通に話が出来る。
「それで? そっちの人が食肉花の群れに襲われてた人?」
「ん、ああ。そうだ。彼女はティーカ。旅の踊り子さんらしい。ティーカ、こっちはミリ。俺がここに来てから初めて行った獣人の村の子で、今はこの辺りに不案内な俺に同行して旅してくれてる仲間だ」
そう告げ、俺はティーカに向き直る。が、彼女に慣れないせいか、妙に声が上ずってしまう。
あ~、だせぇ。カッコ悪いな、童貞メンタル。
「そうですか。宜しくお願いしますね、ミリさん」
「うん。宜しくね、ティーカさん」
そんな自分のカッコ悪さに凹む俺の横で、ミリとティーカが笑いあいながら握手している。
「そ、それでさ。ティーカはこんなところで何をしてたんだ?」
その自然なやり取りを見ているを余計に凹んできそうだったので、俺は無理やり口を開いた。
声をかけられ、ティーカは俺の方を向き直り、柔和に笑う。
「はい。実は私、ある隊商と共に商業都市を目指して旅をしていたのですが、その隊商は街道から外れたある村からこちらを目指していました。ですが、都市を目の前にして突然草原の真ん中に先ほどの化け物が現れて……隊商は慌てて逃げたのですが、その過程で私だけが取り残されてしまいまして……」
「なるほど。だから、こんな何もない草原のド真ん中で化け物に囲まれてたのか」
「はい。急いで走る隊商から私だけが躓いて取り残されてしまって。こんな非常時に足を取られるなんて、私は運がないですね。昔からそうなんです。どうにも間が悪いというか、色々良くない時に逃げ遅れたりする事が多くて」
困ったように笑って告げるティーカ。彼女の顔には自嘲のような色が浮かんでいる。
「そっか。でも、間に合ってよかった。たまたま近くを通ってる時でさ。その点なら運は良かったんじゃないか」
「うんうん。あたしたちが間に合わなかったら、ティーカは今頃食肉花のお腹の中だったものね。ほんとラッキー」
俺とミリが口々に告げ、自嘲気味のティーカに笑いかける。それから、俺は服についた埃を払い、続ける。
「あのさ。俺達も今から商業都市に向ってるところなんだ。もう目前だけど、どうせだから一緒に行かないか?」
「え? 良いのですか?」
俺の提案に、ティーカは驚いたような顔をする。そんな彼女に、俺はなるべく緊張が見えないように笑いかける。
「ああ。まぁ、こうして出会ったのも何かの縁だしな。ミリも良いだろ?」
「うん。旅は人数が多い方が賑やかで楽しいし、一緒に行こうよ!」
ミリも大きく頷き、楽しそうに飛び跳ねた。
すると、ティーカは嬉しそうに笑う。
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
「ああ。そんじゃ、行こうぜ」
そう言って、俺はミリとティーカと共に、目前に見える商業都市を囲う巨大な壁に向って歩き出した。
そうしていると、俺もほんの少し冷静さを取り戻し、俺はティーカに以前出会った時の事を尋ねようとする。
「あ、あのさ、ティーカ。俺達は数週間前に東の山の中で……」
「それで、お二人は何故旅をされているのですか?」
しかし、それに被せる様な形で、ティーカが尋ねてくる。彼女はニコニコと軽く首を傾げ、俺達を見つめた。
あまりにも突然問われたので、俺は虚を突かれてしまう。そのまま質問を被せるのも、悪い気がして先にその問いに答える事にした。
「あ、俺達、っていうか俺の事情なんだけど、人族の一番デカい都を目指してるんだ。ちょっと事情があって人の役に立つことがしたくてさ。で、さっき見せた俺の能力って戦う事に特化したものだから、何かないかなって思ってたら、人族の敵だっていう魔族が近々攻めてくるって噂を聞いてさ。それが本当なら、俺もその戦いに手を貸そうって事でさ」
「あたしは自分をじっちゃんに預けて立ち去ったっていう両親を探して旅をしてるんだ。旅に出る直前にソーマに村を救ってもらったから、そのお礼にって道案内とかで一緒に旅に出たんだよ。両親を探しながら、ソーマの目的にも協力するつもりだから、あたしも人族の王都を目指してるんだよ」
俺達が口々に告げると、ティーカはほぉ~っと吐息を漏らす。
「そうだったのですね。そうですか。確かに王都では、昨今魔族の跳梁が噂されていて、城では傭兵を募っているとも聞きましたが。なるほど。ただ、まだ噂として流れてきたぐらいのものですし、真偽を確かめた方が良いかもしれませんね。王都まではまだ遠いですし、無駄足になる可能性もありますので」
ティーカが口にすると、俺はミリと顔を見合わせる。
なるほど。そういえば、まだ噂って話だし、実際に王都がどうなってるのかまでは分からないのか。
「そっか。なら、商業都市についたら情報収集でもしてみるか。あれだけデカい街なら、何か知ってる人ぐらいいそうだしな」
