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スカウト
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「お好きなものを頼んでくださいね。お腹減ってませんか?サンドイッチとかどう?」
翡翠は今になって自分の置かれている状況を把握してきていた。
相手は芸能事務所の人で、自分はその人に声を掛けられた。翡翠は対面に座る彼女をおそるおそる見た。
綺麗な人だ。仕事もできそうだな、なんて勝手な目線で見てしまう。
「あ…あの、これって…す、スカウトってやつですか?」
翡翠がつっかえながらなんとか尋ねる。まさか自分がと、未だに信じられない。
彼女がにっこり笑う。
「はい。ウチで働いてみませんか?」
「い、いきなりそんなこと言われても」
「そうですよね、学生さんですか?」
「あ、大学生です」
彼女はこの手のやり取りに慣れているのか、ふんふんと頷いている。
「失礼ですが、お名前を伺っても?」
「原翡翠…です」
「わぁ!綺麗なお名前ですね!翡翠さんが良ければライバーとか、色々お仕事があるんですけど」
「ら…ライバー?」
聞き慣れない単語に翡翠は思わず聞き返してしまった。
「あ、簡単に言うとサイトで、動画配信をする方です」
「えー、すごい」
わたなべの淀みのない説明に翡翠はだんだん楽しそうだなと思ってきていた。
大学生になったら何かアルバイトをしてみようと思っていた翡翠である。
むしろこれからライバーになる方が好都合かもしれない。時代はどんどんデジタル化されていっている。
いつの間にかわたなべが頼んでくれていたアイスカフェオレとミックスサンドイッチがやってくる。翡翠はそれを摘んだ。
食費が一食分浮く、なんて思ってしまったことは秘密だ。翡翠はサンドイッチを飲み込んだ。
「あの、俺、ライバーやってみたいかなって」
「え!本当ですか?」
わたなべが翡翠の言葉に破顔する。翡翠はそれにそっと頷いておいた。
「これからお時間ありますか?もう少し詳しくお仕事のお話がしたいので」
わたなべがスマートフォンの時計を確認している。翡翠も腕時計を確認したが、もう昼を過ぎている。
原宿観光はまた別日にすればいい。
自分はこれからしばらく都内で暮らすのだから。
✣✣✣
翡翠が連れて来られた場所は、竹下通りを外れて少し歩いた場所だった。
竹下通りのような賑わいこそないが、落ち着いた気持ちにさせてくれる。
わたなべの勤めている芸能事務所は、出来たてホヤホヤなのだそうだ。
だからこそ、新しいタレントが欲しいらしい。
事務所に入るとデスクが並んでいる。これだけ見ればまるで市役所のようだ。
「あ、りえやん。やっと帰ってきたぁ。真綾、ちゃんとレッスンしてきたよぉ」
ゴスロリ服を着た女の子がこちらに歩いてくる。彼女の顔立ちは人形のようだ。色白で目がぱっちりしている。体が小さいのも相まってますます人形のように見える。
「真綾、あなたデビュー出来るわよ」
「え?」
真綾と呼ばれた彼女はちらっと翡翠に視線を移した。そしてわたなべに尋ねる。
「もしかして、この子と組むの?」
「そうよ、翡翠くんって言うの。
仲良くしてあげて」
真綾が可愛らしく笑う。
「ひーくん。真綾、頑張る子が好き。だから頑張ってね」
「は、はい」
すごくプレッシャーを感じたが、真綾の本気度が伝わってきた。翡翠も負けていられない。
「でね、翡翠くん」
わたなべが呼んでいる。
「一応衣装、着てみてもらっていい?」
翡翠はその衣装を見て愕然とした。
翡翠は今になって自分の置かれている状況を把握してきていた。
相手は芸能事務所の人で、自分はその人に声を掛けられた。翡翠は対面に座る彼女をおそるおそる見た。
綺麗な人だ。仕事もできそうだな、なんて勝手な目線で見てしまう。
「あ…あの、これって…す、スカウトってやつですか?」
翡翠がつっかえながらなんとか尋ねる。まさか自分がと、未だに信じられない。
彼女がにっこり笑う。
「はい。ウチで働いてみませんか?」
「い、いきなりそんなこと言われても」
「そうですよね、学生さんですか?」
「あ、大学生です」
彼女はこの手のやり取りに慣れているのか、ふんふんと頷いている。
「失礼ですが、お名前を伺っても?」
「原翡翠…です」
「わぁ!綺麗なお名前ですね!翡翠さんが良ければライバーとか、色々お仕事があるんですけど」
「ら…ライバー?」
聞き慣れない単語に翡翠は思わず聞き返してしまった。
「あ、簡単に言うとサイトで、動画配信をする方です」
「えー、すごい」
わたなべの淀みのない説明に翡翠はだんだん楽しそうだなと思ってきていた。
大学生になったら何かアルバイトをしてみようと思っていた翡翠である。
むしろこれからライバーになる方が好都合かもしれない。時代はどんどんデジタル化されていっている。
いつの間にかわたなべが頼んでくれていたアイスカフェオレとミックスサンドイッチがやってくる。翡翠はそれを摘んだ。
食費が一食分浮く、なんて思ってしまったことは秘密だ。翡翠はサンドイッチを飲み込んだ。
「あの、俺、ライバーやってみたいかなって」
「え!本当ですか?」
わたなべが翡翠の言葉に破顔する。翡翠はそれにそっと頷いておいた。
「これからお時間ありますか?もう少し詳しくお仕事のお話がしたいので」
わたなべがスマートフォンの時計を確認している。翡翠も腕時計を確認したが、もう昼を過ぎている。
原宿観光はまた別日にすればいい。
自分はこれからしばらく都内で暮らすのだから。
✣✣✣
翡翠が連れて来られた場所は、竹下通りを外れて少し歩いた場所だった。
竹下通りのような賑わいこそないが、落ち着いた気持ちにさせてくれる。
わたなべの勤めている芸能事務所は、出来たてホヤホヤなのだそうだ。
だからこそ、新しいタレントが欲しいらしい。
事務所に入るとデスクが並んでいる。これだけ見ればまるで市役所のようだ。
「あ、りえやん。やっと帰ってきたぁ。真綾、ちゃんとレッスンしてきたよぉ」
ゴスロリ服を着た女の子がこちらに歩いてくる。彼女の顔立ちは人形のようだ。色白で目がぱっちりしている。体が小さいのも相まってますます人形のように見える。
「真綾、あなたデビュー出来るわよ」
「え?」
真綾と呼ばれた彼女はちらっと翡翠に視線を移した。そしてわたなべに尋ねる。
「もしかして、この子と組むの?」
「そうよ、翡翠くんって言うの。
仲良くしてあげて」
真綾が可愛らしく笑う。
「ひーくん。真綾、頑張る子が好き。だから頑張ってね」
「は、はい」
すごくプレッシャーを感じたが、真綾の本気度が伝わってきた。翡翠も負けていられない。
「でね、翡翠くん」
わたなべが呼んでいる。
「一応衣装、着てみてもらっていい?」
翡翠はその衣装を見て愕然とした。
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