貴族令嬢ですがいじめっ子たちが王子様からの溺愛を受けたことが無いのは驚きでした!

朱之ユク

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溺愛されたことが無いんですか?

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「スカーレット! あなたどうしていつもいつも」
「そうよ。もっと泣きなさいよ。アンタにはそれがお似合いよ」

 クラスの一際うるさい時間帯のとき、スカーレットはクラスメイト達から攻撃されていた。
 いじめだ。
 アンジェリカたちを筆頭にスカーレットに嫌がらせをしてくる酷い人間たちだ。

「どうしてそんなにひどいことばっかりをすることができるの?」

 そんな質問に答えてくれるとは思っていない。他のクラスメイトはアンジェリカたちの機嫌を伺うようにこちらを眺めるばかりで助けようとはしてくれない。
 でも、それは当然だろう。
 そこまでの危険を冒してまでスカーレットを助けるのはわりに見合わない。
 アンジェリカに逆らって余計な問題に巻き込まれたくないというのがクラスメイト達の本望なのだろう。
 そればっかりは仕方ない。
 いじめの傍観者が加害者と同じなんて、被害者の妄言だろう。

「こら! お前らは一体何をしているんだ!」

 クラスの扉を勢いよく開けて、中に男が入ってくる。

「な、グレイ様? 一体何をしに来たんですの?」

 アンジェリカが男の存在をみて動揺している。
 当たり前だろう。
 私だってこの国の偉い人間が怒鳴り込んだら動揺するに決まっている。
 男の名前はグレイ・ネイビー。
 ネイビー王国の第一王子だった。

「スカーレットをイジメるなんて、なんてことを考えているんだ。人の気持ちが考えられないのか」
「そ、それは……」
「君たちの婚約者も悲しむだろう? いったいどうしてそんなことをする?!」
「は、はあ? そんなにスカーレットが意地悪してくるからに決まっているでしょう?!」

 いったいスカーレットがいつ意地悪をしたというのだろうか。彼女は特に何かをしたという記憶はない。完全にアンジェリカの言いがかりだった。

「適当に言いがかりをつけてそんなことを言ってくるなんて、酷い!」
「そうだ! スカーレットがそんなことをするわけがない!」

 絶対に的な信頼を持ってグレイは私のことを信じてくれた。
 ずっと昔から一緒に居て、私と婚約の約束をしている、婚約者なんだから。

「聞いたぞ。君たちは自分たちの婚約者に嫌われているようじゃないか」
「あ、そんなことは……」
「いじめばっかりしてくる。悪口ばっかり言ってくる。愚痴が止まらない。そんな人間と一緒に居たいと思うのか? いいや、思わないだろう。君たちは自分で嫌われる要因を作って、嫌われて、それでストレスが溜まって人を攻撃しているんだ。今すぐこんなことは辞めろ」

 ああ、そんなこととは思わなかった。
 普通の婚約者には溺愛されるものだろうに、こんなことになってしまっていたなんて、ストレスがたまるのも仕方ないかもしれない。
 そうと決まれば助けてあげよう。
 そう思って私は口を開いた。

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