13 / 20
4
ロイヤル
しおりを挟む
パソコンのキーボードを叩きながらあたしはちらり、と壁に掛かっている時計を見た。
もうすぐお昼だ。
その前にこの仕事を終わらせてしまいたい。
今日も絶賛労働中だ。
冬が来たと思ったら、もうすぐ春になる。
時が経つのはあっという間だな。
(夏が来るのもあっという間なんだろうな)
そしたら、葵のバンドの全国ツアーがまた始まる。
今年も行きたいなぁ。
キーボードを叩きながらぼんやり思う。
(そういえば新しいシングル出るんだった)
今日の帰りにCDショップを覗こうと決意する。
ちゃんと予約しないと特典がもらえない。
あたしの双子の兄、葵はヴィジュアル系バンドのベーシストをしている。
妹のあたしから見ても彼はかっこいい。
あたしは隠れて大ファンだったりする。
「アカリ、お昼どうする?外行く?」
隣から声をかけてきたのは同期のミユキだ。
今日はお弁当を持ってきている。
「あたし、お弁当なんだ」
「じゃあ食堂行こっ」
あたしは頷いた。ミユキはどちらかといえば、派手目な印象があるのに、実際は誰よりも真面目だ。偉いと思う。
ミユキが大盛りの天ぷらうどんを運んできた。
二人でいただきますをする。
ミユキがつるつるうどんをすする。
あたしもおかずのトマトを箸で掴んだ。
「ねぇ、アカリ?お兄さんのCD聞いたよー」
「どうだった?」
あたしが作った訳じゃないけど、気になる。
「うん、よかったよ。あたし、音楽詳しくないけど聞きやすかった」
そう言ってもらえると嬉しい。
「帰ったらアオにいっとく。
喜ぶよ」
「お兄さんがイケメンってうらやましいー」
「でしょー」
「あ、そうそう」
ミユキはぽんと手のひらを叩いて、顔を寄せてきた。どうしたんだろう?
ミユキは小さな声で言った。
「ねえ、新しく入った子のこと知ってる?」
「社長の息子さん、だったっけ?」
あたしが言うとミユキは頷いた。
「そう、その子。コネもそうなんだけど、結構仕事もできるって噂」
「へー」
あんまり噂とか興味ないなあ、とあたしは聞き流した。
「まぁウチの部署とは接点ないしね」
あたしはふと思いついて笑った。
「もしかしてミユキ、その子がタイプ?」
「ち、違うわよ!!」
真っ赤になって否定するのが可愛い。
彼氏かぁ、とあたしはぼんやり思っていた。
もうすぐお昼だ。
その前にこの仕事を終わらせてしまいたい。
今日も絶賛労働中だ。
冬が来たと思ったら、もうすぐ春になる。
時が経つのはあっという間だな。
(夏が来るのもあっという間なんだろうな)
そしたら、葵のバンドの全国ツアーがまた始まる。
今年も行きたいなぁ。
キーボードを叩きながらぼんやり思う。
(そういえば新しいシングル出るんだった)
今日の帰りにCDショップを覗こうと決意する。
ちゃんと予約しないと特典がもらえない。
あたしの双子の兄、葵はヴィジュアル系バンドのベーシストをしている。
妹のあたしから見ても彼はかっこいい。
あたしは隠れて大ファンだったりする。
「アカリ、お昼どうする?外行く?」
隣から声をかけてきたのは同期のミユキだ。
今日はお弁当を持ってきている。
「あたし、お弁当なんだ」
「じゃあ食堂行こっ」
あたしは頷いた。ミユキはどちらかといえば、派手目な印象があるのに、実際は誰よりも真面目だ。偉いと思う。
ミユキが大盛りの天ぷらうどんを運んできた。
二人でいただきますをする。
ミユキがつるつるうどんをすする。
あたしもおかずのトマトを箸で掴んだ。
「ねぇ、アカリ?お兄さんのCD聞いたよー」
「どうだった?」
あたしが作った訳じゃないけど、気になる。
「うん、よかったよ。あたし、音楽詳しくないけど聞きやすかった」
そう言ってもらえると嬉しい。
「帰ったらアオにいっとく。
喜ぶよ」
「お兄さんがイケメンってうらやましいー」
「でしょー」
「あ、そうそう」
ミユキはぽんと手のひらを叩いて、顔を寄せてきた。どうしたんだろう?
ミユキは小さな声で言った。
「ねえ、新しく入った子のこと知ってる?」
「社長の息子さん、だったっけ?」
あたしが言うとミユキは頷いた。
「そう、その子。コネもそうなんだけど、結構仕事もできるって噂」
「へー」
あんまり噂とか興味ないなあ、とあたしは聞き流した。
「まぁウチの部署とは接点ないしね」
あたしはふと思いついて笑った。
「もしかしてミユキ、その子がタイプ?」
「ち、違うわよ!!」
真っ赤になって否定するのが可愛い。
彼氏かぁ、とあたしはぼんやり思っていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる