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おまけ②
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ローゼはいつもの通り、温かいお茶を飲んでいる。だが、屋敷ではなくテント内でだ。緑色の大きなテントをヴァルドから借りたコニーは屋敷の庭に、さくさくと1人で組み立ててしまった。11歳という年齢にローゼは毎回驚いてしまう。自分があまりにもなにも出来ないからだ。ヴァルドが言うには「可愛げがない」とのことだが、ローゼにはコニーを尊敬する気持ちがふつふつと湧いてきている。
「姉様、寒くないですか?」
「ありがとう。膝掛けもあるし大丈夫だよ。君は外で寝泊まりでいいのかい?」
「はい。じゃないと間違いが起きそうだし…」
「間違い?」
「いえ…なんでもないデス」
「ローゼ、夕飯だよ。中に戻っておいで」
「あぁ、今行くよ。コニーも行こう」
「え…でも僕は…」
「ヴァルドは優しいからね。君だけ1人で食事させるなんて酷なことは言わないよ」
「兄様が優しい…?」
首を捻りながらコニーが付いてくる。
食卓に着くと、食事が並んでいた。今日は鶏肉の煮込みだ。
「まだ熱いから気を付けて食べてね」
「ありがとう、ヴァルド」
ローゼはいただきますをしてテーブルの真ん中に置かれた鍋から鶏肉を皿に盛り付けた。
「コニーにも取ってあげようね」
ローゼがそう言うとコニーは一瞬困ったような顔をして頷いた。たっぷり鶏肉を皿に盛り付けてやる。丸い茶色の物体は茹でた玉子だ。
「コニーは育ち盛りだからね、いっぱい食べるんだよ」
「姉様…ありがとう」
ローゼは早速鶏肉に齧りついてみる。
「わぁ、美味しいね」
「うん、これお醤油っていう調味料なんだって。ずっと気になってたんだ」
「兄様が作ったご飯…」
コニーはそう一言呟いて鶏肉を頬張った。
「ん!」
「美味しいかい?ヴァルドはなんでも作れるんだよ」
「何でもは無理だよ?流石に」
「兄様は元々何でも出来たけど…僕は毎回兄様とあちこちで比べられて」
「コニーはコニーなのに酷い話だね」
ローゼがそう憤慨するとコニーは笑った。
「姉様、ありがとう。僕、一生懸命頑張るよ。そのためにここに来たんだから」
ヴァルドが急に立ち上がって台所に向かう。そしてなにやら持って戻って来た。それはホイップクリームがたっぷり載ったワッフルだ。
「これ、デザート。コニー、俺と比べられたくないなら死ぬ気で頑張るしかないよ」
「うん、分かってる。ありがとう、兄様」
*
夕飯を摂り終えてコニーは1人、テントに戻っていった。
「ヴァルド、コニーを中で休ませなくていいのかい?」
「いいんだよ。これから鍛錬するんだし」
その言葉にローゼは驚いてしまった。
「これからするのかい?」
「あいつ、ああ言うけどめちゃくちゃ優秀なんだ。
足りないのは自信」
「それは一番難しいね」
「コニーも自覚はしてると思うけどね。とりあえず俺も鍛錬を手伝う約束したからちょっと行ってくるね」
「僕がいたらお邪魔かい?」
「ローゼはもう眠たそうだし無理しないで。明日もお仕事するんだし」
ヴァルドは自分をよく見ているとローゼは改めて確信した。
「承知したよ。どちらも怪我をしないようにしておくれ?」
「大丈夫。手加減はするよ」
ローゼは渋々だったが自室に戻った。窓からそっと庭を覗いてみると、2人がストレッチを始めているところだった。
「なぁあ」
「ノーラ、いたのかい?」
ノーラはいつものようにローゼのベッドを占領している。
「そろそろ寝なければね。ノーラ、君はここだよ」
よいしょ、とノーラを脇にどかして、ローゼは横になった。一緒に付いてきたクーフもベッドに飛び乗る。ローゼはいつの間にか眠っていた。
*
次の日、ローゼはいつもの通り目覚ましのベルの音で飛び起きた。呻きながらなんとか起き上がりベルを止める。
「うぅ…朝はどうも駄目だね」
カーディガンを羽織り階下に向かうと、ヴァルドが料理をしている。
「おはよう、ヴァルド。コニーは?」
「おはよう。あいつなら走りに行かせた」
「えぇ!昨日遅くまで鍛錬してたんじゃ…」
「うーん、そうなんだけど、コニーがすごく焦っててさ。1回体力奪って気絶させとこうかなって」
「君はコニーのことになると人が変わるね」
「そう?」
「そうだよ。心配しているのだね」
ふふ、とローゼが微笑むとヴァルドが顔を赤くする。
「まぁ一応弟だし、あいつはローゼが危ない時に助けに来てくれたからね」
「そうだよ。彼は僕の命の恩人なのだから」
「うーん、なんか癪に障るけどそうなんだよなー」
ローゼはヴァルドの大きな手を握った。
「ヴァルドが優しい兄様であるところを僕は見たいな」
「…ローゼがそう言うなら善処するよ」
ローゼは嬉しくなり鼻歌を歌いながら食卓に着いた。
「ただいま帰りました!」
コニーが上裸でやって来る。
「お帰り、って泥だらけじゃないか!」
「山道濡れてて滑っちゃって」
「お前、山の方まで行ったの?」
呆れているヴァルドの様子にコニーは口を尖らせた。
「だって、すぐ戻ったらまた走りに行けって言われそうだったし。あ、姉様おはようございます」
コニーが笑って挨拶をしてくるが泥だらけで表情がよく分からない。
「とりあえず風呂沸かすから入れ。ローゼ、悪いけどこの馬鹿、拭いてあげてくれる?」
「馬鹿はひどいですよ?!」
口は悪いがやはりヴァルドはコニーを心配しているらしい。ローゼは快く頷いた。
「コニー、目を閉じていてくれるかい?」
ローゼは彼の額から眼尻に掛けてごしごしと泥を拭き取ってやった。最後に背中を拭いてやる。どうやら豪快に転んだらしい。
「うん、綺麗になったよ。お風呂が沸くまでこれを羽織っておいで」
ローゼは自分の膝掛けをコニーの肩に羽織らせた。
「ありがとうございます、姉様。でも、寒くないですか?」
「大丈夫だよ。コニー、今日、学校は?」
「はい。昼から講義なんです。必須科目だから行かなくちゃ」
「ここから学校まで走っていけよ?」
「わ、分かってますよ!」
「とりあえずご飯にしよう。コニーはまず風呂。
ローゼ、ありがとうね」
「構わないよ」
ヴァルドはやはり優しい、ローゼはにっこり笑った。
*
「うーん、僕にはさっぱりだね」
風呂に入り、朝食を食べ終えたコニーが急に今日までの課題をやり忘れていたと騒ぎ出した。慌てた様子で鞄からプリントと教科書を取り出して解き始めている。ローゼは教科書を一冊借りて開いてみた。だが、何が書かれているか理解出来ない。字が読めないわけではないが内容が分からなかった。
ローゼも幼い頃は学校に行っていたが、学生生活が向いておらず、途中から家庭教師に切り替えた。そこで習ったのは女性が習う礼儀作法だったが。コニーはひたすら字を書き続けている。
「分からない箇所が君にはないのかい?」
「いや、そんなことはないですよ?ただ、これはまだ易しい問題だし」
易しいとコニーは言うが、ローゼにはちんぷんかんぷんである。
「コニー、僕も今日の仕事をするよ。終わったら裏の厩舎においで」
「はい、分かりました。姉様」
ローゼは着替えて動物たちの餌の野菜を切り、バケツに入れ運んだ。
「ウォン!」
犬のクーフが外に出るなり駆け出す。彼はずっとコニーと遊びたそうにしていた。
「クーフ、コニーに遊んでもらいたいのだね。それならまずは仕事を頑張ろう」
「ウォン!」
ローゼはいつものルーティンをこなした。最初こそ筋肉痛で辛かったが、今はやらないとなんだか落ち着かなくなってしまう。クーフと一緒に厩舎に向かうとハヤテ号とゼロワン号が出迎えてくれた。
「2人とも、随分日差しが暖かくなったね」
「ブルル」
よしよしと2頭を撫で餌をやる。
「姉様!課題終わりました」
コニーが走ってきた。
「コニー、お疲れ様。クーフが君と遊びたいそうなんだ」
「え?僕と、ですか?」
「ウォン!!」
クーフがコニーの周りを駆け回っている。
「クーフ、おいで」
ローゼが呼ぶとクーフはすぐに傍にやってきた。そのままローゼの隣に座る。
「クーフ、コニーだよ。この子に撫でてもらいたいだろう?」
「ウォン!」
「クーフ君、よろしく」
コニーが恐る恐るといった様子でクーフを撫でている。自分もかつてはそうだったとローゼは思い出していた。ローゼはクーフ愛用の柔らかなボールを取り出した。
「クーフ、キャッチだよ!」
「ウォン!」
