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事件が起きた結果、新しく人助けをする事になる
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「ティーカ! 何すんだ!」
目の前で輪っか状になった刃物を構えるティーカに、俺は困惑の叫びをあげる。
対して、ティーカは無言。そのまま手に持った輪を投げつけてくる。その攻撃を、俺は受け身の容量で横に転がってかわす。俺が一瞬前までいたところに、柱に刃物がぶっ刺さる。
確かコレ、インドの投擲武器だとか参考文献で見た事がある。実際に見るのは初めてだが、随分威力があるこって。って、んな事言ってる場合じゃねぇ!!
俺はすぐさま立ち上がり、その場から駆け出してティーカに飛びかかろうと試みる。
当のティーカはと言えば、別のところから取り出したチャクラムを俺目掛けて投げつけるところだった。
「おい、止めッ」
俺はその攻撃を止めようと彼女に飛びつくが、それは空を切る。ティーカは俺が飛びつく一瞬前に飛びのき、空中からチャクラムを投げおろす。
「うぉッ!」
その攻撃を、俺は無理やり身を捩って避ける。が、その無理な体勢が祟って、俺はそのまま転倒。床を転がる。
「くッ。いってぇ~」
何とか体を起こそうと上体を持ち上げて立膝をつく。その隙、ティーカは素早く着地すると即座に前方へ飛び掛かり、俺の右肩に強烈な飛び膝蹴りを叩きつけた。
「うッ!」
苦悶が口から漏れる。俺はそのまま地面に倒され、右腕を足で抑えられる。頭上には無表情のティーカ。彼女は左の手で持ったナイフを俺目掛けて振り下ろそうとする。それを動かせる左手で受け止め、俺は彼女を睨みつける。
「クソッ! お前、急に何しやがる!」
その声に反応して、ティーカが一瞬ビクっと痙攣する。
彼女はそのまま無表情を崩さないまま語る。
「おめでたい男。狙われてるとも気付かないで私を受け入れて」
「何!!? お前、まさか最初から俺を殺そうと……」
「そうよ。私は貴方を殺す為に近づいた。わざと信用を得られるように行動して、隙を見て……思いのほか、簡単に信用してもらえたから、すぐにチャンスは来たのよ。それが今」
昼間とは打って変わった冷たい声で、彼女は告げる。
「なんで……俺を殺そうなんてするんだ? お前と俺は今日初対面のは……」
そう言いかけて、俺は思い出す。彼女とは初対面ではない。最初に降り立った山の中腹、そこのストーンサークルの劇場で彼女を見ているのだ。
「貴方が悪いのよ。貴方が、獣人の村近くの魔方陣を破壊なんてするから……だから、私は……私達は解放されていたのに」
その事実を裏付けるように、ティーカは呟く。その声は当初こそ冷酷なものだったが、次第に苦悶の色をにじませていく。
「な、何を言って……」
「うるさい! もう何もかもが手遅れよ。あの妙な力を使う前に、終わらせてもらうわ!」
絞り出すように叫び、彼女は開いた右手に手品のようにナイフを出現させる。
「これで終わり。これで、私達はすべてから解放されるの」
うわごとのように呟き、ティーカは右手のナイフを振りかぶる。
クソッ!
このままじゃヤバイ!
「貴方さえ、貴方さえいなければ! だから、死んで! 私達の為に!!」
そして、叫びと共にナイフは無情にも振り下ろされた。
だが、俺の意識は全く違う所に飛ばされていた。脳裏に蘇る、ある記憶の中に。
それは小学校の頃に、とある女子が無人の机に落書きをしていたのを諫め、うるさいと言われていらっと来たので、教師に聞こえる声で落書きしてると言ったら、教師に落書きがばれ、女子は酷く怒られた。
それから、女子は怒られた腹いせに俺を睨みつけていった。
『クソ! てめぇのせいだ!! てめぇさえいなければ!!!!』
瞬間、俺の中で激しい怒りが湧き上がってきた。目の前の少女は記憶の中のある女子とは全く似ていなかったが、その姿が何故か重なって見えた。
「ふっざけんな!!! 俺がいなかったとしても悪いのはてめぇだ!!! くだらねぇ悪戯なんぞしやがって!!」
同時に胎内から強烈な衝動が走る。湧き上がった怒りは即座に爆発し、俺の全身を満たした。
「ッ!!?」
途端溢れ出す黒い光。一気に噴出したその光は、ティーカが振り下ろしたナイフを一瞬で塵に変え、そのまま爆発的に広がってティーカの体に激突、その体ごと上空へと吹き飛ばす。上空に打ち上げられたティーカの体はそのまま天井に激突した。
「か、はぁ……」
苦悶の呻きを漏らし、ティーカの体は一瞬反発したかと思うと、そのまま地面へ向けて落下してくる。
それに気付き、俺の怒りは一瞬で消え去る。同時に全身を覆っていた光も拡散し、俺は慌てて立ち上がる。
