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番外編SS
ハッピーバースデー②
「全員揃ったね!」
中間考査も無事に終わり、いよいよ約束の日曜日。
4人は出掛ける支度を整えていた。あとは出発するだけだ。
「風殿が欲しいというフィギュアはどんなものなんだ?」
「これこれ」
風がスマートフォンの画面を疾風に見せている。それは武器を構えた凛々しい女性戦士のフィギュアだった。
「カッコいいな」
「それ、見てみたけどめちゃくちゃ出来がいいよな。
確か有名な造型師さんなんだっけ?」
「そうなんだよ!克樹、知ってるの?」
興奮した風に克樹が笑う。彼は樹を指差した。
「うん、いっくんから聞いた」
「俺もフィギュア好きだからさ」
樹が言うと、風にぎゅっと両手を掴まれる。
そのままぶんぶん振られた。
「樹はよく分かってる!」
「ははは」
「ほらほら、早速しゅっぱーつ!」
克樹が風の背中を押す。
4人は電車に乗り込んでいた。
中は冷房が効いていて涼しい。
いよいよ夏が来たという気候になってきた。
「都内のゲームセンターなんて初めて行くよ」
風が少し緊張した面持ちで言う。
「俺もだ」
疾風もあまりゲームセンターに行ったことがないらしい。
「大丈夫!楽しいよ!」
克樹が明るく言う。
ちらり、と樹に目配せしてきたので、樹はそっと頷いていた。
✣✣✣
「わ…あった」
風が1台のクレーンゲームの前で立ち止まる。
もう在庫があまりない。
それだけ人気な作品なのだろう。
このゲームの攻略法は一つだ。
少しずつ箱をずらしていって下に落とす。
取るまでに金はかかるが比較的良心的な方だ。
ゲームの中には取らせる気がないものもある。
「風、まずやってみる?」
風はこの日のために節約していたようだ。
今日は万全の状態でここまで来ている。
「うん。アームの調子見たいしね」
風がゲーム機に百円玉を放る。
アームは一回動かしたら終わりだ。
風は絶妙な位置にアームを置いた。
上手くフィギュアの箱がずれる。
「わぁ、風上手いんだー!」
樹が隣で見ながら言うと風は照れたように笑った。
「こうゆうの割と得意でね」
風は次は500円玉を放り込んだ。一気に取りに行くことにしたらしい。
『ねえ、いっくん。疾風が他のゲーム見たいらしいから別行動しようか?』
そっと克樹に言われて樹は頷いた。
『じゃあ後でね!』
『了解!』
克樹は疾風の元に向かったらしい。風の方に目を戻すと、もうすぐ景品が取れそうだ。
「わー、風。もうちょいじゃん」
「ここからどうしたらいいんだろう。久しぶりでやり方忘れてるー」
むむむ、と風が悩んでいる。
樹は前に克樹がフィギュアを取ってくれた時のことを思い出していた。
確か克樹はあの時、このあたりまでずらしたら、奥を狙って持ち上げそのまま落としていた。
残り回数は二回。ここは大事だ。
樹は改めて景品の位置を確認した。
「風、一回箱を持ち上げてみない?」
「分かった。やってみる」
風が的確な操作で箱をアームで持ち上げる。
すると思いの外、箱が動いた。
グラリ、と箱が垂直になり下に落ちる。
ぽすん、と音がした。
「わ!!取れちゃった!」
「風、すごいー!」
風が嬉しそうにフィギュアを抱えている。
「あれー、取れたの?」
克樹と疾風がやってくる。
どうやら一通り中を見たら満足したようだ。
風が取れたフィギュアを掲げている。
「うん!取れたよ!」
「あと一回出来るじゃん。やっていい?」
克樹の言葉に風は頷く。
克樹はボタンを押して操作した。
上手く箱の隙間にアームを入れる。
ずるずると箱が引きずられてくる。
そして下に落ちた。
「え?」
風が固まっている。
「はい、風ー。保管用出来たよー」
「あ…ありがとう?」
「どういたしましてー」
克樹が笑っている。
(かっちゃんはやっぱりカッコいい)
樹はそんな兄の姿にドキドキしていた。