「だね~。あたしも人間の都の事なんて何も知らないし、調べた方が良さそう」
「そういう事でしたら、助けていただいたお礼に私もお手伝いしますね」
ティーカは笑顔でそう申し出てくれた。まぁ、情報を聞くぐらいなら俺達だけでどうにかなりそうな気もするが、彼女がそう言ってくれるなら断る理由も無いかと、俺はその申し出を受ける事にした。
そこで一度会話が途切れる。俺はすかさずティーカに再び出会って逃げられた時の事を問おうとする。
「あ。それでさ、ティーカ……」
「あ! もうすぐ商業都市の入り口に着きますよ。お二人とも、急ぎましょう」
だが、再びそれを遮るようにティーカは叫び、楽しそうに笑って先を走って行ってしまう。
「あ、ちょっと……」
「何してるの、ソーマ。早く行こう!」
呼び止める間もなく走っていくティーカを追い、ミリもさっさと走り出してしまったので、俺は仕方なく二人の跡を追う事にした。
まぁ、山の中で見かけた件は後で聞けばいいか。
そうして、俺達は都市へと入った。関所みたいなものはあったが、俺達の方から来たモノは怪しい者でなければ誰でも通れるらしい。人間と獣人、踊り子という不可思議な組み合わせの俺達は少し疑われはしたものの、武器やらを持っていなかった事が幸いして、すぐ解放してもらえた。
「疑って悪かったな。山の方から来たならこの都市は珍しかろう。ゆっくり見物してくと良い」
俺達を身体検査したおっちゃんも最後にはこの通り気のいい調子で笑ってくれた。
その対応に、ここは良い場所だなとつくづく思う。死ぬ前の俺だったら、謂れの無い嫌疑をかけられ、ひどい目にあわされていたかもしれない。まぁ、これは想像だけど。
そんなこんなで俺達は人で賑わう通りを、三人連れ立って歩く。時折好機の視線にさらされている気がしてむずがゆかったが、別に悪意は感じなかったので無視する事にした。
「多分、人と獣人が一緒にいるのが珍しいのでしょう。獣人は人とは友好的ですが、基本同族同士でしか行動しない事が多いですから。商いに来る獣人達も、多くは同族で固まって行動していますし」
その事を気にする俺に、ティーカはそう教えてくれた。
「へぇ~。そっか、ミリみたいに俺みたいな人間と一緒に行動しているのは珍しいのか」
この世界での新たなる常識に、俺は感心したように声を漏らす。それはミリも同じだったようで、何故か同じように感嘆の声を漏らしていた。まぁ、ミリはまだ世間知らずだって事らしいから仕方ないかもしれんが。
「それで、ソーマ。何処から行こうか?」
ミリに問われ、俺は少し考える。こういう、中世欧州みたいな世界観なら、情報収集は……。
「とりあえず、酒場にでも行ってみようか。情報収集なら、酒場って相場が決まってる。俺の知る限りは、だけど」
「なるほど。それは名案ですね。酒場なら昼夜問わず人が集まる筈ですから、何か知ってる方も大勢いるかと。今はちょうどお昼時ですし、なおさら賑わっている事でしょう」
俺の言葉にティーカを手を鳴らす。
その反応に、俺は胸をなでおろす。どうやら俺の判断は間違っていないらしい。大昔にやったゲーム知識だったけど、この世界でも通用するようだ。
「でも、酒場で飲み食いしてる人が都合よく話をしてくれるかな~。皆、自分の話とかで持ち切りかもしれないし。お酒飲むと人の話聞かない人も多いよ。村の皆もそうだったし」
しかし、ミリから不穏な問い掛けが来て、俺は黙る。
なるほど。この世界だとそういう可能性もあるのか。少し前に読んだ異世界モノのラノベだと、『よぉ、兄弟』とか話しかけて色々話してくれてたけど、確かに相手が気さくな人とも限らないモノな。それ以前に、俺にそんな大それた話しかけ方は出来るか怪しいのだが。
「それでしたら、私にお任せ下さい。皆さまの注意を引いてごらんに入れます」
が、そんな俺の不安を払うように、ティーカは笑って告げた。
「どうするんだ?」
「それは、着いてからのお楽しみという事で」
笑顔で告げ、ティーカはそのまますたすたと先を行ってしまう。俺は首を傾げたが、考えても仕方ないので彼女に黙って従う事にした。
それから俺達は、近場に見えた酒の看板のある店の扉を潜る。
中は、昼時という事もあり、とてつもない賑わいだった。座席はすべて埋まり、そこには筋骨隆々なおっさんやら華奢な若者、手持ちの竪琴を手にした詩人っぽい男、商人風の恰好の男など様々な人種が思い思いに食事していた。
彼らは昼間だというのに、木の盃に注がれたビールっぽい何か―多分、エール酒だとかラガーだとか、そういう類
の酒――をうまそうに飲んだり、皿盛りの肉やら野菜やらを夢中で食べており、各テーブルの間を給仕の女性達が駆け回っているのが見える。難とも慌ただしい光景。まさに昼時!
