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【翡翠】歌ってみた【真綾】
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今は夜の七時半。翡翠は男の娘の姿で、煌めき社の事務所にいる。
「りえやんー!あたしの名前がなんでタイトルの最後なのー!」
「真綾の方が人気だからよー」
「本当?そうなのかなぁ」
「まーちゃんの方が人気だよ」
翡翠の言葉に、真綾はようやく笑った。
真綾は最近あまりわがままを言わなくなった。翡翠と自分を比べて、正さねばと思ったのだと、翡翠にこっそりラインで話してくれた。
そんな真綾が可愛いなと思う翡翠である。
異性としてではなく、妹のような感覚だ。
真綾も翡翠を兄のように思っていてくれるらしく、SNSでは翡翠をお兄ちゃんと呼んでいる。
一緒にご飯を食べたりする事もある。
二人でいるとなんとなく安心感があった。
翡翠は髪の毛の先をくるくる指先に絡めて遊んでいた。最近のウィッグは出来がいいなと感心しているくらいだ。翡翠の髪色が可愛らしいとよくコメントをもらえる。
翡翠がある生配信の動画で自分を男の娘だと言うと、反響がありすぎて、SNSのトレンドワードに載ってしまった。
おかげで、同級生たちに翡翠であることを知られてしまったが、みんなから可愛いよ、と褒められた。
それで悪い気はしない。
先程からPCの前で真綾とわたなべが新しい動画を投稿しようとわいわいしている。
それを翡翠は、少し離れた後ろ側から見守っていた。
最近みっちりしていたボイストレーニングの結果を見るため、少しハードな曲を愛dollの二人でカバーしたのだ。
これで様子を見て、歌う方面の活動をするかどうかが決まってくるらしい。
カラオケにあまり行ったことがなかった翡翠は歌うことに少し抵抗があった。
自分の声があまり好きじゃないという理由もある。男なのにあまり低音の出ない声質なのだ。かといって、高音が出るわけでもない。
翡翠の好きな歌手は、広い音域が出せてしかもビジュアルも可愛らしくカッコいい。
同じ男として憧れた。翡翠はすぐさまファンクラブに入ったくらいだ。そういえば、そろそろ会報が来る頃である。
「ひーくん、来て!動画確認だよ!」
真綾に呼ばれて、翡翠は彼女たちに近付いた。すっかりこの男の娘の格好にも慣れてしまっている。ライバーになって、もう半月が経過した。普段は男の格好をしているので、声をかけられたりはない。
だが、確実にファンが増えてきている実感はある。
動画を見ると、真綾と翡翠が背中合わせの状態で歌っている姿が目に入った。
この曲は高音から低音まで幅広く本当に難しかった。
だが、ボイストレーニングによって、少し自分の声質の特徴が分かり、好きになれた気がした。
また真綾は特別歌が美味い。
彼女のサポートは翡翠にとって大きい。
「まーちゃんの歌、いいよね」
「ひーくんがいたから歌えたんだよ」
二人は笑い合った。
その後、わたなべと次の動画について打ち合わせをした。
「あのね、二人共。境大輔さんって知ってる?」
「あ、人気俳優さん!」
真綾がぽん、と手を打つ。
翡翠は驚いて何も言えなかった。
この間彼にぶつかられて以来、気にも留めていなかった。
わたなべが勝ち誇ったように笑う。
「その方と、今回生配信することになりました!」
「わー、すごーい!!」
真綾が手を叩いている。
翡翠はゲームという単語を思い出していた。
もしかして、と思う。
「ゲーム実況とかですか?」
「え、翡翠くんよく分かったわね。ファンだったりする?」
「あのたまたま、その、テレビで見たから」
翡翠がしどろもどろになっているのを誰も咎めなかった。人気俳優とコラボというのはなかなか出来るものじゃない。
わたなべの気合いが伝わってくる。
「それでね、翡翠くん。ゲームのロケハンお願いしてもいい?」
「はい?」
わたなべが言うには、境の家に行ってゲームの流れを教わってこいというものだった。
異性である真綾やわたなべではその任は重いと解釈されたらしい。
煌めき社に翡翠以外の男はいない。
自動的に翡翠が行くことが決まっていた。
