男の娘、愛doll始めました!

はやしかわともえ

文字の大きさ
13 / 17

カレー

しおりを挟む
翡翠は自分の手で唇に触れた。先程、境と初めてしたキスの感触がまだ残っている。
それにものすごくドキドキしてしまう。境に抱きしめてもらうだけでも十分嬉しいのに、キスはさらにその上をいく。
それなら、セックスしたらどうなるんだろう、と翡翠は戦いている。
もちろん翡翠に性交の経験はない。

今、翡翠は境の家のシャワーを借りていた。
夕飯を食べてからまた、ゲームの練習をすることになっている。
翡翠は体の泡を洗い流して、シャワールームを出た。
タオルで体を拭き、持ってきた下着とパジャマを身に着ける。
髪を乾かして居間に戻ると、境がキッチンで作業していた。

「お、パジャマ翡翠くんレア」

「なにか作ってるんですか?」

「カレーだよ」

確かに言われてみればスパイスの香りがする。

「え、カレールウじゃないんですね」

「料理楽しいなって、コーヒーと同じくらいの時にハマった」

境の言葉に翡翠はいちいちときめいてしまう。
なんだかいいな、と。

「翡翠くん、辛いのいける?いけないならココナツミルク入れるけど」

どうやら辛さも思いのままらしい。

「あまり辛いのはちょっと…。俺、カレーは普段甘口を食べてるから」

言ってしまってから子供っぽかったかなと思い、翡翠は恥ずかしくなった。だが境は気にしていないようだ。

「オッケ、甘口ねー。翡翠くんの口に合えばいいんだけど」

境がおたまで白米の上に出来上がったカレーをかける。
匂いからして、なんとも美味しそうだ。
翡翠はるんるんしながら皿を運んだ。

サラダもあるらしい。

「いただきます」

手を合わせて一口食べると、マイルドだが辛味がやってくる。

「おいひい」

翡翠がじゃがいもを咀嚼していると、境が話しかけてくる。

「翡翠くんは将来農家継ぐの?」

翡翠はじゃがいもを飲み込んで頷いた。
農家を継ぐ話は配信で何度かしている。

「はい。おじいちゃんが今専業でやっていて、俺も小さい頃から一緒に手伝ってたんです」

「へー、偉いなー。翡翠くんがやるならおじいさんも安心だね」

翡翠は思わず噴き出してしまった。
境には正直に話そうと思う。

「俺、ミニトマトとキュウリの葉がようやく見分けが付くようになったんですよ」

「あー、植えるなら今の時期かー」

「だからこの前、その話したらおじいちゃんに呆れられちゃって」

「本当に仲良しなんだね」

「はい。おじいちゃんは俺の師匠なんです!」

「翡翠くんは大学を卒業したら地元に帰るんだよね?」

「はい、そのつもりです」

翡翠の言葉に境は考えているようだ。しばらく考えて彼は手で顔を抑えて呻く。具合が悪くなったのかと、翡翠は慌てた。

「境さん?大丈夫ですか?」

「翡翠くんと恋人になりたい。例え遠距離でも我慢する」

「境さん…」

境の言葉が純粋に嬉しい。翡翠は頷いていた。境と恋人になりたいと自分も思っていた。

「嬉しいです」

境と目を合わせられなかった。
顔が火照って仕方ない。

「翡翠くん、今度デートしよ!」

「へ?」

その言葉は嬉しいが、相手は人気俳優だ。
翡翠は彼を窺った。

「美味しい焼肉食べに行こ!」

「焼肉…」

ついこの間もわたなべに連れて行ってもらったが、焼肉は何回食べても美味いので嬉しい。
ただホテルに入るというよりはいいだろう。

「境さんの事務所は恋人とかうるさくないんですか?」

自分は構わないが境に迷惑がかかるのは困る。
だが境の反応はあっさりしたものだった。

「大丈夫。俺、もう32よ?
大人だもん、そろそろ身を固めないと」

そんなものなのかと翡翠は驚いた。
まだ18歳の翡翠では分からない次元だ。

「あの、境さん。よろしくお願いします」

「こちらこそ。出来れば下の名前で呼んでほしいなぁ」

「だ、大輔さん…」

翡翠の言葉に、境は笑ってくれた。
それが嬉しい。

「大輔さん、キスしていいですか?」

「翡翠くんは積極的だね」

「はしたないですか?」

翡翠は心配になったが、境は首を振る。

「そんな翡翠くんも大好きだから」

その言葉に心がじんわりと温かくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

処理中です...