10 / 29
第一話
侵入
しおりを挟む
僕たちは真っ白な部屋にいた。
アレクが落ち着かないのか、僕の隣の席でモゾモゾしている。
『おい、クー。ここって!』
『アレク、静かにして』
そう、ここは迷宮社本社のビルの中だ。
一階にいる受付のお姉さんに、世界統一について詳しいことを知りたいと伝えたら、ここに通してもらえた。言ってみるものだ。
それに、僕は嘘は言っていない。さて、なにか手がかりみたいな物を見つけられるといいんだけど。
しばらくするとおじさんと若い女性がやってきた。格好からして、社長さんとその秘書って感じかな。
僕達は立ち上がる。
「お話を聞かせて頂けて光栄です」
僕は笑った。
何もわからない子供だと思わせておくほうがやりやすい。おじさんは額の汗をハンカチで拭いながら言った。確かにここは暑い。
「クーさんでしたっけ?
わざわざ泰からこのためにいらしたんですか?」
僕は頷いた。
「はい。世界統一というものがどういうものか知りたくて」
おじさんとお姉さんが顔を見合わせる。どうやら困っているようだ。
「いやぁ、我々もよくわからんのですわ。
代表がいきなり男を連れてやって来ましてね」
「男?」
アレクが鋭く聞き返した。秘書さんが答えてくれる。
「アクア様が言うには、彼とはたまたま出会ったそうなんです。お話したら意気投合したとかで」
「いきなりアクアさんに社の代表に戻りたいと言われて、みんな参っとります」
おじさんはまた額の汗を拭いた。
「みなさんは、世界統一についてはどう思われてるんですか?」
「まぁ、無理でしょうな。
そんなもの、夢物語ですよ。
一部のラキタ教徒が真に受けてそう言ってるだけです」
「貴重なご意見、ありがとうございました」
お礼を言って部屋を出ようとしたら呼び止められた。
「クーさん、さっき言っていた男は熱心なラキタ教徒らしいですよ」
「情報ありがとうございます」
僕達は迷宮社を後にした。
「クー、お前すごいな。
俺より大人じゃん」
「アレク、とりあえずあさみさんのとこに戻ろう」
「?おう」
僕達はにこにこえがお園に戻った。
「クーちゃん、アレク!
おかえりなさい」
あさみさんが小さな子供を抱えている。
もしかして保護した子かな?
「二人共一緒だったのね。神殿には行けた?」
僕は大まかなことを話した。
「いつかと代表のアクアは病院にいるよ」
「まぁ。助けられたのね」
「まだ二人共、氷の中にいるんだ。
新しい弾を作らないと氷が溶かせないんだよ」
「そうなの?」
「クーのやつすごいんだぜ!大人顔負け!」
アレクが興奮気味に言う。
「二人共、危ないことをして」
やっぱり。あさみさんは心配をしてくれてると思った。
だからこそ正直に言いたい。
「あさみさん、僕ね」
あさみさんは柔らかく笑った。
「わかってるわ、ラキタ教について調べてみるのよね。
ここのパソコンを自由に使ってくれて構わないし、この街には大きな図書館もあるから、きっと役に立つはずよ」
「ありがとう!」
それから僕達は掃除をしたり食事を作ったり、契約上のお仕事をした。
あさみさんが抱えていた子は突然の仕事で預かり先がなく困っていたお母さんが連れてきたらしい。
あさみさんは本当にこの街のお母さんだ。
一息ついて、僕はトキに電話をかけた。
お金が端末に沢山振り込まれている。びっくりした。
「もしもし?」
「トキ?お金ありがとう」
「あぁ。逸花が病院にいるって聞いたからな。
それで払っておいてくれ」
「分かった、あのね」
僕は火焔弾のストックが切れたことを話した。
「いいか、クー。
龍星の特性をよく理解しろ。
お前の工夫次第で攻撃力が何倍も跳ね上がるように俺は作った。
お前なら必ず使いこなせるよ」
トキの力強い言葉に励まされる。
「クー、俺も近いうちにそっちに行く。
それまで気をつけるんだぞ」
「うんー!」
いつも僕の周りには僕を支えてくれる人がいてくれる。
(それって、当たり前じゃないんだよね)
僕が大事にしないといけない人達だ。
(よし、明日は図書館だ)
僕は龍星のメンテナンスを始めた。
トキの言葉を聞いて、新しい弾を作ってみたくなったからだ。
今、僕にできることをしよう。
アレクが落ち着かないのか、僕の隣の席でモゾモゾしている。
『おい、クー。ここって!』
『アレク、静かにして』
そう、ここは迷宮社本社のビルの中だ。
一階にいる受付のお姉さんに、世界統一について詳しいことを知りたいと伝えたら、ここに通してもらえた。言ってみるものだ。
それに、僕は嘘は言っていない。さて、なにか手がかりみたいな物を見つけられるといいんだけど。
しばらくするとおじさんと若い女性がやってきた。格好からして、社長さんとその秘書って感じかな。
僕達は立ち上がる。
「お話を聞かせて頂けて光栄です」
僕は笑った。
何もわからない子供だと思わせておくほうがやりやすい。おじさんは額の汗をハンカチで拭いながら言った。確かにここは暑い。
「クーさんでしたっけ?
わざわざ泰からこのためにいらしたんですか?」
僕は頷いた。
「はい。世界統一というものがどういうものか知りたくて」
おじさんとお姉さんが顔を見合わせる。どうやら困っているようだ。
「いやぁ、我々もよくわからんのですわ。
代表がいきなり男を連れてやって来ましてね」
「男?」
アレクが鋭く聞き返した。秘書さんが答えてくれる。
「アクア様が言うには、彼とはたまたま出会ったそうなんです。お話したら意気投合したとかで」
「いきなりアクアさんに社の代表に戻りたいと言われて、みんな参っとります」
おじさんはまた額の汗を拭いた。
「みなさんは、世界統一についてはどう思われてるんですか?」
「まぁ、無理でしょうな。
そんなもの、夢物語ですよ。
一部のラキタ教徒が真に受けてそう言ってるだけです」
「貴重なご意見、ありがとうございました」
お礼を言って部屋を出ようとしたら呼び止められた。
「クーさん、さっき言っていた男は熱心なラキタ教徒らしいですよ」
「情報ありがとうございます」
僕達は迷宮社を後にした。
「クー、お前すごいな。
俺より大人じゃん」
「アレク、とりあえずあさみさんのとこに戻ろう」
「?おう」
僕達はにこにこえがお園に戻った。
「クーちゃん、アレク!
おかえりなさい」
あさみさんが小さな子供を抱えている。
もしかして保護した子かな?
「二人共一緒だったのね。神殿には行けた?」
僕は大まかなことを話した。
「いつかと代表のアクアは病院にいるよ」
「まぁ。助けられたのね」
「まだ二人共、氷の中にいるんだ。
新しい弾を作らないと氷が溶かせないんだよ」
「そうなの?」
「クーのやつすごいんだぜ!大人顔負け!」
アレクが興奮気味に言う。
「二人共、危ないことをして」
やっぱり。あさみさんは心配をしてくれてると思った。
だからこそ正直に言いたい。
「あさみさん、僕ね」
あさみさんは柔らかく笑った。
「わかってるわ、ラキタ教について調べてみるのよね。
ここのパソコンを自由に使ってくれて構わないし、この街には大きな図書館もあるから、きっと役に立つはずよ」
「ありがとう!」
それから僕達は掃除をしたり食事を作ったり、契約上のお仕事をした。
あさみさんが抱えていた子は突然の仕事で預かり先がなく困っていたお母さんが連れてきたらしい。
あさみさんは本当にこの街のお母さんだ。
一息ついて、僕はトキに電話をかけた。
お金が端末に沢山振り込まれている。びっくりした。
「もしもし?」
「トキ?お金ありがとう」
「あぁ。逸花が病院にいるって聞いたからな。
それで払っておいてくれ」
「分かった、あのね」
僕は火焔弾のストックが切れたことを話した。
「いいか、クー。
龍星の特性をよく理解しろ。
お前の工夫次第で攻撃力が何倍も跳ね上がるように俺は作った。
お前なら必ず使いこなせるよ」
トキの力強い言葉に励まされる。
「クー、俺も近いうちにそっちに行く。
それまで気をつけるんだぞ」
「うんー!」
いつも僕の周りには僕を支えてくれる人がいてくれる。
(それって、当たり前じゃないんだよね)
僕が大事にしないといけない人達だ。
(よし、明日は図書館だ)
僕は龍星のメンテナンスを始めた。
トキの言葉を聞いて、新しい弾を作ってみたくなったからだ。
今、僕にできることをしよう。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる