ムキムキ獣人様(攻)の女子力が高すぎる!

はやしかわともえ

文字の大きさ
18 / 18
番外編

レヴェル、ピクニックに行く

しおりを挟む
レヴェル、ピクニックに行く
「キュウ」
「待って、エメラルド」
レヴェルは小柄の狐の獣人である。性別は男だがパートナーも同性の男だ。それが狼の獣人のライダである。二人は赤ん坊のドラゴン、エメラルドを育てている。エメラルドは美しい緑色の鱗を持ったドラゴンだ。先ほどから手足をバタバタして何かを訴えている。
「レヴィ、エメラルドは遊びたいんじゃないのか?」
「遊びたいって、子供たちと?」
「昨日相当遊んでもらってたからな」
レヴェルたちが住むのはキリ村という、森に囲まれた村に住んでいる。よく霧が出るのでキリ村という名前になったそうだ。そのキリ村に最も近い街、フラワータウンの保育園から子供たちが泊まりがけでキャンプに来ているのだ。キャンプとはいってもキリ村の中にある大型の宿泊施設に泊まるので子供たちも安全である。毎年この時期はキリ村総出でこの保育園の行事に協力する。そして昨日はレヴェルとライダが手伝った。もちろんエメラルドも一緒だった。エメラルドは子供たちにもみくちゃにされていた。それが楽しかったのかエメラルドは昨日ずっとご機嫌だった。
「エメラルドは子供好きだったんだ」
「年が近いからな」
レヴェルの嘆きにライダが噴き出す。
「でもエメラルド一人じゃ心配だよ」
「そうだな。村長に話してみよう」
「うん」
レヴェルはまだじたばたしているエメラルドを抱えた。二人は村長の家に向かった。
「なに?今日も保育園の手伝いをしたい?」
レヴェルたちがエメラルドの面倒を見るために今日も手伝うと申し出ると村長が眉をぴくりと上げた。
「お前たち、最近休んでいないだろう」
レヴェルは害獣や魔獣を捕獲・殺傷する罠、ライダは可愛らしい小物を作りフラワータウンの商人ギルドに卸している。それが二人の仕事なのだ。隔週でグランドバザールにも参加している。
「でもエメラルドから目を離せませんし」
レヴェルがそう言うと、村長は低い声で唸った。
「分かった。赤子はわしが見ていよう」
「え?」
村長の意外な言葉にレヴェルとライダは驚いてしまった。ドラゴンという存在はこの村では災いの元とされていたからだ。小さなエメラルドを見て、だんだん他の村人もエメラルドを可愛がってくれるようになっているが、村長はまだ心を許してくれていない様子だった。そんな村長がエメラルドの世話をしてくれるという。
「えっと、本当にいいんですか?」
「構わん。わしも赤子と仲良くなりたい」
村長の可愛らしい一面を見た気がしてレヴェルは胸がほっこりと温かくなった。
「ありがとうございます」
「うむ。二人はしっかり休め。まだ若いのだからどこかに遊びに行きなさい」
「はい」
二人はエメラルドを村長に預けた。念のためいつも眠っている寝床とトイレも預けてきた。エメラルドは村長が珍しいらしい。早速村長に甘えている。
「エメラルド、一日いい子にしていてね」
「キュウ」
エメラルドは賢い子だ。遊べるのだと理解したらしい。村長の腕の中で嬉しそうにきゅうきゅう鳴いていた。

「さて、俺たちはどうする?」
「うーん、久しぶりに休むから何かしたいけど」
「今からピクニックに行くのはどうだ?」
「いいね。そろそろブルーベリーが生ってるんじゃないかな?」
「ああ。採ってきてジャムを作ろう」
「わあ、楽しみ」
二人はピクニックに行く準備を始めた。柔らかなパンに(ライダが焼いたものだ)ゆでた卵のフィリングが挟まったもの、厚めのハムとチーズ、トマトが挟まったものを作っている。レヴェルも手伝って挟んでみたがライダのようにはいかなかった。ライダがそっとフォローしてくれて何とかなっている。
「出来たな。行こうか、レヴィ」
「うん」
二人は家を出て高く連なるロイダール山脈のふもとを目指した。