ローゼがボールを上空に向かって投げると、クーフがすかさず口でキャッチする。そしてローゼの元にボールを咥えて戻って来た。
「姉様、すごいです!」
「すごいのはクーフさ。君もやってみるかい?」
「はい!」
コニーとクーフはすぐ仲良くなった。駆け回っている彼らをローゼは見守った。
「姉様!僕、そろそろ学校に行かなくちゃ!」
「気を付けていっておいで!」
コニーは凄まじいスピードで制服を着て出掛けていった。
*
「ローゼ、お疲れ様」
既に日が暮れかけている。ローゼは畑に来ていた。もちろん、ヴァルドが来ると見越してだ。
「ヴァルドも。もうすぐ夕飯だろう?何か僕に手伝えることはないかい?」
「うん、今日は魚を貰ったから塩で味を付けて蒸してみようかなって思うんだけど。ローゼにはサラダを作ってもらいたいんだけどいい?」
「あぁ、承知したよ。野菜なら扱い慣れているし」
「ローゼ、上手に切れるものね」
「僕にかかればこれくらい」
ふふん、とローゼは胸をのけぞらせて、ハッと気が付いた。
「コニーがまだ帰ってこないけど大丈夫なのかい?」
「うーん、あいつ、委員会入ってるみたいだし仕事してるんじゃないかな」
「コニーはすごい子だね」
「それくらいのレベルを求められるからね」
「ヴァルドも幼い頃から頑張っていたのだものね」
「ローゼが褒めてくれると報われるよ。あ、明日は畑に苗を植えるから手伝ってくれる?」
「もちろんさ」
夕飯の支度をしようと2人は屋敷に戻った。
「ただいま帰りました!」
日が暮れてしばらく、コニーが帰ってきた。
「お帰り、コニー。お腹が空いただろう?沢山食べるといいよ」
「はい。ありがとうございます、姉様」
コニーがブレザーを脱ぎタイを解いた。
「洗濯するからシャツとか出して。下着の着替えあるの?」
「…はい。一応持ってきてますが洗ってもらうと助かります」
「休みの日は仕事を手伝ってもらうからね?」
「承知しております!」
ヴァルドとコニーの様子をローゼは微笑ましく見守っていた。
*
「ローゼ、手紙が来ていたよ」
コニーが来てもう1週間が経過している。今日もコニーを学校に送り出し、ローゼも仕事の支度をしようとしていたところだった。
「手紙?あ、うちからじゃないか」
ヴァルドから封筒を受け取り、ローゼは呟いた。ペーパーナイフで封を開け中に目を通す。
「ふふ、やっぱり」
「なんのお手紙なの?ローゼ?」
「クラシア家の伝統、春のお茶会のお誘いさ。君も来るかい?」
「え…いいの?」
「父様たちも君と是非話がしたいと書いてあるよ」
「それなら行こうかな。せっかくだし」
「返事を書こう。兄様たちに何か買いたいな」
ローゼは何気なく呟いたつもりだったが、ヴァルドはそうじゃなかったらしい。
「俺もお兄さんたちのプレゼント、一緒に選びたい。ローゼ、いい?」
真剣な表情でそう言われた。
「もちろんだとも。君の意見は貴重だからね」
「またローゼのお兄さんたちの話聞かせてね」
そういえばちゃんと話していなかったなとローゼは気が付いた。
「ヴァルドが来てくれたら皆喜ぶよ。今夜は君の部屋に行っていいかい?」
ローゼの言葉には情事を誘う意図があった。
「もちろん」
「楽しみにしているよ」
ローゼは着替えるために自室に戻った。
*
「この色味なら母様も喜んでくれそうだね」
クラシア家のお茶会は明日に迫っている。ローゼは何を着ていこうかと1人で服たちを前に悩んでいた。そして、最終的にピンク色のフリルが沢山付いたワンピースドレスに行き着いた。
「ローゼ、いい?」
ドアをノックされ声を掛けられる。ヴァルドだ。
「あぁ、いいよ」
ローゼの言葉を待ってドアが開いた。
「明日のタイ選んでくれない?あ、そのドレス可愛いね。明日着ていくの?」
「あぁ、そのつもりだよ。なら今から君の部屋に向かおうか」
「ありがとう」
ローゼはヴァルドのタイを見て選んだ。それは淡い緑色のものだ。春の芽吹きを思わせるものである。
「これ、初めて着けるかも」
「ちょうどいいじゃないか。ジャケットもこの淡いブルーグレーがのものがいいんじゃないかい?」
「ローゼに聞いて良かった。明日はコニーも一緒で大丈夫なの?」
「あぁ。もちろん構わないよ。母様が美味しいお菓子とお茶を用意してくれているだろうし」