こりゃすぐには話なんて聞けそうもないな。さて、どうしたものか。
「ここに集まりの皆さま、ご照覧下さい!」
と、唐突にティーカが大音声を上げる。その声は店全体に広がり、全員の顔が上がる。
それを見越したように、ティーカがゆっくりと動き出した。緩やかに、されど洗練された動きで手足を動かし、彼女はゆらりゆらりと踊り始める。
それは舞だとすぐに気付く。そうした時には、俺の目は彼女から一切離せなくなっていた。
洗練され優雅な手足と体の動き、時に激しく、時に優しく、優雅に、情熱的に彼女は舞った。美しい舞を。
それは、昔テレビで見かけた事がある中東の踊り子達の舞う姿とよく似ていた。時に手を伸ばし、時に足を天高く上げ、またある時はくるりと優雅に回って見せ、更にある時は宙がえり。
その度に、彼女の美しい髪が空を流れる光のようにキラキラと煌めき、頭のティアラや装束の宝飾が輝く。
それはまるで、夢の世界にいるような、この世のものではないような美しさを讃え、俺達の心を幻惑の世界へといざなっていく。
やがて、彼女はすっと止まった。それが舞の終わりだと気づくのには、それから一瞬の時を必要とした。
俺がはっとすると、同時に店全体も同じように我に返ったかのような気配がした。
そして、店全体から盛大な拍手が送られる。
それを見計らい、ティーカは店の前方中央で装束の裾を持って、優雅にお辞儀して見せた。
「昼餐の最中に突然申し訳ございません。私ども、少しお尋ねしたい事があり、こちらへ参りました。どうか皆さまの中で、王都ヴェスタリアに迫る魔族どもの噂について存じ上げる方がいらっしゃいましたら、お話を伺わせていただけませんでしょうか? お話のお代は今の踊りでございます。どんなお話でも結構でございます。どうかどうか、御協力の程を」
そして、頭を下げたまま、彼女は朗々と告げた。
「ああ。俺、聞いた事あるぞ。何でも魔族が大軍を率いて王都に迫ってるらしいって。それも人に気取られないよう、少しずつ王都を囲むように周辺の土地に潜入してるって話だ」
「俺も聞いたぜ。その魔族を迎え撃つために、王都じゃ各地から腕に覚えのある傭兵を雇ってるって話だ。デカい山だから俺も乗ろうかって考えてたところだ。魔獣の群れやら、魔族と戦う事にはなるが、上手く行きゃ大金持ちだしな」
すると、店中の人々が喝采を上げ、次々に情報を口にした。彼らは競って彼女に向けて情報を叫び、一気に誰が何を言っているのか分からなくなる。
「皆さま、ありがとうございます。後ほどそちらを回らせていただきますので、知っている事がある方はお声をかけて下さいませ」
その騒ぎを、ティーカは天使のような微笑みで見つめ、告げる。そして、俺達が立ち尽くしている間に、ティーカは店内を回り、瞬く間に店内全ての人から情報を聞き出してしまった。
それから、彼女は最後に店主の立つカウンターに向い、懐から取り出した金貨を一枚渡す。
「お騒がせした詫び代です。お受け取り下さい」
彼女が笑っていうと、店主も笑って、何やらズタ袋に纏めて彼女に渡した。
それを受け取り、ティーカは俺達のところへ戻ってくる。
「店主の方から食料を分けていただきました。では、次に参りましょうか」
呆気にとられて動けない俺達を促し、ティーカはさっさと酒場を後にした。
それから数店舗、ティーカは同じようにして情報を収集を済ませてしまった。
そして、時刻は瞬く間に日暮れとなり、俺達は今日の宿をとる事となった。