「ティーカ!」
叫び、落下する彼女の体を何とか受け止める。強烈な衝撃が体に入るが、何とか堪える。そのまま床に寝かせ、俺は一息つく。
「いってぇ。だ、大丈夫か、ティーカ」
そのまま彼女に声をかけると、彼女は完全に気を失っているようで、何も答えなかった。慌てて確認すると、一応息はあるようだ。
「良かった。殺してはいないみたいだな……にしても、どうするかな、コレ?」
自分を襲ってきて自分が気絶させた女の子。彼女の処置をどうしたらいいのか分からず、俺は困った。
このまま床に寝かしたままってわけにもいかないし、かと言ってこのまま自由にしておくとまた襲ってくる可能性が高い。さて、どうしたものか。
「ソーマ! どうしたの? 凄い音がしたけど!」
と、そこへ騒ぎを聞きつけたミリが駆け込んできた。そういえば、隣室で寝てたんだったな。彼女は騒ぎが始まった時点では気付かなかったみたいだが、俺の攻撃で天井にティーカが激突した音で気づいたようだ。
彼女はそのまま俺の部屋に一歩足を踏み入れ、俺と床で倒れるティーカを見るなり尋ねてきた。
「一体、何があったの?」
俺もどう答えていいものか分からず、頬をかくしかできなかった。
それから暫く、結局簡潔に起きた事をミリに説明すると、彼女は驚いていた。が、すぐに気を取り直したように、何処から取り出した麻縄でティーカの手足を椅子に座らせた状態で縛りつける。
「お~、助かるな。また暴れだされたら困ると思ってたんだ。ってか、その縄は何処から出したんだ?」
「獣人は腰に山の中で暮らす為の七つ道具をつけてるんだ。これはその中の一つ。本当は崖とかに出くわした時に使うものだけど、悪い人を捕まえておくのにも重宝するんだ。獣人の村の人ならだれでもこれぐらい出来るよ」
「そうなのか……とりあえず、助かったよ」
謎の新事実に慄き、もし万が一ミリにけしからん狼藉なんてした日には縛りつけられるのかと戦慄する。もちろん、童貞メンタルのクソ雑魚にそんな狼藉が働けるわけがないけど!
「さて、この人どうする? 夜の街に放り出す?」
「いや。襲われてた時に、何やら訳ありっぽい事を口にしてたんだよ。俺が獣人の村近くの魔方陣さえ壊さなければ私達は解放された~とか。もしかしたら、何かあるのかも。どうするかは、それを聞き出してからでも遅くないよ」
そう告げ、とりあえず二人で周囲を警戒しながら、彼女が起きるのを待つ。襲撃が一度あった以上、もしかしたらまた何らかの攻撃を仕掛けてくる輩がいるかもしれないから。
ただ、幸いにも仕掛けてくる相手はいなかった。その間に、ティーカが目を覚ます。
「ぅ~~ん……はッ!!」
「お、起きたか」
それを確認し、俺はミリと共に目覚めたティーカへと近づく。それを受けて、ティーカは俺達をにらみつける。
「な……どうして、私を殺さないの? 貴方を襲ったのに」
「ちょっと聞きたい事があったからな。なんか事情がありそうだったし、もしかしたら俺を狙ってる黒幕みたいな連中がいるのかもって思ってさ」
生きている事に困惑しているティーカに、俺はそう告げ、質問を投げかける。
「さっきも聞いたけど、何で俺を殺そうとした? 獣人の村近くで見つけたあの魔方陣について何か知ってるみたいだが、あれはお前が作ったものなのか?」
その問いに、ティーカは答えなかった。口を固く結び、悔し気にそっぽを向く。それを見て、ミリが肉球から生えた爪をシャキンと伸ばす。
「こら! 答えてよ! 答えないと、その可愛い顔にあたしのかぎづめの一撃が炸裂するよ~~!」
素振りと言わんばかりに爪を伸ばした手をシャカシャカと動かすミリ。何となくその動きがかわいらしい気もするが、実際あんな美少女の顔を爪で引っかかれたら悲惨だからぜひ止めていただきたい。
「まぁ、ミリ。とりあえず、落ち着いてくれ。それはともかくだ。お前、さっき言ってたよな。俺を殺せば、私たちは解放されるって。って事は、お前の裏に誰かしらいるんじゃないのか? それも、私達と来た。って事は、少なくともお前以外にもう一人、誰かがいる。もしかして、その裏にいる奴に大事な誰かを人質にとられて、仕方なく俺を襲った、とかじゃないか?」
ミリを制し、俺は自分の中で彼女が目覚めるまでにまとめた自説を語って見せる。その言葉に、ティーカはまたしてもビクっと驚き、弾かれたように俺の顔を見つめる。
「どうして……そんな事を」
「そう言いだすって事は図星だな? まぁ、簡単な推理だよ。お前の話を聞いてりゃ誰でも思いつくような、な」
俺は肩を竦め、おどけて見せる。実際、この程度の推理はたぶん誰にでも出来る。彼女が根っからの悪人でないという前提であれば、だが。