翡翠としては、彼とちゃんと話したかったので好都合だ。
「分かりました。行ってきます」
翡翠はビシッと右手で敬礼した。
「りえやんー!あたしの名前がなんでタイトルの最後なのー!」
「真綾の方が人気だからよー」
「本当?そうなのかなぁ」
「まーちゃんの方が人気だよ」
翡翠の言葉に、真綾はようやく笑った。
真綾は最近あまりわがままを言わなくなった。翡翠と自分を比べて、正さねばと思ったのだと、翡翠にこっそりラインで話してくれた。
そんな真綾が可愛いなと思う翡翠である。
異性としてではなく、妹のような感覚だ。
真綾も翡翠を兄のように思っていてくれるらしく、SNSでは翡翠をお兄ちゃんと呼んでいる。
一緒にご飯を食べたりする事もある。
二人でいるとなんとなく安心感があった。
翡翠は髪の毛の先をくるくる指先に絡めて遊んでいた。最近のウィッグは出来がいいなと感心しているくらいだ。翡翠の髪色が可愛らしいとよくコメントをもらえる。
翡翠がある生配信の動画で自分を男の娘だと言うと、反響がありすぎて、SNSのトレンドワードに載ってしまった。
おかげで、同級生たちに翡翠であることを知られてしまったが、みんなから可愛いよ、と褒められた。
それで悪い気はしない。
先程からPCの前で真綾とわたなべが新しい動画を投稿しようとわいわいしている。
それを翡翠は、少し離れた後ろ側から見守っていた。
最近みっちりしていたボイストレーニングの結果を見るため、少しハードな曲を愛dollの二人でカバーしたのだ。
これで様子を見て、歌う方面の活動をするかどうかが決まってくるらしい。
カラオケにあまり行ったことがなかった翡翠は歌うことに少し抵抗があった。
自分の声があまり好きじゃないという理由もある。男なのにあまり低音の出ない声質なのだ。かといって、高音が出るわけでもない。
翡翠の好きな歌手は、広い音域が出せてしかもビジュアルも可愛らしくカッコいい。
同じ男として憧れた。翡翠はすぐさまファンクラブに入ったくらいだ。そういえば、そろそろ会報が来る頃である。
「ひーくん、来て!動画確認だよ!」
真綾に呼ばれて、翡翠は彼女たちに近付いた。すっかりこの男の娘の格好にも慣れてしまっている。ライバーになって、もう半月が経過した。普段は男の格好をしているので、声をかけられたりはない。
だが、確実にファンが増えてきている実感はある。
動画を見ると、真綾と翡翠が背中合わせの状態で歌っている姿が目に入った。
この曲は高音から低音まで幅広く本当に難しかった。
だが、ボイストレーニングによって、少し自分の声質の特徴が分かり、好きになれた気がした。
また真綾は特別歌が美味い。
彼女のサポートは翡翠にとって大きい。
「まーちゃんの歌、いいよね」
「ひーくんがいたから歌えたんだよ」
二人は笑い合った。
その後、わたなべと次の動画について打ち合わせをした。
「あのね、二人共。境大輔さんって知ってる?」
「あ、人気俳優さん!」
真綾がぽん、と手を打つ。
翡翠は驚いて何も言えなかった。
この間彼にぶつかられて以来、気にも留めていなかった。
わたなべが勝ち誇ったように笑う。
「その方と、今回生配信することになりました!」
「わー、すごーい!!」
真綾が手を叩いている。
翡翠はゲームという単語を思い出していた。
もしかして、と思う。
「ゲーム実況とかですか?」
「え、翡翠くんよく分かったわね。ファンだったりする?」
「あのたまたま、その、テレビで見たから」
翡翠がしどろもどろになっているのを誰も咎めなかった。人気俳優とコラボというのはなかなか出来るものじゃない。
わたなべの気合いが伝わってくる。
「それでね、翡翠くん。ゲームのロケハンお願いしてもいい?」
「はい?」
わたなべが言うには、境の家に行ってゲームの流れを教わってこいというものだった。
異性である真綾やわたなべではその任は重いと解釈されたらしい。
煌めき社に翡翠以外の男はいない。
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「分かりました。行ってきます」
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