「ふぅ~、今日も疲れたな」
そう、藁のベットに座り込みながら、俺はしみじみと言う。それから顔を上げ、対面で椅子に座るティーカとミリの方を見る。
「って言っても、街についてからの情報収集は全部ティーカがやってくれたけどな。ほんと助かったよ、ティーカ。ありがとな」
「そうだね。急に踊りだしたから驚いたけど、あんな注目の集め方があったなんて。あたしも今度、踊ってみようかな。今度あたしにもやり方を教えてよ、ティーカ」
口々に言い、俺とミリはティーカに尊敬のまなざしを向ける。実際、結局、酒場での情報収集はティーカがあっという間に済ませてしまい、俺達はただ立っているだけだった。あの後も彼女の手腕は相当なもので、瞬く間に王都についての情報は集まり、魔族が大陸中のどこかに潜入している事、戦乱に備えて王都では傭兵の募集を行い、腕利きを集めている事や各地に出没する魔族や魔獣の情報を積極的に集めている事などが判明した。
「いえいえ。お役に立てて光栄です。命を助けていただいたわけですから、この程度は当然の事ですし」
大して、ティーカは謙虚な態度を崩す事はない。それでも、俺達から彼女への感謝は変わる事は無かった。
そうしていると、俺は急な眠気に襲われる。今日は朝早くに行動を開始したから、流石に疲れたのだろう。途中からほんとに突っ立ってただけだけど。
「悪い。そろそろ眠気が限界だわ。今日はもう休もう。明日は王都までの旅の準備に当てて、明後日出発。王都に着いてからの予定は、城にいって傭兵募集に応じる。それでいいよな、ミリ」
「うん。大丈夫! じゃあ、あたしも眠いから寝るよ」
「お二人がお休みなら、私もお暇致します。本日は本当にありがとうございました」
「こちらこそだよ、ティーカ。じゃあ、二人ともお休み」
俺が告げると、二人も部屋を出て行った。今日は大きな都の宿という事もあり、今いる安い宿でも部屋は十分にあるという事で、二人とは部屋を分けてもらった。精神衛生上、同室で美少女が寝てるなんてやはり辛いから。
そんなわけで、二人を見送り、俺は寝台に寝そべって布団をかぶった。
今のところ、順風満帆。旅には大きなトラブルもなく、とてつもなく順調だ。このままいけば、無事に王都までは辿り着けそうだ。
死ぬ前の不運が嘘みたいだな。
ふと考えると、不意に強烈な睡魔が襲ってきて、俺は瞬く間に眠りに落ちてしまった。
……それから、どれくらい時間が経ったのか。
俺は無意識の中で何かが近づいてくるような気配を何故か感じ、真っ暗闇な夢から不意に目を覚ます。
「……んッ」
とはいえ意識は完全には目覚めていない。薄目を開いても、視界はぼやける。しかし、その視界の薄暗い中で急に更なる暗闇が覆いかぶさった。
なんだ……。
その正体を確認する為、寝返りを打って頭上を見上げる。すると、何かが一瞬輝いた。
それは青白い夜の明かりに反射し、とてつもなく鋭利で危険な殺意を孕んでいて。
「!?」
――慌てて俺は目を開く。そこには、円状の鋭い刃を構えたティーカの姿があった。彼女はそのまま、振りかぶった刃を俺目掛けて振り下ろす。
「ッ!!」
俺は慌てて飛び起きると、背後に思い切り飛び退り、その一撃をかわす。
「ティ、ティーカ!?」
俺は困惑と恐怖の入り混じった声を上げる。それを、ティーカは無表情で見つめていた。
なんだよ、なんだよ、なんなんだよ!
順風満帆だと思ったら、いきなりコレかよ。一体、何がどうしたってんだ!
突然の状況に、俺は内心で思い切り叫んでいた。
ティーカから手を離すと、ミリが呼びかけながら走ってくる。
彼女はすぐに俺達の傍らまで近づくと、肩で息をしながら俺を見つめる。
「はぁ、はぁ。もう、ソーマってば勝手に先に行っちゃって~。追いつくの大変だったよ~」
「あ、ごめんごめん。人が襲われてると思ったらつい急ぎ過ぎちまってさ。でも、何とかなったからさ」
頭を掻きつつ、少しふくれっ面のミリに謝罪する。こちらもとんでもない美少女だが、ここ数週間ともに旅をしていた事もあり、どうにかなれる事が出来たから、ティーカよりは普通に話が出来る。
「それで? そっちの人が食肉花の群れに襲われてた人?」
「ん、ああ。そうだ。彼女はティーカ。旅の踊り子さんらしい。ティーカ、こっちはミリ。俺がここに来てから初めて行った獣人の村の子で、今はこの辺りに不案内な俺に同行して旅してくれてる仲間だ」
そう告げ、俺はティーカに向き直る。が、彼女に慣れないせいか、妙に声が上ずってしまう。
あ~、だせぇ。カッコ悪いな、童貞メンタル。
「そうですか。宜しくお願いしますね、ミリさん」
「うん。宜しくね、ティーカさん」
そんな自分のカッコ悪さに凹む俺の横で、ミリとティーカが笑いあいながら握手している。
「そ、それでさ。ティーカはこんなところで何をしてたんだ?」
その自然なやり取りを見ているを余計に凹んできそうだったので、俺は無理やり口を開いた。
声をかけられ、ティーカは俺の方を向き直り、柔和に笑う。
「はい。実は私、ある隊商と共に商業都市を目指して旅をしていたのですが、その隊商は街道から外れたある村からこちらを目指していました。ですが、都市を目の前にして突然草原の真ん中に先ほどの化け物が現れて……隊商は慌てて逃げたのですが、その過程で私だけが取り残されてしまいまして……」
「なるほど。だから、こんな何もない草原のド真ん中で化け物に囲まれてたのか」
「はい。急いで走る隊商から私だけが躓いて取り残されてしまって。こんな非常時に足を取られるなんて、私は運がないですね。昔からそうなんです。どうにも間が悪いというか、色々良くない時に逃げ遅れたりする事が多くて」
困ったように笑って告げるティーカ。彼女の顔には自嘲のような色が浮かんでいる。
「そっか。でも、間に合ってよかった。たまたま近くを通ってる時でさ。その点なら運は良かったんじゃないか」
「うんうん。あたしたちが間に合わなかったら、ティーカは今頃食肉花のお腹の中だったものね。ほんとラッキー」
俺とミリが口々に告げ、自嘲気味のティーカに笑いかける。それから、俺は服についた埃を払い、続ける。
「あのさ。俺達も今から商業都市に向ってるところなんだ。もう目前だけど、どうせだから一緒に行かないか?」
「え? 良いのですか?」
俺の提案に、ティーカは驚いたような顔をする。そんな彼女に、俺はなるべく緊張が見えないように笑いかける。
「ああ。まぁ、こうして出会ったのも何かの縁だしな。ミリも良いだろ?」
「うん。旅は人数が多い方が賑やかで楽しいし、一緒に行こうよ!」
ミリも大きく頷き、楽しそうに飛び跳ねた。
すると、ティーカは嬉しそうに笑う。
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
「ああ。そんじゃ、行こうぜ」
そう言って、俺はミリとティーカと共に、目前に見える商業都市を囲う巨大な壁に向って歩き出した。
そうしていると、俺もほんの少し冷静さを取り戻し、俺はティーカに以前出会った時の事を尋ねようとする。
「あ、あのさ、ティーカ。俺達は数週間前に東の山の中で……」
「それで、お二人は何故旅をされているのですか?」
しかし、それに被せる様な形で、ティーカが尋ねてくる。彼女はニコニコと軽く首を傾げ、俺達を見つめた。
あまりにも突然問われたので、俺は虚を突かれてしまう。そのまま質問を被せるのも、悪い気がして先にその問いに答える事にした。
「あ、俺達、っていうか俺の事情なんだけど、人族の一番デカい都を目指してるんだ。ちょっと事情があって人の役に立つことがしたくてさ。で、さっき見せた俺の能力って戦う事に特化したものだから、何かないかなって思ってたら、人族の敵だっていう魔族が近々攻めてくるって噂を聞いてさ。それが本当なら、俺もその戦いに手を貸そうって事でさ」
