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真司×千晶&千尋×加那太
年賀状②
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「千晶、さっきからなにやってるんだ?」
「モヤシのひげ取りを…」
「…」
真司が呆れたように黙って自分を見つめてきたので、千晶もとうとう諦めた。
作業中のモヤシをジップロックに入れる。
それをチルド室にしまった。
「分かってます。年賀状ですよね」
「せっかく可愛いデザイン作ったんだから早く刷り上がりがみたいじゃないか。ブログで繋がっている人にも送るんだろ?」
「はい。でも需要あるのかなって」
「千晶、かなさんがあんなにお前の年賀状欲しがっていたの忘れたのか?」
千晶はそこで、加那太のメッセージを思い出していた。「すごく楽しみ」だと書いてあったのだ。
「俺、頑張らなきゃですね」
「千晶の年賀状はみんな楽しみにしてるからな」
千晶はぐっと、伸びをした。パソコンの電源とプリンタの電源を入れる。
年賀ハガキは買ってあった。それをプリンタにセットする。
いざ印刷、という段になって、インクがほとんど残っていないことに気が付いた。
「わー、インクないです」
「買いに行こう」
真司はいつも通りのフットワークの軽さである。千晶は渋々といった様子で立ち上がった。
「いつものとこですか?」
「ああ」
「わ、それなら帰りにシフォンケーキ買いに行ってもいいですか?」
千晶の表情が急に明るくなる。
「いいけど、売り切れてないか?」
「今から聞いてみます」
千晶がシフォンケーキの取り置きを電話で頼んでいる間、真司はプリンタの型版を確認していた。インクを買っても間違えていたら使えない。
「真司さん、シフォンケーキ1ホールいけますよね?」
「千晶ー、インクを買いに行くんだぞー」
真司の言葉に千晶が苦笑いする。
「インクは食べられないんです。シフォンケーキはふわふわで甘いんですよ」
「ま、とりあえず行こうか」
二人は車に乗り込んだ。
今日は雪がちらついている。
積もることはまずないが、底冷えしている。
「寒い…この世にシフォンケーキがあって良かった」
千晶が恨めしそうに呟く。
「千晶のスイーツ好きは筋金入りだな」
「俺からスイーツ取ったらなにも残らないんで」
真司は思わず笑ってしまっていた。
雪は舞っている程度だが、道が濡れて凍っている可能性がある。
真司はいつも以上に慎重に運転をしている。
長年車に乗っているが、冬の道は怖いことは身にしみて分かっている。
「真司さん、道怖いですね」
「あぁ。めちゃくちゃ怖い。雪降るの今年初めてだもんな」
「寒いわけです」
家電量販店の看板が見えた時、真司はホッとした。
ここまでの道のりが永遠に感じられるほどだった。
「着いた」
駐車場に車を停めて二人は店内に入った。パソコンのコーナーに行こうとしたら、加那太達がいたのだ。
全くの偶然に千晶も真司も驚いた。
みんなでクリスマスパーティーを開く約束をしている。
千尋はラザニアを焼いてくれると言ってくれている。
「あきくん、年賀状楽しみにしてるね!」
加那太と年賀状の話をしたらこう言われて千晶は嬉しかった。
やはり生の声は嬉しい。
それからしばらく加那太と話した。
千尋が向こうから加那太を呼んでいる。加那太とはずっと話してられるので少し寂しかったが、千晶も年賀状を作らなければいけないのは同じだ。
「千晶、シフォンケーキ取りに行くんだろ?急ごう。閉店しちゃうぞ」
「はい」
二人も急いだ。
無事にシフォンケーキを購入できた。
家路に着く。
千晶の中では色々な思いが過っていた。
今年はとにかく、みんなで沢山遊んだ。
千尋ともぐっと仲良くなった。
それが嬉しい。
「真司さん、俺、寒いのはやだけど冬は嫌いじゃないです」
「俺もだよ。楽しいもんな」
「はい」
