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番外編SS
健悟、アウトレットに行く
「お兄ちゃん!いいでしょー!連れて行ってよー!バイク乗れるんでしょー!」
「ったく、うるせえな。ならさっさと支度しろ」
「やたっ!」
健悟は今実家に帰って来ている。
ゴールデンウィークの時は何かとバタバタしたので、お盆くらいはゆっくりしたかったのだが、それは現在の時点で不可能になった。
健悟には3つ下の妹がいる。名前は深雪。なかなか生意気で、扱いづらい。
健悟からしたらまだ子供なのだが、妹は自分のことをそう思っていないようだ。
彼女は鏡の前でピンク色のリップを塗っていた。化粧なんてまだ必要ないと健悟は思っているが、彼女は欠かさずメイクをしている。
妹は淡い水色のワンピースにベージュのポシェットを肩から提げている。
「お兄ちゃん、もう行けるよ!」
ふんす、と彼女が言う。
両親は既に知っていたようで、あっさり許可が下りた。
妹の深雪が行きたいところ、それは郊外にあるアウトレットだった。
深雪にヘルメットを被せて後ろに乗せる。
「みゆ、しっかり掴まってろよ?」
「わーい!」
深雪がしっかり健悟の腰に掴まったのを確認して、健悟はバイクを走らせた。
アウトレットはここからそう離れていない。
「わ、車すごっ!」
「お盆だからな。みんな、休みなんだよ」
無事駐車場には入れた。しばらくグルグル駐車場を回る。
ようやく停められる場所を見つけて、健悟はバイクを停めた。
「お兄ちゃん、二時間後にあの花時計の前で待ち合わせしよ!」
「は?お前一人なんて…」
深雪がにーっと笑う。
「あたし、友達と待ち合わせしてるから!
じゃね!」
健悟が止める間もなく深雪は行ってしまった。
仕方なく自分もアウトレット内に入る。中には人が沢山いた。
車の数を思えば、仕方のないことである。
健悟は適当な店に入り時間を潰すことにした。
「健悟先輩!!」
聞き慣れた声がする。恐る恐る振り返ると克樹がいた。彼が抱き着いてくる。
「よかった!助けて!!」
「おまっ…どうしたんだよ?」
「皆とはぐれたぁ」
克樹が泣いている。暑苦しいので、引き剥がすが、克樹がまだしがみついてこようとするので参った。
「スマホは?」
「いっくんに預けちゃった」
樹はきっと心配しているだろう。今頃、あちこち探し回っているに違いない。
「分かったから、もう泣くな。樹に連絡すりゃいいんだろ?」
ぱああと克樹の表情が明るくなる。
「ありがとう!健悟先輩!」
「いいか、これは貸しだからな?
ちゃんと返せよ?」
「ひえっ」
(やっぱ双子なんだよな)
笑いそうになるのを堪えながら、樹に電話をかける。
樹はすぐに電話に出てくれた。
レストランで待ち合わせることにする。
樹は涙声だった。よほど心配したのだろう。
「おい、克樹。
お前、なんで迷子になったんだ?」
ここはしっかり聞いておかねばならない。
「う…それはお菓子が目に入っちゃって…」
「お前は幼稚園児か」
克樹がそういう人であることは健悟にも分かってきていた。
レストランに向かうと樹が駆け寄ってくる。
どうやら先に着いていたらしい。
「かっちゃん、良かった。
櫻木先輩すみませんでした」
「いや、お前が謝ることじゃねえ」
健悟は克樹を指差す。そして彼に向かって笑った
「ここのラーメン、美味いんだよな。食わせてくれるならチャラだ」
「もうお昼も近いですし、何か食べましょうか」
克樹が健悟と自分用にラーメンを頼む。
樹は天ぷらうどんを頼んでいた。
「お前ら、MVどうなった?」
ずるる、と麺を啜る。相変わらず麺がツルツルでどんどん食べられる。
「はい、あとは学校で作業しようかと思っていて」
「ふーん。また見せろよ?」
「はい」
(ここでこいつらに会うなんて思いもしなかったな。面白え)