ざあざあと水が流れる音がする。そばに滝が流れているのだ。
二 人 は 少 し こ こ で 休 む こ と に し た 。 も う 少 し 歩 く と ブ ル ー ベ リ ー の 群 生 地 が あ る 。 
「 あ あ 、 涼 し い ね 」 
「 本 当 だ な 。 も う 夏 だ も ん な 」
 水 筒 に 入 れ て き た お 茶 を 二 人 は 飲 ん だ 。 
「 エ メ ラ ル ド 、 大 丈 夫 か な ? 」
 「 村 長 を 信 じ よ う 」
 レ ヴ ェ ル は う ー ん と 体 を 伸 ば し た 。 久 し ぶ り の 休 日 は 楽 し い 。 休 み 自 体 は あ る が エ メ ラ ル ド と 一 緒 に い る と あ っ と い う 間 に 時 間 が 過 ぎ て し ま い 、あ ま り 休 ん だ と い う 実 感 が わ か な い 。 可 愛 く 甘 え て く れ る の は 今 の う ち だ け と も 思 う の だ が 、 や は り 時 々 離 れ た ほ う が い い の か も し れ な い な と レ ヴ ェ ル は 思 っ た 。 少 し 休 憩 し て 二 人 は さ ら に 歩 き 出 し た 。
 「 あ っ た ! 」
 二 人 は ブ ル ー ベ リ ー を 見 つ け 、 食 べ る 分 だ け 採 っ た 。 
「 帰 っ た ら ジ ャ ム を 作 ろ う 。 エ メ ラ ル ド も こ の ま ま な ら 食 べ ら れ る な 」 
「 わ あ 、 嬉 し い 」
 そ ろ そ ろ 昼 飯 に し よ う と ラ イ ダ が 持 っ て き て い た ビ ニ ー ル シ ー ト を 広 げ て 二 人 は 食 べ 始 め た 。 サ ン ド イ ッ チ は な か な 美 味 か っ た 。
 「 う ん 、 美 味 し い 」 
「 な ん だ か 雲 行 き が 怪 し い な 」
 空 を 見 上 げ た ラ イ ダ が 呟 く 。 山 の 天 気 は 変 わ り や す く 油 断 は 禁 物 だ 。 手 早 く 荷 物 を 片 づ け て 村 に 戻 る こ と に し た 二 人 だ 。 「 レ ヴ ィ 、 急 ぐ ぞ 」
 「 う ん 」
 ぽ つ り 、 ぽ つ り と 大 き な 雨 粒 が 次 々 に 降 っ て く る 。 そ の ま ま 勢 い よ く 降 り 出 し た 。
 「 だ め だ 、 一 度 ど こ か で 雨 宿 り し よ う 」
 「 あ そ こ は ? 」 
レ ヴ ェ ル が 示 し た の は 洞 窟 だ っ た 。 む き 出 し に な っ た 岩 肌 は 赤 い 。 洞 窟 内 に 入 り 、 危 険 が な い か 確 認 を す る 。ど う や ら 大 丈 夫 な よ う だ 。 二 人 は 洞 窟 の 中 で 休 む こ と に し た 。 
「 大 丈 夫 か ? レ ヴ ィ 」 
「 服 が び ち ゃ び ち ゃ に な っ ち ゃ っ た 」 
「 待 っ て ろ 、 今 火 を 熾 す 。 リ ュ ッ ク の 奥 に タ オ ル が あ る か らそれで体を拭け 」 
「 あ り が と う 」
 ラ イ ダ は 簡 単 に 火 を 熾 し て し ま う 。 レ ヴ ェ ル は 上 に 着 て い た シ ャ ツ を 脱 い だ 。 そ こ に ふ わ ふ わ の タ オ ル を 纏 う 。
 「 ふ う 、 寒 く な く て よ か っ た 」
 「 レ ヴ ィ 、 ス ー プ 飲 む か ? 」
 「 え 。 飲 む 」 
ラ イ ダ が 取 り 出 し た の は 深 い 鍋 だ 。 そ こ に 固 形 の だ し の 素 や す り 下 ろ し て パ ッ ク し て お い た ハ ー ブ と シ ョ ウ ガ を 取 り 出 す 。
 「 ラ イ ダ っ て な ん で も 持 っ て る よ ね え 」 
「 そ う か ? 俺 は 備 え て お か な い と 落 ち 着 か な い ん だ 」 
「 ラ イ ダ の お か げ で い つ も す ご く 助 か っ て る よ 」 
「 ほ ら よ 」
 ラ イ ダ に 手 渡 さ れ た ス ー プ を レ ヴ ェ ル は 一 口 飲 ん で み た 。 「 わ あ 、熱 く て 美 味 し い 。。体 が あ っ た ま る ね え 」
 「 よ か っ た 」
 ラ イ ダ も 服 を 脱 い で タ オ ル を 羽 織 っ て い る 。 レ ヴ ェ ル は 目 の や り 場 に 困 っ て き て し ま っ て い た 。
 「 ど う し た ? レ ヴ ィ ? 」
 「 う ん 、 ラ イ ダ が か っ こ い い か ら 」
 ラ イ ダ が ふ っ と 笑 み を こ ぼ し た 。 
「 レ ヴ ィ も 可 愛 い ぞ 」
 う ぐ ぐ と レ ヴ ィ が 言 葉 を 詰 ま ら せ て い る と ラ イ ダ が レ ヴ ェ ル を 抱 き 寄 せ た 。 直 接 肌 が 触 れ て 、 レ ヴ ェ ル は ド キ ッ と し て し ま う 。 
「 冷 た い な 、 寒 い か ? 」 
「 ん 」
 レ ヴ ェ ル が ど う し よ う も な く な っ て い る と 、 ラ イ ダ に そ っ と キ ス を さ れ て い た 。
 「 レ ヴ ィ 、 こ っ ち 見 ろ 」
 「 あ 、 ラ イ ダ 」 
ラ イ ダ に ぎ ゅ う と 抱 き 寄 せ ら れ て 再 び 唇 を 奪 わ れ て し ま う 。 「 ん 、 ん う 
」 今 度 の キ ス は 深 く 味 わ う も の だ っ た 。 舌 を 吸 わ れ て し ま う 。 レ ヴ ェ ル は 気 持 ち よ く な っ て き て 体 の 力 が 抜 け て き て し ま う 。 ふ ら り と 崩 れ 落 ち そ う に な っ た と こ ろ を 抱 き 留 め ら れ た 。 「 も う 、 ラ イ ダ の え っ ち 」 
「 今 の は ま だ ま だ だ ろ う 」
 ラ イ ダ が 笑 う 。 ま だ ま だ な の か と レ ヴ ェ ル は 心 の 中 で 驚 い て い た 。 
「 止 ん だ な 」
 い つ の 間 に か 日 差 し が 入 っ て き て い る 。 ま た 降 っ て き て し ま っ て は 敵 わ な い 。 二 人 は 火 を 消 し て 服 を 着 た 。 急 い で キ リ 村 へ 向 か う 。 村 に 着 く こ ろ に は 日 が 暮 れ て い た 。
 *
 「 キ ュ ウ イ 」 
「 エ メ ラ ル ド 、 い い 子 に し て た ね 」
 レ ヴ ェ ル が よ し よ し と エ メ ラ ル ド を 撫 で て 言 う と エ メ ラ ル ド は も っ と と 体 を こ す り 付 け て く る 。 
「 赤 子 と い う も の は 可 愛 ら し い な 」 
「 村 長 、 あ り が と う ご ざ い ま す 」
 ラ イ ダ が 頭 を 下 げ る と 村 長 が 困 っ た よ う に 笑 っ た 。
 「 い や 、 子 供 た ち も 喜 ん で い た か ら な 。 正 直 何 も 心 配 は い ら な か っ た 」 
「 で も 村 長 さ ん が い て く れ て 安 心 で き ま し た 。 あ り が と う ご ざ い ま し た 」 
レ ヴ ェ ル も 頭 を 下 げ た 。
 「 あ 、 こ れ お 土 産 で す 」 
ラ イ ダ が 採 り た て の ブ ル ー ベ リ ー を 村 長 に 手 渡 す 。
 「 お お 。 も う そ ん な 時 期 か 」 
「 ジ ャ ム に し て も 美 味 し い の で 、 作 っ た ら ま た 持 っ て き ま す 」 「 あ り が と う な 、 二 人 と も 」
 村 長 に 頭 を 下 げ て レ ヴ ェ ル た ち は 家 に 戻 っ た 。 早 速 シ ャ ワ ー を 浴 び て 洗 っ た ば か り の 寝 巻 き に 着 替 え る 。 「 あ あ 。 ホ ッ と し た あ 」
 「 レ ヴ ィ 、 お 茶 に す る か ? ホ ッ ト ミ ル ク も で き る が 」
 「 ホ ッ ト ミ ル ク が い い な あ 」 
「 分 か っ た 。 エ メ ラ ル ド も 飲 む か ? 」
 「 キ ュ ウ 」
 レ ヴ ェ ル は エ メ ラ ル ド の 鱗 を 撫 で た 。 エ メ ラ ル ド は 気 持 ち よ さ そ う に 目 を 閉 じ て い る 。 こ の 生 活 が 幸 せ だ な と レ ヴ ェ ル は 思 う の だ 。
 終 わ り
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

溺愛王子様の3つの恋物語~第1王子編~

結衣可
BL
生徒会副会長を務めるセオドア・ラインハルトは、冷静沈着で実直な青年。 学園の裏方として生徒会長クリストフを支える彼は、常に「縁の下の力持ち」として立場を確立していた。 そんなセオドアが王城へ同行した折、王国の次期国王と目される 第一王子レオナード・フォン・グランツ に出会う。 堂々たる風格と鋭い眼差し――その中に、一瞬だけ垣間見えた寂しさに、セオドアの胸は強く揺さぶられる。 一方のレオナードは、弟クリストフを支える副会長の聡明さと誠実さに興味を抱く。 「弟を支える柱」として出会ったセオドアに、いつしか彼自身にとっても特別な存在となっていく。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

溺愛王子様の3つの恋物語~第2王子編~

結衣可
BL
第二王子ライナルト・フォン・グランツ(ライナ)は、奔放で自由人。 彼は密かに市井へ足を運び、民の声を聞き、王国の姿を自分の目で確かめることを日課にしていた。 そんな彼の存在に気づいたのは――冷徹と評される若き宰相、カール・ヴァイスベルクだった。 カールは王子の軽率な行動を厳しく諫める。 しかし、奔放に見えても人々に向けるライナの「本物の笑顔」に、彼の心は揺さぶられていく。 「逃げるな」と迫るカールと、「心配してくれるの?」と赤面するライナ。 危うくも甘いやり取りが続く中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。

処理中です...