そうだ。この段階に至っても、俺は彼女が純然たる悪人に思えていない。その理由は様々だが、一番は彼女の踊る舞があまりに洗練され過ぎているという事。私利私欲で動くような悪人が、あそこまでの芸を極められるか?と俺は考えたわけだ。まぁ、そういう人間もいるんだろうけど。心のどこかでそういう部分が重なって、だから俺の能力が発動しても彼女は生きているんじゃないかと、俺はそう思っている。
「で、どうなんだ? 誰かに命じられて、俺を殺そうとしたんじゃないのか?」
「……」
彼女は躊躇うようにまた視線を反らす。その躊躇いは、自分に指示を出した誰かに対する恐れからか。それとも俺を襲ってしまったことへの罪悪感か。
「……そうです。貴方の言う通り、私はある者たちに命じられて貴方を殺そうとしました」
やがて、彼女は意を決したように語り始める。それを、俺とミリは無言で聞く。
「あの者たち、それは貴方の想像している通り、私の大切な人、たった一人の弟を攫って私に協力するように命じたんです」
「そいつら、もしかして、魔族って連中の事か?」
「! そうです。でも、何故」
「いや、何となくだ。でも、魔族ってのがこの辺りに入り込んでるって噂も聞いたし、もしかしたらって思ってさ。そっか。って事は、俺が破壊した魔獣を呼び寄せる魔方陣って、そいつらが作ったものなんだな」
その言葉にも、ティーカははっとして、小さく頷く。それから更に彼女は語り始める。
「今から一月程前の事です。私達兄弟は、大陸の西、王都よりも先の土地を旅していたんです。私達はそこから王都へ向かっていました。もともと私達は母とまだ物心もつかない弟と私の三人、三年ほど前からとある理由で旅をしてきたんです。ですが、母が死に、まだ幼い弟と私の二人だけで旅を続けることになった折、魔族達が人族の領域に侵略を企てているという噂を耳にしました。彼らは狡猾で残忍、かつ凶悪で古来から人族とは折り合いが悪く長い事戦争を続けてきた種族です。そんな彼らが人族を攻めてきた時に戦乱に巻き込まれてはと、私達は急ぎ王都へと向かっていたのです。ですが、彼らの先遣隊は既に人族達の収めるこの大陸に侵入しており、私達は運悪く彼らに囚われました。私は弟を守る為に必死で抗いましたが力及ばず、弟を彼らに奪われてしまったのです。そうして、彼らは言いました。弟を返して貰いたければ我々に協力しろ。素直に従えば、悪いようにはしないぞ、と」
「なるほど。それでお前は、連中の言いなりで色々やる羽目になったってわけか」
「はい。私達の部族には舞の他に、古来より伝わる暗殺術や不思議な秘術と呼ばれる力が伝わっていました。私も母からその力を授かり、今日まで生きてきたのです。彼らはその力に目を付け、私に人族の暗殺や秘術による大陸をひそかに横断して王都を挟み撃ちにする計画の為の手引きを強要しました。獣人の村の傍に仕掛けられた魔獣を呼び寄せる魔方陣は、その為の実験の一つです。同時に、戦争になれば人族に手を貸すであろう獣人族達の戦力を削る為に魔獣を使って村の一つを襲わせたんです」
ティーカの言葉に、俺もミリもほぉーっと息を漏らす。
なるほど。全部がつながったな。
「って事はさ。俺が獣人の村に行く直前にストーンサークルの劇場で会ったのは、やっぱりお前だったって事か」
「はい。あの時は、何かを気取られてはと、慌てて逃げだしてしまったんです」
そうかそうか。そういう事だったのか。
「それで、今度は魔方陣を破壊した俺の存在が連中にとって邪魔になったからって俺に近づいたのか。魔獣に襲われてまで……」
「いえ。あれは私の秘術で作り出した幻です。そこいらに転がっていた岩などを媒介にして、幻の魔獣を作り出し、襲われたフリをしたんです」
「幻? あれが?」
俺は驚きのあまり、つい声を上げてしまう。
そこでふと気が付く。最後に飛び出した魔獣を殴り倒した時、妙な手応えがあった事を。
あれは殴ったのが偶然岩のある部分だったからあんなに固い感触がしたのか。
「あの周辺は、本当は大きな岩がいくつもあったんです。それらを使って幻を作り出し、あなた方が来るのを見計らって助けを呼びました」
「へぇ~。秘術ってそんな事が出来るのか、凄いな。そういや、魔族がひそかに大陸を渡るのを手引きしたとか行ったけど、それも幻で連中を隠してとかって事か?」
「はい。彼らを共に歩く隊商のように見せかけ、大陸中を横断しました」
「はぁ~、そいつはすげぇや。で、お前は俺を殺せば、弟と自分を解放してやるって言われて、今日俺に襲い掛かったってわけだな」
そこまで聞けば大体の事情は理解できる。つまり、最初から俺ははめられてたって事だ。まぁ、さっき襲われた以外は大して害も無かったし、別に気も悪くはならないけど。綺麗な舞とか散々見せてもらったし。
