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12-4 三好一族の脅威④
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そこにメイザーレの部下が慌てて入室してきた。面々に非礼を詫びつつも、急いで彼に耳打ちをする。更には、カザルビンもまた自身の部下から同じように報告を受ける。
その知らせは両者の顔色を失わせた。恐らく内容は同じだろう。
呆然の二人。その様子にマーベッツとハインバイルは怪訝な表情を浮かべるばかり。国王も訝しんでしまう。だから、宰相仙熊は命じる。
「カザルビン外務局長、陛下にご報告を」
「は、はっ……。エイゼン王国は勇者に対し軍事行動を決定。王立魔術師団を投入致しました。……結果、魔術師団は殲滅、二千名のほとんどが皆殺しにされた模様です」
「何と!?」
国防局長のマーベッツが信じられないとばかりに叫んだ。しかし、それはまだ序の口に過ぎない。
「更に、エイゼンは王国軍三万を投入するも、勇者とその妻の反攻を受け、壊滅。残存部隊は王都に帰還するも、勇者夫婦はその王都を包囲。約三十万の国民は、誰一人王都から出られない状況とのことです……」
信じがたい知らせに、三重臣は困惑を隠せず。普段、感情を表に出さないバルディアランも、つい眉間にシワを寄せてしまった。平然を貫いたのは、両親のことを知っているその子供たちだけだ。
神太郎はもう一度言う。
「どうも分からんなぁ。勇者である親父に、何でこうも強気に出られるのか……。親父は人間が決して敵わなかった魔軍七将を倒すほどの力があるんだろう? 何故、そんな男相手に喧嘩を売るのか、全然分からん」
それは、彼の率直な感想だった。だからエイゼン側が謝罪せず、逆にそれを求めてきた理由が分からなかったのだ。
「ただ、まぁ……予想は出来る。舐めていたんだろう? 勇者と言っても、所詮はたった一人の人間。魔族より恐ろしいわけがない。それに一国の王子相手に無礼を働くわけがないとも思っていた。そういう価値観が、お前らを強気にさせたんだろう? その見誤った結果が、この大損害だ。残念だったな」
そう想像すると、神太郎はつい苦笑してしまった。それがメイザーレを余計怒らせる。
「き、貴様は……。多くの人間が殺されたんだぞ。勇者によって、無実の人間たちが! 勇者は魔族を討つのが使命だろう! なのに、味方である人間を攻撃するなど言語道断! これは世界に対する大罪だ!」
彼はその罪科を突きつけた。
が……、
「違う、勘違いをしている」
神太郎はそれを無視した。
「親父に人間を護る義務なんてないんだ。敵と判断すれば、魔族だろうが人間だろうが関係ない。そして、お前らは親父に敵対してしまった。結果、多くの命を失った。『勇者は人間の味方であるべき』というその思い込みも、この惨事の招いた理由の一つだな」
「人間のためでないと言うのなら、一体何のための魔王討伐だ!」
「国王に頼まれたから。それだけさ」
「……」
「この世界に来て右も左も分からない俺たち一家を世話してくれたのが、バルディアラン王だった。親父はその恩に応えているだけさ。世界旅行ついでにな。人間界全体のためとか、そんな大それた理由じゃない」
「……ぐ」
「大体さー、多くの無実の人間が死んだのは、そちらの国王が攻めさせたせいだろう。真冬に海に入って凍え死んだら、海のせいだって言うのか? 入った本人のせいだろう。馬鹿馬鹿しい」
神太郎も最後には呆れてみせた。
「ここまで愚弄するか……貴様」
だが、メイザーレにとってそれは到底受け入れられるものではない。
「宰相殿、何か言われい! でなければ、この小僧の発言、キダイ王国の総意と受け取って宜しいか!? ならば、貴国とは断交……否、戦火を交えることになりますぞ!」
常に激高していた彼も、ここに至って遂に戦争を口にした。三重臣も神太郎がここまで無茶な煽りをするとは思ってもおらず、三好一族排除どころではなくなってくる。また、それを仙熊が放置していることも予想外だった。
「まだ分かっていないなぁ」
そして、それを神太郎がまたまた呆れながら説明する。
「何故、兄貴が沈黙を護っているのか……。それは、この会談に結論を出す気がないからさ」
「何だと!?」
「だって、あと数日もすれば、交渉相手であるエイゼン王国は地上から消滅するんだ。適当に聞き流していれば、自動的に終わりってわけさ。一番簡単な解決方法だろう?」
「ぇ……」
ここにきて、メイザーレはやっと状況を理解した。怒りを収め、赤かった顔を青くさせていく。
「き、貴国は我が国を滅ぼす気か?」
そして、震えた口調で宰相に問うと、仙熊もやっと口を開いた。
「先ほど弟が言ったように、父は王への恩のみで魔王討伐を行っています。国王の命令ではなく、依頼で行動しているのです。つまり、キダイ王国の臣下ではない。そのため、今回の件は我が国とは関係ありませんし、我々には彼への召還命令も停戦命令も下せる権利はないのです」
「そんな……」
「我が国と長年に渡って友好関係にあったエイゼン王国が滅亡することは、誠に残念でなりません。その時はエイゼン国王を始め、国民の方々に対して、追悼の儀を致しましょう」
「い、いや……」
「お気の毒でございます」
最後に、仙熊はそう言ってエイゼン側を突っぱねたのであった。
その知らせは両者の顔色を失わせた。恐らく内容は同じだろう。
呆然の二人。その様子にマーベッツとハインバイルは怪訝な表情を浮かべるばかり。国王も訝しんでしまう。だから、宰相仙熊は命じる。
「カザルビン外務局長、陛下にご報告を」
「は、はっ……。エイゼン王国は勇者に対し軍事行動を決定。王立魔術師団を投入致しました。……結果、魔術師団は殲滅、二千名のほとんどが皆殺しにされた模様です」
「何と!?」
国防局長のマーベッツが信じられないとばかりに叫んだ。しかし、それはまだ序の口に過ぎない。
「更に、エイゼンは王国軍三万を投入するも、勇者とその妻の反攻を受け、壊滅。残存部隊は王都に帰還するも、勇者夫婦はその王都を包囲。約三十万の国民は、誰一人王都から出られない状況とのことです……」
信じがたい知らせに、三重臣は困惑を隠せず。普段、感情を表に出さないバルディアランも、つい眉間にシワを寄せてしまった。平然を貫いたのは、両親のことを知っているその子供たちだけだ。
神太郎はもう一度言う。
「どうも分からんなぁ。勇者である親父に、何でこうも強気に出られるのか……。親父は人間が決して敵わなかった魔軍七将を倒すほどの力があるんだろう? 何故、そんな男相手に喧嘩を売るのか、全然分からん」
それは、彼の率直な感想だった。だからエイゼン側が謝罪せず、逆にそれを求めてきた理由が分からなかったのだ。
「ただ、まぁ……予想は出来る。舐めていたんだろう? 勇者と言っても、所詮はたった一人の人間。魔族より恐ろしいわけがない。それに一国の王子相手に無礼を働くわけがないとも思っていた。そういう価値観が、お前らを強気にさせたんだろう? その見誤った結果が、この大損害だ。残念だったな」
そう想像すると、神太郎はつい苦笑してしまった。それがメイザーレを余計怒らせる。
「き、貴様は……。多くの人間が殺されたんだぞ。勇者によって、無実の人間たちが! 勇者は魔族を討つのが使命だろう! なのに、味方である人間を攻撃するなど言語道断! これは世界に対する大罪だ!」
彼はその罪科を突きつけた。
が……、
「違う、勘違いをしている」
神太郎はそれを無視した。
「親父に人間を護る義務なんてないんだ。敵と判断すれば、魔族だろうが人間だろうが関係ない。そして、お前らは親父に敵対してしまった。結果、多くの命を失った。『勇者は人間の味方であるべき』というその思い込みも、この惨事の招いた理由の一つだな」
「人間のためでないと言うのなら、一体何のための魔王討伐だ!」
「国王に頼まれたから。それだけさ」
「……」
「この世界に来て右も左も分からない俺たち一家を世話してくれたのが、バルディアラン王だった。親父はその恩に応えているだけさ。世界旅行ついでにな。人間界全体のためとか、そんな大それた理由じゃない」
「……ぐ」
「大体さー、多くの無実の人間が死んだのは、そちらの国王が攻めさせたせいだろう。真冬に海に入って凍え死んだら、海のせいだって言うのか? 入った本人のせいだろう。馬鹿馬鹿しい」
神太郎も最後には呆れてみせた。
「ここまで愚弄するか……貴様」
だが、メイザーレにとってそれは到底受け入れられるものではない。
「宰相殿、何か言われい! でなければ、この小僧の発言、キダイ王国の総意と受け取って宜しいか!? ならば、貴国とは断交……否、戦火を交えることになりますぞ!」
常に激高していた彼も、ここに至って遂に戦争を口にした。三重臣も神太郎がここまで無茶な煽りをするとは思ってもおらず、三好一族排除どころではなくなってくる。また、それを仙熊が放置していることも予想外だった。
「まだ分かっていないなぁ」
そして、それを神太郎がまたまた呆れながら説明する。
「何故、兄貴が沈黙を護っているのか……。それは、この会談に結論を出す気がないからさ」
「何だと!?」
「だって、あと数日もすれば、交渉相手であるエイゼン王国は地上から消滅するんだ。適当に聞き流していれば、自動的に終わりってわけさ。一番簡単な解決方法だろう?」
「ぇ……」
ここにきて、メイザーレはやっと状況を理解した。怒りを収め、赤かった顔を青くさせていく。
「き、貴国は我が国を滅ぼす気か?」
そして、震えた口調で宰相に問うと、仙熊もやっと口を開いた。
「先ほど弟が言ったように、父は王への恩のみで魔王討伐を行っています。国王の命令ではなく、依頼で行動しているのです。つまり、キダイ王国の臣下ではない。そのため、今回の件は我が国とは関係ありませんし、我々には彼への召還命令も停戦命令も下せる権利はないのです」
「そんな……」
「我が国と長年に渡って友好関係にあったエイゼン王国が滅亡することは、誠に残念でなりません。その時はエイゼン国王を始め、国民の方々に対して、追悼の儀を致しましょう」
「い、いや……」
「お気の毒でございます」
最後に、仙熊はそう言ってエイゼン側を突っぱねたのであった。
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