「あたしは自分をじっちゃんに預けて立ち去ったっていう両親を探して旅をしてるんだ。旅に出る直前にソーマに村を救ってもらったから、そのお礼にって道案内とかで一緒に旅に出たんだよ。両親を探しながら、ソーマの目的にも協力するつもりだから、あたしも人族の王都を目指してるんだよ」
俺達が口々に告げると、ティーカはほぉ~っと吐息を漏らす。
「そうだったのですね。そうですか。確かに王都では、昨今魔族の跳梁が噂されていて、城では傭兵を募っているとも聞きましたが。なるほど。ただ、まだ噂として流れてきたぐらいのものですし、真偽を確かめた方が良いかもしれませんね。王都まではまだ遠いですし、無駄足になる可能性もありますので」
ティーカが口にすると、俺はミリと顔を見合わせる。
なるほど。そういえば、まだ噂って話だし、実際に王都がどうなってるのかまでは分からないのか。
「そっか。なら、商業都市についたら情報収集でもしてみるか。あれだけデカい街なら、何か知ってる人ぐらいいそうだしな」
「だね~。あたしも人間の都の事なんて何も知らないし、調べた方が良さそう」
「そういう事でしたら、助けていただいたお礼に私もお手伝いしますね」
ティーカは笑顔でそう申し出てくれた。まぁ、情報を聞くぐらいなら俺達だけでどうにかなりそうな気もするが、彼女がそう言ってくれるなら断る理由も無いかと、俺はその申し出を受ける事にした。
そこで一度会話が途切れる。俺はすかさずティーカに再び出会って逃げられた時の事を問おうとする。
「あ。それでさ、ティーカ……」
「あ! もうすぐ商業都市の入り口に着きますよ。お二人とも、急ぎましょう」
だが、再びそれを遮るようにティーカは叫び、楽しそうに笑って先を走って行ってしまう。
「あ、ちょっと……」
「何してるの、ソーマ。早く行こう!」
呼び止める間もなく走っていくティーカを追い、ミリもさっさと走り出してしまったので、俺は仕方なく二人の跡を追う事にした。
まぁ、山の中で見かけた件は後で聞けばいいか。
そうして、俺達は都市へと入った。関所みたいなものはあったが、俺達の方から来たモノは怪しい者でなければ誰でも通れるらしい。人間と獣人、踊り子という不可思議な組み合わせの俺達は少し疑われはしたものの、武器やらを持っていなかった事が幸いして、すぐ解放してもらえた。
「疑って悪かったな。山の方から来たならこの都市は珍しかろう。ゆっくり見物してくと良い」
俺達を身体検査したおっちゃんも最後にはこの通り気のいい調子で笑ってくれた。
その対応に、ここは良い場所だなとつくづく思う。死ぬ前の俺だったら、謂れの無い嫌疑をかけられ、ひどい目にあわされていたかもしれない。まぁ、これは想像だけど。
そんなこんなで俺達は人で賑わう通りを、三人連れ立って歩く。時折好機の視線にさらされている気がしてむずがゆかったが、別に悪意は感じなかったので無視する事にした。
「多分、人と獣人が一緒にいるのが珍しいのでしょう。獣人は人とは友好的ですが、基本同族同士でしか行動しない事が多いですから。商いに来る獣人達も、多くは同族で固まって行動していますし」
その事を気にする俺に、ティーカはそう教えてくれた。
「へぇ~。そっか、ミリみたいに俺みたいな人間と一緒に行動しているのは珍しいのか」
この世界での新たなる常識に、俺は感心したように声を漏らす。それはミリも同じだったようで、何故か同じように感嘆の声を漏らしていた。まぁ、ミリはまだ世間知らずだって事らしいから仕方ないかもしれんが。
「それで、ソーマ。何処から行こうか?」
ミリに問われ、俺は少し考える。こういう、中世欧州みたいな世界観なら、情報収集は……。
「とりあえず、酒場にでも行ってみようか。情報収集なら、酒場って相場が決まってる。俺の知る限りは、だけど」
「なるほど。それは名案ですね。酒場なら昼夜問わず人が集まる筈ですから、何か知ってる方も大勢いるかと。今はちょうどお昼時ですし、なおさら賑わっている事でしょう」
俺の言葉にティーカを手を鳴らす。
その反応に、俺は胸をなでおろす。どうやら俺の判断は間違っていないらしい。大昔にやったゲーム知識だったけど、この世界でも通用するようだ。