「にしても、その魔族ってのはとんでもねぇ悪党だな。自分達の為に、ティーカとその弟を利用するなんてよ~。どうせそんな奴らの事だから、俺をうまく殺せてたとしても何やかやで解放しないか、お前達を殺すつもりだろうぜ」
そして、率直な感想を述べる。俺の頭の中では昔のアニメとかで見たシーンが思い浮かぶ。任務を果たして、『約束通り解放してもらう』とかいうと『ああ、解放してやるよ。二人仲良く地獄に送ってな!』とか言って、人質も利用して散々働かせた相手も殺すつもりだ。
あ~、なんかちょっとムカついてきたぞ。
とか言ってたら、なんかティーカがしゅんとしてしまった。おっと、俺いらん事言ったかも。
「ああ、すまん。言い過ぎた。でも、お前は本当に俺を殺したら解放してくれる、なんて信じてるのか?」
「いいえ。貴方の言う通り、彼らがまっとうに約束を守るなど有り得ません。でも、協力を拒めば、間違いなく私達は殺されてしまう。選択の余地が無かったのです」
それでも、許されるような事ではないですが……と、ティーカは申し訳なさそうに告げる。そこから深い罪悪感のようなモノを感じる。
そうか。俺を殺そうとした時に何でって聞いた時も実際殺そうとした時の苦悶も、罪悪感のせいだったんだな。
「分かった。ティーカが悪人じゃないってわかっただけでよかったよ。せっかくこうして出会えた相手を疑うのは、あんまり気持ちのいいものじゃないしな。でも、その弟を助け出さないとどうにもならんな。ついでに魔族を倒さないと……」
そう言って、俺はミリに目線を合わせ、どうしようかと問いかける。でも、ミリにだっていい方法は思いつかないみたいで首を横に振るだけだった。はぁ~、さてどうしたものか。
「あ、あの……」
とか考えていたら、ティーカから困惑した声が聞こえる。
「ん?」
「あの……どうして私の弟を助けようなんて話になるのでしょうか?」
「いやいや、だって困ってる人が目の前にいるわけだろ? 話聞いたからには放置できないって」
「そうそう。ソーマはそう言う人だから。あたし達の村を助けてくれた時だって、通りがかったからって、あたし達を助けてくれたんだから。だから、ソーマは凄いんだ」
「いや、別に凄くはないけど。ただ、話を聞いた以上は、何か自分にできそうな事が無いかってぐらいは考えないと寝ざめ悪くてさ。それに、出来るだけ良い事をして、死後に天国の両親に会うのが俺の目標だから。困ってる人は見捨てない方が徳もたまるしな」
俺は指を立て、悪戯っぽく笑って見せる。それからティーカに尋ねる。
「ってかさ。あんまり言いたくないけど、弟は無事なのかな。実際、近くにいない以上は何しても分からないわけだし、他人を平気で脅すような奴らが無事に保護してるように思えないんだけど……」
「それは大丈夫です。私達の里に伝わる秘術で、弟の居場所がわかります。居場所がわかるという事は弟はまだ生きているという証です。また危害を加えられたら、すぐに分かります。この術の事は彼らも知っています。だから、弟には下手な手出しは出来ません」
「え!? 弟の居場所がわかるのか? マジか、ソレ」
俺は身を乗り出し、縛られたままのティーカの肩を掴んで尋ねる。その反応に驚き、ティーカは目を丸くしてこちらを見つめた。
「は、はい。正確な場所まではもう少し近づかなければ分かりませんが、おおよその場所なら」
「そうか。はは。それなら、策はある。最後に聞きたい。その弟の居場所がわかる術、他の誰かにもかけられたりするのか?」
「はい。精度は落ちますが、多少なら感じられるようにはできます」
「上等。それだけ分かれば、どうとでもなるぜ。良い事を思いついた。ミリも聞いてくれ」
そう言って、ミリも顔を近づけてもらい、小声で思いついた作戦を二人に話す。
「な!!? そんな事……出来るのですか?」
「ああ。俺とミリ、それにティーカがいれば実現は可能だ。それぞれ多少負担はあるが、十分成功させられる」
「うん。面白そう! あたし頑張るよ!」
やる気を出すミリを笑って見つめ、続けてティーカに視線を移す。
「まぁ、ティーカが一番危険だが、それほど歩の悪い賭けってわけでもない。これで魔族の連中に一泡吹かせてやろうぜ。どうだ?」
ニヤリと笑い、俺はティーカを見つめる。すると、最初は迷っていた瞳が見る間に決意のものへと変わる。
「はい。やります。弟を助け出せるなら、命だって惜しくありません!」
「大丈夫だ。いざとなりゃ、俺が何とかする。魔族どもに、きっちり落とし前つけさせてやろうぜ!」
ビシっと親指をたて、俺は二人の美少女に対して悪戯坊主のように笑った。
さぁ、反撃開始と行こうじゃねぇか!