「お土産、畑で採れた野菜だけで大丈夫?」
「大丈夫さ。久しぶりに帰ったらリリィたちと遊びたいな」
「リリィって?」
「僕の実家の猫たちだよ。三姉妹の猫なのさ」
「ローゼの知らない情報が沢山出てくる…」
「僕もヴァルドのことをまだ知り尽くしていないからね。お互い様さ」
ローゼはぽん、とヴァルドの背中を軽く叩いた。
「明日が楽しみだよ」
*
お茶会当日になっている。ローゼたちはクラシア伯爵家に来ていた。広い庭では桜の花が咲き誇っている。ここはハドより少し、春の訪れが早いらしい。
「お帰りなさい、ローゼ!」
「母様!!」
ローゼは母親に飛び付いた。久しぶりに抱きしめるとその小ささに驚いたローゼである。
「母様、もしかして、痩せたかい?」
「まぁ。ローゼも前より引き締まってるわよ」
ふふ、と母親に笑われ、ローゼも釣られて笑った。
「ローゼ!久しぶりじゃないか!」
「兄様たち、久しぶりだね!ヴァルドとコニー殿下を連れてきたよ」
「王族のお2人とこうして直に会えるなんて…」
「本当だよなぁ」
ローゼの兄たちがお互いを見合って言う。
「はじめまして、ヴァルドと申します。現在はただの男爵なので、普通に接していただけると」
「兄様、それはずるくないですか?僕も今は殿下ではありません!よろしくお願いします!」
そんなこんなで、お茶会は和やかなムードのまま幕を閉じた。
「ローゼ、お前に渡しておきたいものがある」
「父様?」
ローゼは分からないながらも父の後をついて行った。
「この間ひいお祖母様の屋敷を片付けたんだが、お前にと」
「ひいお祖母様が?」
ローゼは優しかった曾祖母の顔を思い出していた。学校で悲しいことがあると必ず曾祖母に抱きしめてもらっていた。
「指輪?」
淡い桃色の輝きをした石が付いている。
「綺麗だろう?ヴァルド殿に頼んで婚姻用に作り直してもらえばどうかな?」
「本当に僕がもらっていいの?」
「もちろん」
「ありがとう」
ローゼは指輪の入った小箱を抱き締めた。
「父様、今日は素敵な会に呼んでくれてありがとう。また機会があれば呼んでほしい」
「もちろん。お前が元気そうでよかった」
*
「こんなに沢山…」
「いいのいいの。ヴァルド様には家の困った子を引き取ってもらったんだから」
「そんな…」
ローゼの母親がこれでもかと食材を持たせてくれた。
「母様、僕の好きなお菓子は入っているかな?」
「もちろんよ。いっぱい入れたわ」
「ありがとう」
荷物を持って馬車に乗りこむ。ヴァルドはいつもの通り御者台の上だ。領地ハドに行くまでに小さいが山を越えなければならない。
「気を付けて帰れよ!」
「ありがとうございました。また!」
馬車が走り出す。ローゼとコニーも手を振った。
*
馬車が山道を走っている。どうしても登り道なのでスピードが落ちてしまう。
「姉様」
「どうしたんだい?コニー」
「いくつか不穏な気配を感じます。兄様!」
ヴァルドにはちゃんとコニーの声が聞こえていた。
「分かってる。お前、1人でなんとか出来るか?」
「任せてください!」
コニーが取り出したのはダガーナイフだった。ローゼはそれに驚いてしまった。
「姉様、怖かったら目を閉じていてください。すぐに終わります」
「でも…」
「大丈夫だよ、ローゼ。こいつは慣れてるから」
ローゼは何も返せなかった。
「そこの馬車、止まれ!!」
荒くれ者たちが姿を現す。ゼロワンとハヤテが驚きで嘶く。
「どう、どう」
ヴァルドは全く動じていない。荒くれ者の頭と思しき男が小刀をこちらに向けた。
「殺されたくなかったら、女と荷物を置いていけ」
「すげー上物ですね!お頭!」
げへへ、と舐め回すように見られ、ローゼは背筋が震えた。
「あんたたちの相手はこいつがするから」
「は?」
ずる、と男たちの頭部と身体がずれる。一瞬の早業だった。ローゼもずっと見ていたが何が起きたのか分からなかった。
「コニー、帰るぞ!」
「はい、兄様!」
馬車は再び走り出す。
*
「コニー、一体、何が起きたんだい?」
「はい。この国で強盗未遂は極刑なので僕が処分しました」
「君はそんな汚れ仕事を請け負っているのかい?」
「今だけですけど。僕は国王陛下、父様の狗ですから」
「ローゼ、このことの口外は控えてもらえる?」
「もちろんさ。君たちがこんなに重要な仕事をしているなんて…」
ローゼは必ず黙っている、と約束した。
話してしまった場合、命で償うとも。馬車は走り、ヴァルドの屋敷が見えてきた。
ローゼは見慣れた屋敷の様子に安堵した。
「姉様、寒くないですか?」
「ありがとう。膝掛けもあるし大丈夫だよ。君は外で寝泊まりでいいのかい?」
「はい。じゃないと間違いが起きそうだし…」
「間違い?」
「いえ…なんでもないデス」
「ローゼ、夕飯だよ。中に戻っておいで」
「あぁ、今行くよ。コニーも行こう」
「え…でも僕は…」
「ヴァルドは優しいからね。君だけ1人で食事させるなんて酷なことは言わないよ」
「兄様が優しい…?」
首を捻りながらコニーが付いてくる。
食卓に着くと、食事が並んでいた。今日は鶏肉の煮込みだ。
「まだ熱いから気を付けて食べてね」
「ありがとう、ヴァルド」
ローゼはいただきますをしてテーブルの真ん中に置かれた鍋から鶏肉を皿に盛り付けた。
「コニーにも取ってあげようね」
ローゼがそう言うとコニーは一瞬困ったような顔をして頷いた。たっぷり鶏肉を皿に盛り付けてやる。丸い茶色の物体は茹でた玉子だ。
「コニーは育ち盛りだからね、いっぱい食べるんだよ」
「姉様…ありがとう」
ローゼは早速鶏肉に齧りついてみる。
「わぁ、美味しいね」
「うん、これお醤油っていう調味料なんだって。ずっと気になってたんだ」
「兄様が作ったご飯…」
コニーはそう一言呟いて鶏肉を頬張った。
「ん!」
「美味しいかい?ヴァルドはなんでも作れるんだよ」
「何でもは無理だよ?流石に」
「兄様は元々何でも出来たけど…僕は毎回兄様とあちこちで比べられて」
「コニーはコニーなのに酷い話だね」
ローゼがそう憤慨するとコニーは笑った。
「姉様、ありがとう。僕、一生懸命頑張るよ。そのためにここに来たんだから」
ヴァルドが急に立ち上がって台所に向かう。そしてなにやら持って戻って来た。それはホイップクリームがたっぷり載ったワッフルだ。
「これ、デザート。コニー、俺と比べられたくないなら死ぬ気で頑張るしかないよ」
「うん、分かってる。ありがとう、兄様」
*
夕飯を摂り終えてコニーは1人、テントに戻っていった。
「ヴァルド、コニーを中で休ませなくていいのかい?」
「いいんだよ。これから鍛錬するんだし」
その言葉にローゼは驚いてしまった。
「これからするのかい?」
「あいつ、ああ言うけどめちゃくちゃ優秀なんだ。
足りないのは自信」
「それは一番難しいね」
「コニーも自覚はしてると思うけどね。とりあえず俺も鍛錬を手伝う約束したからちょっと行ってくるね」
「僕がいたらお邪魔かい?」
「ローゼはもう眠たそうだし無理しないで。明日もお仕事するんだし」
ヴァルドは自分をよく見ているとローゼは改めて確信した。
「承知したよ。どちらも怪我をしないようにしておくれ?」
「大丈夫。手加減はするよ」
ローゼは渋々だったが自室に戻った。窓からそっと庭を覗いてみると、2人がストレッチを始めているところだった。
「なぁあ」
「ノーラ、いたのかい?」
ノーラはいつものようにローゼのベッドを占領している。
「そろそろ寝なければね。ノーラ、君はここだよ」
よいしょ、とノーラを脇にどかして、ローゼは横になった。一緒に付いてきたクーフもベッドに飛び乗る。ローゼはいつの間にか眠っていた。
*
次の日、ローゼはいつもの通り目覚ましのベルの音で飛び起きた。呻きながらなんとか起き上がりベルを止める。
「うぅ…朝はどうも駄目だね」
カーディガンを羽織り階下に向かうと、ヴァルドが料理をしている。
「おはよう、ヴァルド。コニーは?」
「おはよう。あいつなら走りに行かせた」
「えぇ!昨日遅くまで鍛錬してたんじゃ…」
「うーん、そうなんだけど、コニーがすごく焦っててさ。1回体力奪って気絶させとこうかなって」
「君はコニーのことになると人が変わるね」
「そう?」
「そうだよ。心配しているのだね」
ふふ、とローゼが微笑むとヴァルドが顔を赤くする。
「まぁ一応弟だし、あいつはローゼが危ない時に助けに来てくれたからね」
「そうだよ。彼は僕の命の恩人なのだから」
「うーん、なんか癪に障るけどそうなんだよなー」
