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プラフェスタ
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「加那!こっちだ!」
プラモデルやグッズの入った大きな袋を片手に物販ブースを出ると千尋が手を挙げて声を掛けてきた。どうやら最初から加那太を待っていてくれるつもりで先に行ったらしい。
外は猛烈に暑い上に日差しが強い。優しい彼氏に加那太は心の中で拝んだ。
「ごめん、お待たせー」
「もっといっぱい買うのかと思った」
千尋が加那太の買った物を見て、意外そうに言う。加那太からすればこれだけでもう大満足である。欲しかったものは無事、全て入手出来た。もちろん千晶の分もだ。任務完遂である。
きっと喜んでくれるに違いないと加那太は心の中でにまにました。
真司や母親にも少しだが土産を買った。その土産とは、今回のメインであるロボットがプリントされているクッキーで、店長オススメと商品説明が書いてあり、加那太はそれに抗えなかった。真司はクッキーが好きだし、母親も喜んでくれるだろう。
もうすっかりプラフェスタを堪能したような気でいたが、忘れてはいけない場所がある。それは。
「まだ会場内のコラボフード行くからね!」
「ああ、アイスな」
「千尋、ドリンク何杯くらいいける?」
「ドリンク…?」
千尋が首を傾げているので、加那太は持って来ていたプラフェスタのガイドブックを広げた。
先程、物販ブースのレジ横に置いてあったのだ。千尋が隣から覗き込んでくる。
「ここ」
とん、と指でガイドブックを示すと千尋が呻いた。
「オタク定番のコースター地獄じゃねえか…」
ここのコラボフード店では、ドリンクやフードを一品頼むたびに、1枚コースターがランダムでもらえる。全部で六種、できればコンプリートを狙いたい。
加那太はその旨を営業でプレゼンをしているのか、というくらいにハキハキ話した。
「分かった、分かったよ。全種狙うんだな?」
加那太の勢いに千尋はすっかり参ってしまったらしい。こうゆう時、他の人ではこうはいかないのだろうな、と思う。
「やった!じゃ、早速行こうよ!」
「もう11時前か。早いけど昼にするか」
千尋が腕時計を見ながら言う。
加那太は千尋の手を掴んだ。
「行こ!」
「はいはい」
二人が会場内に入ると、思っていたより涼しかった。だが人でごった返している。
「お、あれか」
千尋がフードコートを見つけたらしい。こういう時、背が高いといいな、と加那太は羨ましく思う。
「加那、こっちだ」
繋いだままの手をひっぱられた。
フードコートが見えてくる。まだ空いていそうだ。
「加那、好きなの買ってこい。俺は場所を取るから」
す、と当然のように千尋の財布を渡される。
加那太は驚いた。
「え、いいの?」
「いいに決まってるだろ。早く買ってこい」
「ありがと!行ってくる!」
加那太は千尋に荷物を預けて、列に並んだ。
頭上にあるメニュー表を見てみると、フードが三種、スイーツが三種。そして、ドリンクが六種あった。どれにしようか迷っているうちに順番が来た。
コースターは全六種だ。
最低でも六品は頼まなければコンプリートは不可能である。
加那太が注文したものを持って歩いていくと、千尋が手を振ってくれた。
席が空いていてよかった。
プラモデルやグッズの入った大きな袋を片手に物販ブースを出ると千尋が手を挙げて声を掛けてきた。どうやら最初から加那太を待っていてくれるつもりで先に行ったらしい。
外は猛烈に暑い上に日差しが強い。優しい彼氏に加那太は心の中で拝んだ。
「ごめん、お待たせー」
「もっといっぱい買うのかと思った」
千尋が加那太の買った物を見て、意外そうに言う。加那太からすればこれだけでもう大満足である。欲しかったものは無事、全て入手出来た。もちろん千晶の分もだ。任務完遂である。
きっと喜んでくれるに違いないと加那太は心の中でにまにました。
真司や母親にも少しだが土産を買った。その土産とは、今回のメインであるロボットがプリントされているクッキーで、店長オススメと商品説明が書いてあり、加那太はそれに抗えなかった。真司はクッキーが好きだし、母親も喜んでくれるだろう。
もうすっかりプラフェスタを堪能したような気でいたが、忘れてはいけない場所がある。それは。
「まだ会場内のコラボフード行くからね!」
「ああ、アイスな」
「千尋、ドリンク何杯くらいいける?」
「ドリンク…?」
千尋が首を傾げているので、加那太は持って来ていたプラフェスタのガイドブックを広げた。
先程、物販ブースのレジ横に置いてあったのだ。千尋が隣から覗き込んでくる。
「ここ」
とん、と指でガイドブックを示すと千尋が呻いた。
「オタク定番のコースター地獄じゃねえか…」
ここのコラボフード店では、ドリンクやフードを一品頼むたびに、1枚コースターがランダムでもらえる。全部で六種、できればコンプリートを狙いたい。
加那太はその旨を営業でプレゼンをしているのか、というくらいにハキハキ話した。
「分かった、分かったよ。全種狙うんだな?」
加那太の勢いに千尋はすっかり参ってしまったらしい。こうゆう時、他の人ではこうはいかないのだろうな、と思う。
「やった!じゃ、早速行こうよ!」
「もう11時前か。早いけど昼にするか」
千尋が腕時計を見ながら言う。
加那太は千尋の手を掴んだ。
「行こ!」
「はいはい」
二人が会場内に入ると、思っていたより涼しかった。だが人でごった返している。
「お、あれか」
千尋がフードコートを見つけたらしい。こういう時、背が高いといいな、と加那太は羨ましく思う。
「加那、こっちだ」
繋いだままの手をひっぱられた。
フードコートが見えてくる。まだ空いていそうだ。
「加那、好きなの買ってこい。俺は場所を取るから」
す、と当然のように千尋の財布を渡される。
加那太は驚いた。
「え、いいの?」
「いいに決まってるだろ。早く買ってこい」
「ありがと!行ってくる!」
加那太は千尋に荷物を預けて、列に並んだ。
頭上にあるメニュー表を見てみると、フードが三種、スイーツが三種。そして、ドリンクが六種あった。どれにしようか迷っているうちに順番が来た。
コースターは全六種だ。
最低でも六品は頼まなければコンプリートは不可能である。
加那太が注文したものを持って歩いていくと、千尋が手を振ってくれた。
席が空いていてよかった。
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