目の前で輪っか状になった刃物を構えるティーカに、俺は困惑の叫びをあげる。
対して、ティーカは無言。そのまま手に持った輪を投げつけてくる。その攻撃を、俺は受け身の容量で横に転がってかわす。俺が一瞬前までいたところに、柱に刃物がぶっ刺さる。
確かコレ、インドの投擲武器だとか参考文献で見た事がある。実際に見るのは初めてだが、随分威力があるこって。って、んな事言ってる場合じゃねぇ!!
俺はすぐさま立ち上がり、その場から駆け出してティーカに飛びかかろうと試みる。
当のティーカはと言えば、別のところから取り出したチャクラムを俺目掛けて投げつけるところだった。
「おい、止めッ」
俺はその攻撃を止めようと彼女に飛びつくが、それは空を切る。ティーカは俺が飛びつく一瞬前に飛びのき、空中からチャクラムを投げおろす。
「うぉッ!」
その攻撃を、俺は無理やり身を捩って避ける。が、その無理な体勢が祟って、俺はそのまま転倒。床を転がる。
「くッ。いってぇ~」
何とか体を起こそうと上体を持ち上げて立膝をつく。その隙、ティーカは素早く着地すると即座に前方へ飛び掛かり、俺の右肩に強烈な飛び膝蹴りを叩きつけた。
「うッ!」
苦悶が口から漏れる。俺はそのまま地面に倒され、右腕を足で抑えられる。頭上には無表情のティーカ。彼女は左の手で持ったナイフを俺目掛けて振り下ろそうとする。それを動かせる左手で受け止め、俺は彼女を睨みつける。
「クソッ! お前、急に何しやがる!」
その声に反応して、ティーカが一瞬ビクっと痙攣する。
彼女はそのまま無表情を崩さないまま語る。
「おめでたい男。狙われてるとも気付かないで私を受け入れて」
「何!!? お前、まさか最初から俺を殺そうと……」
「そうよ。私は貴方を殺す為に近づいた。わざと信用を得られるように行動して、隙を見て……思いのほか、簡単に信用してもらえたから、すぐにチャンスは来たのよ。それが今」
昼間とは打って変わった冷たい声で、彼女は告げる。
「なんで……俺を殺そうなんてするんだ? お前と俺は今日初対面のは……」
そう言いかけて、俺は思い出す。彼女とは初対面ではない。最初に降り立った山の中腹、そこのストーンサークルの劇場で彼女を見ているのだ。
「貴方が悪いのよ。貴方が、獣人の村近くの魔方陣を破壊なんてするから……だから、私は……私達は解放されていたのに」
その事実を裏付けるように、ティーカは呟く。その声は当初こそ冷酷なものだったが、次第に苦悶の色をにじませていく。
「な、何を言って……」
「うるさい! もう何もかもが手遅れよ。あの妙な力を使う前に、終わらせてもらうわ!」
絞り出すように叫び、彼女は開いた右手に手品のようにナイフを出現させる。
「これで終わり。これで、私達はすべてから解放されるの」
うわごとのように呟き、ティーカは右手のナイフを振りかぶる。
クソッ!
このままじゃヤバイ!
「貴方さえ、貴方さえいなければ! だから、死んで! 私達の為に!!」
そして、叫びと共にナイフは無情にも振り下ろされた。
だが、俺の意識は全く違う所に飛ばされていた。脳裏に蘇る、ある記憶の中に。
それは小学校の頃に、とある女子が無人の机に落書きをしていたのを諫め、うるさいと言われていらっと来たので、教師に聞こえる声で落書きしてると言ったら、教師に落書きがばれ、女子は酷く怒られた。
それから、女子は怒られた腹いせに俺を睨みつけていった。
『クソ! てめぇのせいだ!! てめぇさえいなければ!!!!』
瞬間、俺の中で激しい怒りが湧き上がってきた。目の前の少女は記憶の中のある女子とは全く似ていなかったが、その姿が何故か重なって見えた。
「ふっざけんな!!! 俺がいなかったとしても悪いのはてめぇだ!!! くだらねぇ悪戯なんぞしやがって!!」
同時に胎内から強烈な衝動が走る。湧き上がった怒りは即座に爆発し、俺の全身を満たした。
「ッ!!?」
途端溢れ出す黒い光。一気に噴出したその光は、ティーカが振り下ろしたナイフを一瞬で塵に変え、そのまま爆発的に広がってティーカの体に激突、その体ごと上空へと吹き飛ばす。上空に打ち上げられたティーカの体はそのまま天井に激突した。
「か、はぁ……」
苦悶の呻きを漏らし、ティーカの体は一瞬反発したかと思うと、そのまま地面へ向けて落下してくる。
それに気付き、俺の怒りは一瞬で消え去る。同時に全身を覆っていた光も拡散し、俺は慌てて立ち上がる。
「ティーカ!」
叫び、落下する彼女の体を何とか受け止める。強烈な衝撃が体に入るが、何とか堪える。そのまま床に寝かせ、俺は一息つく。
「いってぇ。だ、大丈夫か、ティーカ」