ローゼはヴァルドの大きな手を握った。
「ヴァルドが優しい兄様であるところを僕は見たいな」
「…ローゼがそう言うなら善処するよ」
ローゼは嬉しくなり鼻歌を歌いながら食卓に着いた。
「ただいま帰りました!」
コニーが上裸でやって来る。
「お帰り、って泥だらけじゃないか!」
「山道濡れてて滑っちゃって」
「お前、山の方まで行ったの?」
呆れているヴァルドの様子にコニーは口を尖らせた。
「だって、すぐ戻ったらまた走りに行けって言われそうだったし。あ、姉様おはようございます」
コニーが笑って挨拶をしてくるが泥だらけで表情がよく分からない。
「とりあえず風呂沸かすから入れ。ローゼ、悪いけどこの馬鹿、拭いてあげてくれる?」
「馬鹿はひどいですよ?!」
口は悪いがやはりヴァルドはコニーを心配しているらしい。ローゼは快く頷いた。
「コニー、目を閉じていてくれるかい?」
ローゼは彼の額から眼尻に掛けてごしごしと泥を拭き取ってやった。最後に背中を拭いてやる。どうやら豪快に転んだらしい。
「うん、綺麗になったよ。お風呂が沸くまでこれを羽織っておいで」
ローゼは自分の膝掛けをコニーの肩に羽織らせた。
「ありがとうございます、姉様。でも、寒くないですか?」
「大丈夫だよ。コニー、今日、学校は?」
「はい。昼から講義なんです。必須科目だから行かなくちゃ」
「ここから学校まで走っていけよ?」
「わ、分かってますよ!」
「とりあえずご飯にしよう。コニーはまず風呂。
ローゼ、ありがとうね」
「構わないよ」
ヴァルドはやはり優しい、ローゼはにっこり笑った。
*
「うーん、僕にはさっぱりだね」
風呂に入り、朝食を食べ終えたコニーが急に今日までの課題をやり忘れていたと騒ぎ出した。慌てた様子で鞄からプリントと教科書を取り出して解き始めている。ローゼは教科書を一冊借りて開いてみた。だが、何が書かれているか理解出来ない。字が読めないわけではないが内容が分からなかった。
ローゼも幼い頃は学校に行っていたが、学生生活が向いておらず、途中から家庭教師に切り替えた。そこで習ったのは女性が習う礼儀作法だったが。コニーはひたすら字を書き続けている。
「分からない箇所が君にはないのかい?」
「いや、そんなことはないですよ?ただ、これはまだ易しい問題だし」
易しいとコニーは言うが、ローゼにはちんぷんかんぷんである。
「コニー、僕も今日の仕事をするよ。終わったら裏の厩舎においで」
「はい、分かりました。姉様」
ローゼは着替えて動物たちの餌の野菜を切り、バケツに入れ運んだ。
「ウォン!」
犬のクーフが外に出るなり駆け出す。彼はずっとコニーと遊びたそうにしていた。
「クーフ、コニーに遊んでもらいたいのだね。それならまずは仕事を頑張ろう」
「ウォン!」
ローゼはいつものルーティンをこなした。最初こそ筋肉痛で辛かったが、今はやらないとなんだか落ち着かなくなってしまう。クーフと一緒に厩舎に向かうとハヤテ号とゼロワン号が出迎えてくれた。
「2人とも、随分日差しが暖かくなったね」
「ブルル」
よしよしと2頭を撫で餌をやる。
「姉様!課題終わりました」
コニーが走ってきた。
「コニー、お疲れ様。クーフが君と遊びたいそうなんだ」
「え?僕と、ですか?」
「ウォン!!」
クーフがコニーの周りを駆け回っている。
「クーフ、おいで」
ローゼが呼ぶとクーフはすぐに傍にやってきた。そのままローゼの隣に座る。
「クーフ、コニーだよ。この子に撫でてもらいたいだろう?」
「ウォン!」
「クーフ君、よろしく」
コニーが恐る恐るといった様子でクーフを撫でている。自分もかつてはそうだったとローゼは思い出していた。ローゼはクーフ愛用の柔らかなボールを取り出した。
「クーフ、キャッチだよ!」
「ウォン!」
ローゼがボールを上空に向かって投げると、クーフがすかさず口でキャッチする。そしてローゼの元にボールを咥えて戻って来た。
「姉様、すごいです!」
「すごいのはクーフさ。君もやってみるかい?」
「はい!」
コニーとクーフはすぐ仲良くなった。駆け回っている彼らをローゼは見守った。
「姉様!僕、そろそろ学校に行かなくちゃ!」
「気を付けていっておいで!」
コニーは凄まじいスピードで制服を着て出掛けていった。
*
「ローゼ、お疲れ様」
既に日が暮れかけている。ローゼは畑に来ていた。もちろん、ヴァルドが来ると見越してだ。
「ヴァルドも。もうすぐ夕飯だろう?何か僕に手伝えることはないかい?」
「うん、今日は魚を貰ったから塩で味を付けて蒸してみようかなって思うんだけど。ローゼにはサラダを作ってもらいたいんだけどいい?」
「あぁ、承知したよ。野菜なら扱い慣れているし」
「ローゼ、上手に切れるものね」
「僕にかかればこれくらい」
ふふん、とローゼは胸をのけぞらせて、ハッと気が付いた。
「コニーがまだ帰ってこないけど大丈夫なのかい?」
「うーん、あいつ、委員会入ってるみたいだし仕事してるんじゃないかな」
「コニーはすごい子だね」
「それくらいのレベルを求められるからね」
「ヴァルドも幼い頃から頑張っていたのだものね」
「ローゼが褒めてくれると報われるよ。あ、明日は畑に苗を植えるから手伝ってくれる?」
「もちろんさ」
夕飯の支度をしようと2人は屋敷に戻った。
「ただいま帰りました!」
日が暮れてしばらく、コニーが帰ってきた。
「お帰り、コニー。お腹が空いただろう?沢山食べるといいよ」
「はい。ありがとうございます、姉様」
コニーがブレザーを脱ぎタイを解いた。
「洗濯するからシャツとか出して。下着の着替えあるの?」
「…はい。一応持ってきてますが洗ってもらうと助かります」
「休みの日は仕事を手伝ってもらうからね?」
「承知しております!」
ヴァルドとコニーの様子をローゼは微笑ましく見守っていた。
*
「ローゼ、手紙が来ていたよ」
コニーが来てもう1週間が経過している。今日もコニーを学校に送り出し、ローゼも仕事の支度をしようとしていたところだった。
「手紙?あ、うちからじゃないか」
ヴァルドから封筒を受け取り、ローゼは呟いた。ペーパーナイフで封を開け中に目を通す。
「ふふ、やっぱり」
「なんのお手紙なの?ローゼ?」
「クラシア家の伝統、春のお茶会のお誘いさ。君も来るかい?」
「え…いいの?」
「父様たちも君と是非話がしたいと書いてあるよ」
「それなら行こうかな。せっかくだし」
「返事を書こう。兄様たちに何か買いたいな」
ローゼは何気なく呟いたつもりだったが、ヴァルドはそうじゃなかったらしい。
「俺もお兄さんたちのプレゼント、一緒に選びたい。ローゼ、いい?」
真剣な表情でそう言われた。
「もちろんだとも。君の意見は貴重だからね」
「またローゼのお兄さんたちの話聞かせてね」
そういえばちゃんと話していなかったなとローゼは気が付いた。
「ヴァルドが来てくれたら皆喜ぶよ。今夜は君の部屋に行っていいかい?」
ローゼの言葉には情事を誘う意図があった。
「もちろん」
「楽しみにしているよ」
ローゼは着替えるために自室に戻った。
*
「この色味なら母様も喜んでくれそうだね」
クラシア家のお茶会は明日に迫っている。ローゼは何を着ていこうかと1人で服たちを前に悩んでいた。そして、最終的にピンク色のフリルが沢山付いたワンピースドレスに行き着いた。
「ローゼ、いい?」
ドアをノックされ声を掛けられる。ヴァルドだ。
「あぁ、いいよ」
ローゼの言葉を待ってドアが開いた。
「明日のタイ選んでくれない?あ、そのドレス可愛いね。明日着ていくの?」
「あぁ、そのつもりだよ。なら今から君の部屋に向かおうか」
「ありがとう」
ローゼはヴァルドのタイを見て選んだ。それは淡い緑色のものだ。春の芽吹きを思わせるものである。
「これ、初めて着けるかも」
「ちょうどいいじゃないか。ジャケットもこの淡いブルーグレーがのものがいいんじゃないかい?」
「ローゼに聞いて良かった。明日はコニーも一緒で大丈夫なの?」
「あぁ。もちろん構わないよ。母様が美味しいお菓子とお茶を用意してくれているだろうし」
「お土産、畑で採れた野菜だけで大丈夫?」
「大丈夫さ。久しぶりに帰ったらリリィたちと遊びたいな」
「リリィって?」
「僕の実家の猫たちだよ。三姉妹の猫なのさ」
「ローゼの知らない情報が沢山出てくる…」
「僕もヴァルドのことをまだ知り尽くしていないからね。お互い様さ」
ローゼはぽん、とヴァルドの背中を軽く叩いた。
「明日が楽しみだよ」
*
お茶会当日になっている。ローゼたちはクラシア伯爵家に来ていた。広い庭では桜の花が咲き誇っている。ここはハドより少し、春の訪れが早いらしい。
「お帰りなさい、ローゼ!」
「母様!!」
ローゼは母親に飛び付いた。久しぶりに抱きしめるとその小ささに驚いたローゼである。
「母様、もしかして、痩せたかい?」
「まぁ。ローゼも前より引き締まってるわよ」
ふふ、と母親に笑われ、ローゼも釣られて笑った。
「ローゼ!久しぶりじゃないか!」
「兄様たち、久しぶりだね!ヴァルドとコニー殿下を連れてきたよ」
「王族のお2人とこうして直に会えるなんて…」
「本当だよなぁ」
ローゼの兄たちがお互いを見合って言う。
「はじめまして、ヴァルドと申します。現在はただの男爵なので、普通に接していただけると」
「兄様、それはずるくないですか?僕も今は殿下ではありません!よろしくお願いします!」
そんなこんなで、お茶会は和やかなムードのまま幕を閉じた。
「ローゼ、お前に渡しておきたいものがある」
「父様?」
ローゼは分からないながらも父の後をついて行った。
「この間ひいお祖母様の屋敷を片付けたんだが、お前にと」
「ひいお祖母様が?」
ローゼは優しかった曾祖母の顔を思い出していた。学校で悲しいことがあると必ず曾祖母に抱きしめてもらっていた。
「指輪?」
淡い桃色の輝きをした石が付いている。
「綺麗だろう?ヴァルド殿に頼んで婚姻用に作り直してもらえばどうかな?」
「本当に僕がもらっていいの?」
「もちろん」
「ありがとう」
ローゼは指輪の入った小箱を抱き締めた。
「父様、今日は素敵な会に呼んでくれてありがとう。また機会があれば呼んでほしい」
「もちろん。お前が元気そうでよかった」
*
「こんなに沢山…」
「いいのいいの。ヴァルド様には家の困った子を引き取ってもらったんだから」
「そんな…」
ローゼの母親がこれでもかと食材を持たせてくれた。
「母様、僕の好きなお菓子は入っているかな?」
「もちろんよ。いっぱい入れたわ」
「ありがとう」
荷物を持って馬車に乗りこむ。ヴァルドはいつもの通り御者台の上だ。領地ハドに行くまでに小さいが山を越えなければならない。
「気を付けて帰れよ!」
「ありがとうございました。また!」
馬車が走り出す。ローゼとコニーも手を振った。
*
馬車が山道を走っている。どうしても登り道なのでスピードが落ちてしまう。
「姉様」
「どうしたんだい?コニー」
「いくつか不穏な気配を感じます。兄様!」
ヴァルドにはちゃんとコニーの声が聞こえていた。
「分かってる。お前、1人でなんとか出来るか?」
「任せてください!」
コニーが取り出したのはダガーナイフだった。ローゼはそれに驚いてしまった。
「姉様、怖かったら目を閉じていてください。すぐに終わります」
「でも…」
「大丈夫だよ、ローゼ。こいつは慣れてるから」
ローゼは何も返せなかった。
「そこの馬車、止まれ!!」
荒くれ者たちが姿を現す。ゼロワンとハヤテが驚きで嘶く。
「どう、どう」
ヴァルドは全く動じていない。荒くれ者の頭と思しき男が小刀をこちらに向けた。
「殺されたくなかったら、女と荷物を置いていけ」
「すげー上物ですね!お頭!」
げへへ、と舐め回すように見られ、ローゼは背筋が震えた。
「あんたたちの相手はこいつがするから」
「は?」
ずる、と男たちの頭部と身体がずれる。一瞬の早業だった。ローゼもずっと見ていたが何が起きたのか分からなかった。
「コニー、帰るぞ!」
「はい、兄様!」
馬車は再び走り出す。
*
「コニー、一体、何が起きたんだい?」
「はい。この国で強盗未遂は極刑なので僕が処分しました」
「君はそんな汚れ仕事を請け負っているのかい?」
「今だけですけど。僕は国王陛下、父様の狗ですから」
「ローゼ、このことの口外は控えてもらえる?」
「もちろんさ。君たちがこんなに重要な仕事をしているなんて…」
ローゼは必ず黙っている、と約束した。
話してしまった場合、命で償うとも。馬車は走り、ヴァルドの屋敷が見えてきた。
ローゼは見慣れた屋敷の様子に安堵した。
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