幼馴染の彼氏に一年ぶりに再会したらS級イケメンになっていて、とんでもなく溺愛されました。

朱之ユク

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彼氏がイケメンになっていた。

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「ねえ、スカーレット。あなた彼氏とはどうなったの? 一年もあってないんでしょ? もしかしてもう別れちゃった?」
「いきなりどうしたの?」

 スカーレットが一人の今終わった授業のノートを取っているときだった。彼女は友人のアンジェリカからいきなりそんなことを言われた。

「だって、あなたの彼氏って去年一年間から留学しているんでしょ? そんなんじゃ寂しいでしょ。私だったら彼氏に会えないとか無理だもん」
「まあ、そうだけど、彼も自分のしたいことをして留学しているんだから応援してあげなきゃ」
「うわー。スカーレット優しすぎ! というかさ、とんでもないイケメンでなんでもできて自分のことを愛してくれるならそこまで思えるかもしれないけど、あなたの彼氏って身長も高くないし、ちょっと太ってるし、頭は良いけど、スポーツは苦手だったし、そんなに好きになる理由ある?」

(そこまで言われる筋合いはないかな)

「ちょっと言い過ぎよ、アンジェリカ」
「え? そう? だって全部本当のことだし、あなただってよく愚痴ってたじゃない。私の彼氏はそんなに格好よくないってね」

 たしかにスカーレットは友達同士の愚痴ではよく「私の彼氏はそんなにカッコよくないからね」と言っていた。だけど、それは私が私の彼氏の愚痴を言うのだからいいのであって、友達に自分の彼氏をバカにされるのは納得いかない。
 自分のお母さんの愚痴を言うのは良いけど、友達に「あなたのお母さんって確かに嫌だよね」と言われるのは嫌なのだ。
 それと同じ現象が今ここで起こっていた。

「それでもなんか嫌。」
「ふーん。それよりもあなたの彼氏ってもうすぐ帰ってくるんでしょ? いつ会うの? やっぱりあったら最初に何したい? キス? ハグ?」
「ふーん。キス」
「あっはっは。愛が深いねえ。羨ましいな。お姉さん興奮しちゃう。ラブラブな様子をしっかり私に見せつけてね」
「ふふ。そういえば今日学校に来ているらしいわよ」
「そうなの? じゃあ、会いに行きましょうよ」
「いいよ」

 スカーレットとアンジェリカは二人で彼氏のいる場所にいく。彼の教室はすこし離れた場所にある。二人で歩いていると、なぜか多くの女子生徒が集まっていた。いったい何があったのかは知らないが、それは多くの女子生徒がスカーレットの彼氏のいる教室に集まっていたのだ。

(彼のいる教室にそんなに特別なイケメンなんていたっけ?)

 スカーレットには心当たりはない。いるなら、もうとっくに彼女も知っているはずなのだが、あの教室に特に特出したイケメンはいないはずだった。

「人がたくさんいて中に入れないわよ、どうするスカーレット?」

 スカーレットは中を覗いてみると、ひとりだけ見たことのないイケメンがいる。

(ちょっとスカイに似ているな。だけど、あんなに身長は高くなかったし)

 スカイと言うのはスカーレットの彼氏のことだ。

「どうしようもないじゃん」
「じゃあ、叫ぶしかないわよ。おーい、スカイ! こっち見て!」

 スカーレットは小さくて、可愛らしい少年がこっちを振り向くと思っていた。だけど、その予想は見事に裏切られることになる。

「あ、スカーレット! 会いたかったよ!」

 こちらの呼ぶ声に気付いて手を振り返したのは先ほどの高身長のイケメンで女子が先ほどからキャーキャー言っている男の子だった。
 どうしてこんなイケメンがスカーレットの方を向いているのか、スカーレットには分からない。

「久しぶり。なんか痩せた? かわいくなったね、スカーレット」
「あ、あなた、スカイなの? ずいぶん男らしくなったね」

 彼の顔を見過ぎてちょうどいい言葉が見つからない。カッコいいと思ってしまったからには頭がフリーズして動かないのだ。

「ちょっと留学に行っている間に身長伸びてね。あと普通に痩せたし。たぶんそれのだけだよ」

(それだけのことが女子をこんなにキャーキャーさせているんだけどね)

 周りにいる女子はみんな「あの人羨ましい。あんなイケメンに優しくされたい」といっている。妙に優越感に浸れる。スカーレットにしてみれば悪くない気持ちだった。

(別に顔が大事だってわけじゃないけど、イケメンであることに越したことは無いのよね。でもここまでカッコよくなったんなら不安なことが一個あるわ)

「留学している間に向こうで彼女の一つでもできたんじゃない?」

 スカーレットにとってはほんの冷やかしのつもりだった。ちょっとしたいじりだ。ここまでカッコよくなったのなら女の子との浮いた話の一つくらいあるだろうと思って、そんなことを言ったんだ。
 だけど、彼の反応は予想外なものだった。

「そんなことは無いよ。僕は君が好きなんだ。だから他の女のことなんて絶対にない。これだけは約束できるよ」
「は、はぁ」
 
 その気迫に思わずうなずいてしまった。
 そして、スカイはスカーレットの耳元でささやいた。

「約束するよ。僕は君のことが大好きなんだ」
「はぁあぁ」

 脳みそがとろけてしまいそうな気がする。

(もしかしてこれが噂の溺愛なのか? ああ、脳が興奮する)

 スカーレットは一人で天国に行けそうなほど興奮して、思わずこう言ってしまった。
 スカーレットはスカイの耳元に背伸びして、

「私も大好き」

 そう呟いたのだ。

 その後アンジェリカからはごちそうさまでしたと言われ、みんなからはバカップルとバカにされたのは良い思い出だ。

 
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