そのまま彼女に声をかけると、彼女は完全に気を失っているようで、何も答えなかった。慌てて確認すると、一応息はあるようだ。
「良かった。殺してはいないみたいだな……にしても、どうするかな、コレ?」
自分を襲ってきて自分が気絶させた女の子。彼女の処置をどうしたらいいのか分からず、俺は困った。
このまま床に寝かしたままってわけにもいかないし、かと言ってこのまま自由にしておくとまた襲ってくる可能性が高い。さて、どうしたものか。
「ソーマ! どうしたの? 凄い音がしたけど!」
と、そこへ騒ぎを聞きつけたミリが駆け込んできた。そういえば、隣室で寝てたんだったな。彼女は騒ぎが始まった時点では気付かなかったみたいだが、俺の攻撃で天井にティーカが激突した音で気づいたようだ。
彼女はそのまま俺の部屋に一歩足を踏み入れ、俺と床で倒れるティーカを見るなり尋ねてきた。
「一体、何があったの?」
俺もどう答えていいものか分からず、頬をかくしかできなかった。
それから暫く、結局簡潔に起きた事をミリに説明すると、彼女は驚いていた。が、すぐに気を取り直したように、何処から取り出した麻縄でティーカの手足を椅子に座らせた状態で縛りつける。
「お~、助かるな。また暴れだされたら困ると思ってたんだ。ってか、その縄は何処から出したんだ?」
「獣人は腰に山の中で暮らす為の七つ道具をつけてるんだ。これはその中の一つ。本当は崖とかに出くわした時に使うものだけど、悪い人を捕まえておくのにも重宝するんだ。獣人の村の人ならだれでもこれぐらい出来るよ」
「そうなのか……とりあえず、助かったよ」
謎の新事実に慄き、もし万が一ミリにけしからん狼藉なんてした日には縛りつけられるのかと戦慄する。もちろん、童貞メンタルのクソ雑魚にそんな狼藉が働けるわけがないけど!
「さて、この人どうする? 夜の街に放り出す?」
「いや。襲われてた時に、何やら訳ありっぽい事を口にしてたんだよ。俺が獣人の村近くの魔方陣さえ壊さなければ私達は解放された~とか。もしかしたら、何かあるのかも。どうするかは、それを聞き出してからでも遅くないよ」
そう告げ、とりあえず二人で周囲を警戒しながら、彼女が起きるのを待つ。襲撃が一度あった以上、もしかしたらまた何らかの攻撃を仕掛けてくる輩がいるかもしれないから。
ただ、幸いにも仕掛けてくる相手はいなかった。その間に、ティーカが目を覚ます。
「ぅ~~ん……はッ!!」
「お、起きたか」
それを確認し、俺はミリと共に目覚めたティーカへと近づく。それを受けて、ティーカは俺達をにらみつける。
「な……どうして、私を殺さないの? 貴方を襲ったのに」
「ちょっと聞きたい事があったからな。なんか事情がありそうだったし、もしかしたら俺を狙ってる黒幕みたいな連中がいるのかもって思ってさ」
生きている事に困惑しているティーカに、俺はそう告げ、質問を投げかける。
「さっきも聞いたけど、何で俺を殺そうとした? 獣人の村近くで見つけたあの魔方陣について何か知ってるみたいだが、あれはお前が作ったものなのか?」
その問いに、ティーカは答えなかった。口を固く結び、悔し気にそっぽを向く。それを見て、ミリが肉球から生えた爪をシャキンと伸ばす。
「こら! 答えてよ! 答えないと、その可愛い顔にあたしのかぎづめの一撃が炸裂するよ~~!」
素振りと言わんばかりに爪を伸ばした手をシャカシャカと動かすミリ。何となくその動きがかわいらしい気もするが、実際あんな美少女の顔を爪で引っかかれたら悲惨だからぜひ止めていただきたい。
「まぁ、ミリ。とりあえず、落ち着いてくれ。それはともかくだ。お前、さっき言ってたよな。俺を殺せば、私たちは解放されるって。って事は、お前の裏に誰かしらいるんじゃないのか? それも、私達と来た。って事は、少なくともお前以外にもう一人、誰かがいる。もしかして、その裏にいる奴に大事な誰かを人質にとられて、仕方なく俺を襲った、とかじゃないか?」
ミリを制し、俺は自分の中で彼女が目覚めるまでにまとめた自説を語って見せる。その言葉に、ティーカはまたしてもビクっと驚き、弾かれたように俺の顔を見つめる。
「どうして……そんな事を」
「そう言いだすって事は図星だな? まぁ、簡単な推理だよ。お前の話を聞いてりゃ誰でも思いつくような、な」
俺は肩を竦め、おどけて見せる。実際、この程度の推理はたぶん誰にでも出来る。彼女が根っからの悪人でないという前提であれば、だが。
そうだ。この段階に至っても、俺は彼女が純然たる悪人に思えていない。その理由は様々だが、一番は彼女の踊る舞があまりに洗練され過ぎているという事。私利私欲で動くような悪人が、あそこまでの芸を極められるか?と俺は考えたわけだ。まぁ、そういう人間もいるんだろうけど。心のどこかでそういう部分が重なって、だから俺の能力が発動しても彼女は生きているんじゃないかと、俺はそう思っている。