中間考査も無事に終わり、いよいよ約束の日曜日。
4人は出掛ける支度を整えていた。あとは出発するだけだ。
「風殿が欲しいというフィギュアはどんなものなんだ?」
「これこれ」
風がスマートフォンの画面を疾風に見せている。それは武器を構えた凛々しい女性戦士のフィギュアだった。
「カッコいいな」
「それ、見てみたけどめちゃくちゃ出来がいいよな。
確か有名な造型師さんなんだっけ?」
「そうなんだよ!克樹、知ってるの?」
興奮した風に克樹が笑う。彼は樹を指差した。
「うん、いっくんから聞いた」
「俺もフィギュア好きだからさ」
樹が言うと、風にぎゅっと両手を掴まれる。
そのままぶんぶん振られた。
「樹はよく分かってる!」
「ははは」
「ほらほら、早速しゅっぱーつ!」
克樹が風の背中を押す。
4人は電車に乗り込んでいた。
中は冷房が効いていて涼しい。
いよいよ夏が来たという気候になってきた。
「都内のゲームセンターなんて初めて行くよ」
風が少し緊張した面持ちで言う。
「俺もだ」
疾風もあまりゲームセンターに行ったことがないらしい。
「大丈夫!楽しいよ!」
克樹が明るく言う。
ちらり、と樹に目配せしてきたので、樹はそっと頷いていた。
✣✣✣
「わ…あった」
風が1台のクレーンゲームの前で立ち止まる。
もう在庫があまりない。
それだけ人気な作品なのだろう。
このゲームの攻略法は一つだ。
少しずつ箱をずらしていって下に落とす。
取るまでに金はかかるが比較的良心的な方だ。
ゲームの中には取らせる気がないものもある。
「風、まずやってみる?」
風はこの日のために節約していたようだ。
今日は万全の状態でここまで来ている。
「うん。アームの調子見たいしね」
風がゲーム機に百円玉を放る。
アームは一回動かしたら終わりだ。
風は絶妙な位置にアームを置いた。
上手くフィギュアの箱がずれる。
「わぁ、風上手いんだー!」
樹が隣で見ながら言うと風は照れたように笑った。
「こうゆうの割と得意でね」
風は次は500円玉を放り込んだ。一気に取りに行くことにしたらしい。
『ねえ、いっくん。疾風が他のゲーム見たいらしいから別行動しようか?』
そっと克樹に言われて樹は頷いた。
『じゃあ後でね!』
『了解!』
克樹は疾風の元に向かったらしい。風の方に目を戻すと、もうすぐ景品が取れそうだ。
「わー、風。もうちょいじゃん」
「ここからどうしたらいいんだろう。久しぶりでやり方忘れてるー」
むむむ、と風が悩んでいる。
樹は前に克樹がフィギュアを取ってくれた時のことを思い出していた。
確か克樹はあの時、このあたりまでずらしたら、奥を狙って持ち上げそのまま落としていた。
残り回数は二回。ここは大事だ。
樹は改めて景品の位置を確認した。
「風、一回箱を持ち上げてみない?」
「分かった。やってみる」
風が的確な操作で箱をアームで持ち上げる。
すると思いの外、箱が動いた。
グラリ、と箱が垂直になり下に落ちる。
ぽすん、と音がした。
「わ!!取れちゃった!」
「風、すごいー!」
風が嬉しそうにフィギュアを抱えている。
「あれー、取れたの?」
克樹と疾風がやってくる。
どうやら一通り中を見たら満足したようだ。
風が取れたフィギュアを掲げている。
「うん!取れたよ!」
「あと一回出来るじゃん。やっていい?」
克樹の言葉に風は頷く。
克樹はボタンを押して操作した。
上手く箱の隙間にアームを入れる。
ずるずると箱が引きずられてくる。
そして下に落ちた。
「え?」
風が固まっている。
「はい、風ー。保管用出来たよー」
「あ…ありがとう?」
「どういたしましてー」
克樹が笑っている。
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樹はそんな兄の姿にドキドキしていた。
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