真司と分かち合えたのがなにより嬉しい。千晶はシフォンケーキを抱え直したのだった。
おわり
「モヤシのひげ取りを…」
「…」
真司が呆れたように黙って自分を見つめてきたので、千晶もとうとう諦めた。
作業中のモヤシをジップロックに入れる。
それをチルド室にしまった。
「分かってます。年賀状ですよね」
「せっかく可愛いデザイン作ったんだから早く刷り上がりがみたいじゃないか。ブログで繋がっている人にも送るんだろ?」
「はい。でも需要あるのかなって」
「千晶、かなさんがあんなにお前の年賀状欲しがっていたの忘れたのか?」
千晶はそこで、加那太のメッセージを思い出していた。「すごく楽しみ」だと書いてあったのだ。
「俺、頑張らなきゃですね」
「千晶の年賀状はみんな楽しみにしてるからな」
千晶はぐっと、伸びをした。パソコンの電源とプリンタの電源を入れる。
年賀ハガキは買ってあった。それをプリンタにセットする。
いざ印刷、という段になって、インクがほとんど残っていないことに気が付いた。
「わー、インクないです」
「買いに行こう」
真司はいつも通りのフットワークの軽さである。千晶は渋々といった様子で立ち上がった。
「いつものとこですか?」
「ああ」
「わ、それなら帰りにシフォンケーキ買いに行ってもいいですか?」
千晶の表情が急に明るくなる。
「いいけど、売り切れてないか?」
「今から聞いてみます」
千晶がシフォンケーキの取り置きを電話で頼んでいる間、真司はプリンタの型版を確認していた。インクを買っても間違えていたら使えない。
「真司さん、シフォンケーキ1ホールいけますよね?」
「千晶ー、インクを買いに行くんだぞー」
真司の言葉に千晶が苦笑いする。
「インクは食べられないんです。シフォンケーキはふわふわで甘いんですよ」
「ま、とりあえず行こうか」
二人は車に乗り込んだ。
今日は雪がちらついている。
積もることはまずないが、底冷えしている。
「寒い…この世にシフォンケーキがあって良かった」
千晶が恨めしそうに呟く。
「千晶のスイーツ好きは筋金入りだな」
「俺からスイーツ取ったらなにも残らないんで」
真司は思わず笑ってしまっていた。
雪は舞っている程度だが、道が濡れて凍っている可能性がある。
真司はいつも以上に慎重に運転をしている。
長年車に乗っているが、冬の道は怖いことは身にしみて分かっている。
「真司さん、道怖いですね」
「あぁ。めちゃくちゃ怖い。雪降るの今年初めてだもんな」
「寒いわけです」
家電量販店の看板が見えた時、真司はホッとした。
ここまでの道のりが永遠に感じられるほどだった。
「着いた」
駐車場に車を停めて二人は店内に入った。パソコンのコーナーに行こうとしたら、加那太達がいたのだ。
全くの偶然に千晶も真司も驚いた。
みんなでクリスマスパーティーを開く約束をしている。
千尋はラザニアを焼いてくれると言ってくれている。
「あきくん、年賀状楽しみにしてるね!」
加那太と年賀状の話をしたらこう言われて千晶は嬉しかった。
やはり生の声は嬉しい。
それからしばらく加那太と話した。
千尋が向こうから加那太を呼んでいる。加那太とはずっと話してられるので少し寂しかったが、千晶も年賀状を作らなければいけないのは同じだ。
「千晶、シフォンケーキ取りに行くんだろ?急ごう。閉店しちゃうぞ」
「はい」
二人も急いだ。
無事にシフォンケーキを購入できた。
家路に着く。
千晶の中では色々な思いが過っていた。
今年はとにかく、みんなで沢山遊んだ。
千尋ともぐっと仲良くなった。
それが嬉しい。
「真司さん、俺、寒いのはやだけど冬は嫌いじゃないです」
「俺もだよ。楽しいもんな」
「はい」
真司と分かち合えたのがなにより嬉しい。千晶はシフォンケーキを抱え直したのだった。
おわり
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