「で、どうなんだ? 誰かに命じられて、俺を殺そうとしたんじゃないのか?」
「……」
彼女は躊躇うようにまた視線を反らす。その躊躇いは、自分に指示を出した誰かに対する恐れからか。それとも俺を襲ってしまったことへの罪悪感か。
「……そうです。貴方の言う通り、私はある者たちに命じられて貴方を殺そうとしました」
やがて、彼女は意を決したように語り始める。それを、俺とミリは無言で聞く。
「あの者たち、それは貴方の想像している通り、私の大切な人、たった一人の弟を攫って私に協力するように命じたんです」
「そいつら、もしかして、魔族って連中の事か?」
「! そうです。でも、何故」
「いや、何となくだ。でも、魔族ってのがこの辺りに入り込んでるって噂も聞いたし、もしかしたらって思ってさ。そっか。って事は、俺が破壊した魔獣を呼び寄せる魔方陣って、そいつらが作ったものなんだな」
その言葉にも、ティーカははっとして、小さく頷く。それから更に彼女は語り始める。
「今から一月程前の事です。私達兄弟は、大陸の西、王都よりも先の土地を旅していたんです。私達はそこから王都へ向かっていました。もともと私達は母とまだ物心もつかない弟と私の三人、三年ほど前からとある理由で旅をしてきたんです。ですが、母が死に、まだ幼い弟と私の二人だけで旅を続けることになった折、魔族達が人族の領域に侵略を企てているという噂を耳にしました。彼らは狡猾で残忍、かつ凶悪で古来から人族とは折り合いが悪く長い事戦争を続けてきた種族です。そんな彼らが人族を攻めてきた時に戦乱に巻き込まれてはと、私達は急ぎ王都へと向かっていたのです。ですが、彼らの先遣隊は既に人族達の収めるこの大陸に侵入しており、私達は運悪く彼らに囚われました。私は弟を守る為に必死で抗いましたが力及ばず、弟を彼らに奪われてしまったのです。そうして、彼らは言いました。弟を返して貰いたければ我々に協力しろ。素直に従えば、悪いようにはしないぞ、と」
「なるほど。それでお前は、連中の言いなりで色々やる羽目になったってわけか」
「はい。私達の部族には舞の他に、古来より伝わる暗殺術や不思議な秘術と呼ばれる力が伝わっていました。私も母からその力を授かり、今日まで生きてきたのです。彼らはその力に目を付け、私に人族の暗殺や秘術による大陸をひそかに横断して王都を挟み撃ちにする計画の為の手引きを強要しました。獣人の村の傍に仕掛けられた魔獣を呼び寄せる魔方陣は、その為の実験の一つです。同時に、戦争になれば人族に手を貸すであろう獣人族達の戦力を削る為に魔獣を使って村の一つを襲わせたんです」
ティーカの言葉に、俺もミリもほぉーっと息を漏らす。
なるほど。全部がつながったな。
「って事はさ。俺が獣人の村に行く直前にストーンサークルの劇場で会ったのは、やっぱりお前だったって事か」
「はい。あの時は、何かを気取られてはと、慌てて逃げだしてしまったんです」
そうかそうか。そういう事だったのか。
「それで、今度は魔方陣を破壊した俺の存在が連中にとって邪魔になったからって俺に近づいたのか。魔獣に襲われてまで……」
「いえ。あれは私の秘術で作り出した幻です。そこいらに転がっていた岩などを媒介にして、幻の魔獣を作り出し、襲われたフリをしたんです」
「幻? あれが?」
俺は驚きのあまり、つい声を上げてしまう。
そこでふと気が付く。最後に飛び出した魔獣を殴り倒した時、妙な手応えがあった事を。
あれは殴ったのが偶然岩のある部分だったからあんなに固い感触がしたのか。
「あの周辺は、本当は大きな岩がいくつもあったんです。それらを使って幻を作り出し、あなた方が来るのを見計らって助けを呼びました」
「へぇ~。秘術ってそんな事が出来るのか、凄いな。そういや、魔族がひそかに大陸を渡るのを手引きしたとか行ったけど、それも幻で連中を隠してとかって事か?」
「はい。彼らを共に歩く隊商のように見せかけ、大陸中を横断しました」
「はぁ~、そいつはすげぇや。で、お前は俺を殺せば、弟と自分を解放してやるって言われて、今日俺に襲い掛かったってわけだな」
そこまで聞けば大体の事情は理解できる。つまり、最初から俺ははめられてたって事だ。まぁ、さっき襲われた以外は大して害も無かったし、別に気も悪くはならないけど。綺麗な舞とか散々見せてもらったし。