「でも、酒場で飲み食いしてる人が都合よく話をしてくれるかな~。皆、自分の話とかで持ち切りかもしれないし。お酒飲むと人の話聞かない人も多いよ。村の皆もそうだったし」
しかし、ミリから不穏な問い掛けが来て、俺は黙る。
なるほど。この世界だとそういう可能性もあるのか。少し前に読んだ異世界モノのラノベだと、『よぉ、兄弟』とか話しかけて色々話してくれてたけど、確かに相手が気さくな人とも限らないモノな。それ以前に、俺にそんな大それた話しかけ方は出来るか怪しいのだが。
「それでしたら、私にお任せ下さい。皆さまの注意を引いてごらんに入れます」
が、そんな俺の不安を払うように、ティーカは笑って告げた。
「どうするんだ?」
「それは、着いてからのお楽しみという事で」
笑顔で告げ、ティーカはそのまますたすたと先を行ってしまう。俺は首を傾げたが、考えても仕方ないので彼女に黙って従う事にした。
それから俺達は、近場に見えた酒の看板のある店の扉を潜る。
中は、昼時という事もあり、とてつもない賑わいだった。座席はすべて埋まり、そこには筋骨隆々なおっさんやら華奢な若者、手持ちの竪琴を手にした詩人っぽい男、商人風の恰好の男など様々な人種が思い思いに食事していた。
彼らは昼間だというのに、木の盃に注がれたビールっぽい何か―多分、エール酒だとかラガーだとか、そういう類
の酒――をうまそうに飲んだり、皿盛りの肉やら野菜やらを夢中で食べており、各テーブルの間を給仕の女性達が駆け回っているのが見える。難とも慌ただしい光景。まさに昼時!
こりゃすぐには話なんて聞けそうもないな。さて、どうしたものか。
「ここに集まりの皆さま、ご照覧下さい!」
と、唐突にティーカが大音声を上げる。その声は店全体に広がり、全員の顔が上がる。
それを見越したように、ティーカがゆっくりと動き出した。緩やかに、されど洗練された動きで手足を動かし、彼女はゆらりゆらりと踊り始める。
それは舞だとすぐに気付く。そうした時には、俺の目は彼女から一切離せなくなっていた。
洗練され優雅な手足と体の動き、時に激しく、時に優しく、優雅に、情熱的に彼女は舞った。美しい舞を。
それは、昔テレビで見かけた事がある中東の踊り子達の舞う姿とよく似ていた。時に手を伸ばし、時に足を天高く上げ、またある時はくるりと優雅に回って見せ、更にある時は宙がえり。
その度に、彼女の美しい髪が空を流れる光のようにキラキラと煌めき、頭のティアラや装束の宝飾が輝く。
それはまるで、夢の世界にいるような、この世のものではないような美しさを讃え、俺達の心を幻惑の世界へといざなっていく。
やがて、彼女はすっと止まった。それが舞の終わりだと気づくのには、それから一瞬の時を必要とした。
俺がはっとすると、同時に店全体も同じように我に返ったかのような気配がした。
そして、店全体から盛大な拍手が送られる。
それを見計らい、ティーカは店の前方中央で装束の裾を持って、優雅にお辞儀して見せた。
「昼餐の最中に突然申し訳ございません。私ども、少しお尋ねしたい事があり、こちらへ参りました。どうか皆さまの中で、王都ヴェスタリアに迫る魔族どもの噂について存じ上げる方がいらっしゃいましたら、お話を伺わせていただけませんでしょうか? お話のお代は今の踊りでございます。どんなお話でも結構でございます。どうかどうか、御協力の程を」
そして、頭を下げたまま、彼女は朗々と告げた。
「ああ。俺、聞いた事あるぞ。何でも魔族が大軍を率いて王都に迫ってるらしいって。それも人に気取られないよう、少しずつ王都を囲むように周辺の土地に潜入してるって話だ」
「俺も聞いたぜ。その魔族を迎え撃つために、王都じゃ各地から腕に覚えのある傭兵を雇ってるって話だ。デカい山だから俺も乗ろうかって考えてたところだ。魔獣の群れやら、魔族と戦う事にはなるが、上手く行きゃ大金持ちだしな」
すると、店中の人々が喝采を上げ、次々に情報を口にした。彼らは競って彼女に向けて情報を叫び、一気に誰が何を言っているのか分からなくなる。
「皆さま、ありがとうございます。後ほどそちらを回らせていただきますので、知っている事がある方はお声をかけて下さいませ」
その騒ぎを、ティーカは天使のような微笑みで見つめ、告げる。そして、俺達が立ち尽くしている間に、ティーカは店内を回り、瞬く間に店内全ての人から情報を聞き出してしまった。