健悟は内心笑うのだった。
おわり
「ったく、うるせえな。ならさっさと支度しろ」
「やたっ!」
健悟は今実家に帰って来ている。
ゴールデンウィークの時は何かとバタバタしたので、お盆くらいはゆっくりしたかったのだが、それは現在の時点で不可能になった。
健悟には3つ下の妹がいる。名前は深雪。なかなか生意気で、扱いづらい。
健悟からしたらまだ子供なのだが、妹は自分のことをそう思っていないようだ。
彼女は鏡の前でピンク色のリップを塗っていた。化粧なんてまだ必要ないと健悟は思っているが、彼女は欠かさずメイクをしている。
妹は淡い水色のワンピースにベージュのポシェットを肩から提げている。
「お兄ちゃん、もう行けるよ!」
ふんす、と彼女が言う。
両親は既に知っていたようで、あっさり許可が下りた。
妹の深雪が行きたいところ、それは郊外にあるアウトレットだった。
深雪にヘルメットを被せて後ろに乗せる。
「みゆ、しっかり掴まってろよ?」
「わーい!」
深雪がしっかり健悟の腰に掴まったのを確認して、健悟はバイクを走らせた。
アウトレットはここからそう離れていない。
「わ、車すごっ!」
「お盆だからな。みんな、休みなんだよ」
無事駐車場には入れた。しばらくグルグル駐車場を回る。
ようやく停められる場所を見つけて、健悟はバイクを停めた。
「お兄ちゃん、二時間後にあの花時計の前で待ち合わせしよ!」
「は?お前一人なんて…」
深雪がにーっと笑う。
「あたし、友達と待ち合わせしてるから!
じゃね!」
健悟が止める間もなく深雪は行ってしまった。
仕方なく自分もアウトレット内に入る。中には人が沢山いた。
車の数を思えば、仕方のないことである。
健悟は適当な店に入り時間を潰すことにした。
「健悟先輩!!」
聞き慣れた声がする。恐る恐る振り返ると克樹がいた。彼が抱き着いてくる。
「よかった!助けて!!」
「おまっ…どうしたんだよ?」
「皆とはぐれたぁ」
克樹が泣いている。暑苦しいので、引き剥がすが、克樹がまだしがみついてこようとするので参った。
「スマホは?」
「いっくんに預けちゃった」
樹はきっと心配しているだろう。今頃、あちこち探し回っているに違いない。
「分かったから、もう泣くな。樹に連絡すりゃいいんだろ?」
ぱああと克樹の表情が明るくなる。
「ありがとう!健悟先輩!」
「いいか、これは貸しだからな?
ちゃんと返せよ?」
「ひえっ」
(やっぱ双子なんだよな)
笑いそうになるのを堪えながら、樹に電話をかける。
樹はすぐに電話に出てくれた。
レストランで待ち合わせることにする。
樹は涙声だった。よほど心配したのだろう。
「おい、克樹。
お前、なんで迷子になったんだ?」
ここはしっかり聞いておかねばならない。
「う…それはお菓子が目に入っちゃって…」
「お前は幼稚園児か」
克樹がそういう人であることは健悟にも分かってきていた。
レストランに向かうと樹が駆け寄ってくる。
どうやら先に着いていたらしい。
「かっちゃん、良かった。
櫻木先輩すみませんでした」
「いや、お前が謝ることじゃねえ」
健悟は克樹を指差す。そして彼に向かって笑った
「ここのラーメン、美味いんだよな。食わせてくれるならチャラだ」
「もうお昼も近いですし、何か食べましょうか」
克樹が健悟と自分用にラーメンを頼む。
樹は天ぷらうどんを頼んでいた。
「お前ら、MVどうなった?」
ずるる、と麺を啜る。相変わらず麺がツルツルでどんどん食べられる。
「はい、あとは学校で作業しようかと思っていて」
「ふーん。また見せろよ?」
「はい」
(ここでこいつらに会うなんて思いもしなかったな。面白え)
健悟は内心笑うのだった。
おわり
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