「にしても、その魔族ってのはとんでもねぇ悪党だな。自分達の為に、ティーカとその弟を利用するなんてよ~。どうせそんな奴らの事だから、俺をうまく殺せてたとしても何やかやで解放しないか、お前達を殺すつもりだろうぜ」
そして、率直な感想を述べる。俺の頭の中では昔のアニメとかで見たシーンが思い浮かぶ。任務を果たして、『約束通り解放してもらう』とかいうと『ああ、解放してやるよ。二人仲良く地獄に送ってな!』とか言って、人質も利用して散々働かせた相手も殺すつもりだ。
あ~、なんかちょっとムカついてきたぞ。
とか言ってたら、なんかティーカがしゅんとしてしまった。おっと、俺いらん事言ったかも。
「ああ、すまん。言い過ぎた。でも、お前は本当に俺を殺したら解放してくれる、なんて信じてるのか?」
「いいえ。貴方の言う通り、彼らがまっとうに約束を守るなど有り得ません。でも、協力を拒めば、間違いなく私達は殺されてしまう。選択の余地が無かったのです」
それでも、許されるような事ではないですが……と、ティーカは申し訳なさそうに告げる。そこから深い罪悪感のようなモノを感じる。
そうか。俺を殺そうとした時に何でって聞いた時も実際殺そうとした時の苦悶も、罪悪感のせいだったんだな。
「分かった。ティーカが悪人じゃないってわかっただけでよかったよ。せっかくこうして出会えた相手を疑うのは、あんまり気持ちのいいものじゃないしな。でも、その弟を助け出さないとどうにもならんな。ついでに魔族を倒さないと……」
そう言って、俺はミリに目線を合わせ、どうしようかと問いかける。でも、ミリにだっていい方法は思いつかないみたいで首を横に振るだけだった。はぁ~、さてどうしたものか。
「あ、あの……」
とか考えていたら、ティーカから困惑した声が聞こえる。
「ん?」
「あの……どうして私の弟を助けようなんて話になるのでしょうか?」
「いやいや、だって困ってる人が目の前にいるわけだろ? 話聞いたからには放置できないって」
「そうそう。ソーマはそう言う人だから。あたし達の村を助けてくれた時だって、通りがかったからって、あたし達を助けてくれたんだから。だから、ソーマは凄いんだ」
「いや、別に凄くはないけど。ただ、話を聞いた以上は、何か自分にできそうな事が無いかってぐらいは考えないと寝ざめ悪くてさ。それに、出来るだけ良い事をして、死後に天国の両親に会うのが俺の目標だから。困ってる人は見捨てない方が徳もたまるしな」
俺は指を立て、悪戯っぽく笑って見せる。それからティーカに尋ねる。
「ってかさ。あんまり言いたくないけど、弟は無事なのかな。実際、近くにいない以上は何しても分からないわけだし、他人を平気で脅すような奴らが無事に保護してるように思えないんだけど……」
「それは大丈夫です。私達の里に伝わる秘術で、弟の居場所がわかります。居場所がわかるという事は弟はまだ生きているという証です。また危害を加えられたら、すぐに分かります。この術の事は彼らも知っています。だから、弟には下手な手出しは出来ません」
「え!? 弟の居場所がわかるのか? マジか、ソレ」
俺は身を乗り出し、縛られたままのティーカの肩を掴んで尋ねる。その反応に驚き、ティーカは目を丸くしてこちらを見つめた。
「は、はい。正確な場所まではもう少し近づかなければ分かりませんが、おおよその場所なら」
「そうか。はは。それなら、策はある。最後に聞きたい。その弟の居場所がわかる術、他の誰かにもかけられたりするのか?」
「はい。精度は落ちますが、多少なら感じられるようにはできます」
「上等。それだけ分かれば、どうとでもなるぜ。良い事を思いついた。ミリも聞いてくれ」
そう言って、ミリも顔を近づけてもらい、小声で思いついた作戦を二人に話す。
「な!!? そんな事……出来るのですか?」
「ああ。俺とミリ、それにティーカがいれば実現は可能だ。それぞれ多少負担はあるが、十分成功させられる」
「うん。面白そう! あたし頑張るよ!」
やる気を出すミリを笑って見つめ、続けてティーカに視線を移す。
「まぁ、ティーカが一番危険だが、それほど歩の悪い賭けってわけでもない。これで魔族の連中に一泡吹かせてやろうぜ。どうだ?」
ニヤリと笑い、俺はティーカを見つめる。すると、最初は迷っていた瞳が見る間に決意のものへと変わる。
「はい。やります。弟を助け出せるなら、命だって惜しくありません!」
「大丈夫だ。いざとなりゃ、俺が何とかする。魔族どもに、きっちり落とし前つけさせてやろうぜ!」
ビシっと親指をたて、俺は二人の美少女に対して悪戯坊主のように笑った。
さぁ、反撃開始と行こうじゃねぇか!
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