それから、彼女は最後に店主の立つカウンターに向い、懐から取り出した金貨を一枚渡す。
「お騒がせした詫び代です。お受け取り下さい」
彼女が笑っていうと、店主も笑って、何やらズタ袋に纏めて彼女に渡した。
それを受け取り、ティーカは俺達のところへ戻ってくる。
「店主の方から食料を分けていただきました。では、次に参りましょうか」
呆気にとられて動けない俺達を促し、ティーカはさっさと酒場を後にした。
それから数店舗、ティーカは同じようにして情報を収集を済ませてしまった。
そして、時刻は瞬く間に日暮れとなり、俺達は今日の宿をとる事となった。
「ふぅ~、今日も疲れたな」
そう、藁のベットに座り込みながら、俺はしみじみと言う。それから顔を上げ、対面で椅子に座るティーカとミリの方を見る。
「って言っても、街についてからの情報収集は全部ティーカがやってくれたけどな。ほんと助かったよ、ティーカ。ありがとな」
「そうだね。急に踊りだしたから驚いたけど、あんな注目の集め方があったなんて。あたしも今度、踊ってみようかな。今度あたしにもやり方を教えてよ、ティーカ」
口々に言い、俺とミリはティーカに尊敬のまなざしを向ける。実際、結局、酒場での情報収集はティーカがあっという間に済ませてしまい、俺達はただ立っているだけだった。あの後も彼女の手腕は相当なもので、瞬く間に王都についての情報は集まり、魔族が大陸中のどこかに潜入している事、戦乱に備えて王都では傭兵の募集を行い、腕利きを集めている事や各地に出没する魔族や魔獣の情報を積極的に集めている事などが判明した。
「いえいえ。お役に立てて光栄です。命を助けていただいたわけですから、この程度は当然の事ですし」
大して、ティーカは謙虚な態度を崩す事はない。それでも、俺達から彼女への感謝は変わる事は無かった。
そうしていると、俺は急な眠気に襲われる。今日は朝早くに行動を開始したから、流石に疲れたのだろう。途中からほんとに突っ立ってただけだけど。
「悪い。そろそろ眠気が限界だわ。今日はもう休もう。明日は王都までの旅の準備に当てて、明後日出発。王都に着いてからの予定は、城にいって傭兵募集に応じる。それでいいよな、ミリ」
「うん。大丈夫! じゃあ、あたしも眠いから寝るよ」
「お二人がお休みなら、私もお暇致します。本日は本当にありがとうございました」
「こちらこそだよ、ティーカ。じゃあ、二人ともお休み」
俺が告げると、二人も部屋を出て行った。今日は大きな都の宿という事もあり、今いる安い宿でも部屋は十分にあるという事で、二人とは部屋を分けてもらった。精神衛生上、同室で美少女が寝てるなんてやはり辛いから。
そんなわけで、二人を見送り、俺は寝台に寝そべって布団をかぶった。
今のところ、順風満帆。旅には大きなトラブルもなく、とてつもなく順調だ。このままいけば、無事に王都までは辿り着けそうだ。
死ぬ前の不運が嘘みたいだな。
ふと考えると、不意に強烈な睡魔が襲ってきて、俺は瞬く間に眠りに落ちてしまった。
……それから、どれくらい時間が経ったのか。
俺は無意識の中で何かが近づいてくるような気配を何故か感じ、真っ暗闇な夢から不意に目を覚ます。
「……んッ」
とはいえ意識は完全には目覚めていない。薄目を開いても、視界はぼやける。しかし、その視界の薄暗い中で急に更なる暗闇が覆いかぶさった。
なんだ……。
その正体を確認する為、寝返りを打って頭上を見上げる。すると、何かが一瞬輝いた。
それは青白い夜の明かりに反射し、とてつもなく鋭利で危険な殺意を孕んでいて。
「!?」
――慌てて俺は目を開く。そこには、円状の鋭い刃を構えたティーカの姿があった。彼女はそのまま、振りかぶった刃を俺目掛けて振り下ろす。
「ッ!!」
俺は慌てて飛び起きると、背後に思い切り飛び退り、その一撃をかわす。
「ティ、ティーカ!?」
俺は困惑と恐怖の入り混じった声を上げる。それを、ティーカは無表情で見つめていた。
なんだよ、なんだよ、なんなんだよ!
順風満帆だと思ったら、いきなりコレかよ。一体、何がどうしたってんだ!
突然の状況に、俺は内心で思い切り叫んでいた。
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