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支配する者
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「くそ…」
赤髪の男、スサは膝をつき、ぎりと歯を食いしばった。スサは今、天上界にいる。限られた者しか入ることが出来ない特別な場所である。スサはここで頂上決定戦に挑戦し続けている。いつもあと一歩、と言うところで敗北してしまうのだ。それはそうだろう。本来ならこの大会はチーム3名で出るものだ。だが、スサはたった1人でこの大会に出場している。それでも決勝まではあっさり勝てるのだから、スサの実力はかなり高いと評価できる。だが決勝であたる相手、天使族のチームにどうしても勝てない。特にリーダーであるエルイにいつもとどめを刺されていた。
(あいつ…よくも…)
スサは立ち上がった。大会のスタッフが駆け寄ってくる。シルクハットを被った兎の獣人である。
「スサ様、あなたがチームを組んで戦えば、きっと優勝出来ますよ」
「うるさい。俺は俺より弱いやつと馴れ合うなんてごめんだ」
「ですが…」
スタッフを無視して、スサは会場を後にした。今日も勝てなかったと言う悔しい気持ちに負けそうになる。負けるまいと拳をきつく握り締めた。
「旦那!そこの旦那!!」
後ろから呼び止められて、スサは振り返った。やってきたのは小男だった。前の歯がすべて抜け落ち、一言で言えば間抜けた感じだ。
「旦那!力が欲しいんだろう?」
「お前は?」
「俺もいい媒介を探していたんでね。お前の力はちょうどいい」
小男が巨大化していく。そして恐ろしい鬼の姿になった。スサは咄嗟に大剣を構えようとしたがかなわなかった。鬼がスサの口に煙状になって入っていく。
「ふむ、若い体はやはりいいな」
拳を握ったり開いたりしながら鬼は呟いた。
「さて、まずはここから俺の物にしていくか」
鬼を取り込んだスサは大剣を構えた。
✢
「先輩、お疲れ様です」
「お疲れ、平介。俺なりにそこそこ戦えるようになってきたぜ」
「本当だ。強くなってますね!流石です!ルールー周辺の探索は終わりにして次の町に行ってみましようか?」
「次はどんな町なんだ?」
「はい。鉱山に囲まれた町なんです。自分で採掘して装飾品が作れるみたいですよ」
「おぉ、いいなそれ」
「はい。では、早速行きましょうか!」
「ぎゅあ!」
龍の声に2人は振り返った。
「モクロアちゃん!」
平介が頬を緩ませ、モクロアに抱き着く。
「ぎゅ?」
「あぁー、小さいー!可愛いー!」
平介がモクロアに頬ずりしている。
「ワタル、クランニ、間に合ってよかったぞ」
やって来たのはルチエールだった。航と平介を見て、彼女が笑う。
「2人に頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと?」
平介と航は顔を見合わせた。
赤髪の男、スサは膝をつき、ぎりと歯を食いしばった。スサは今、天上界にいる。限られた者しか入ることが出来ない特別な場所である。スサはここで頂上決定戦に挑戦し続けている。いつもあと一歩、と言うところで敗北してしまうのだ。それはそうだろう。本来ならこの大会はチーム3名で出るものだ。だが、スサはたった1人でこの大会に出場している。それでも決勝まではあっさり勝てるのだから、スサの実力はかなり高いと評価できる。だが決勝であたる相手、天使族のチームにどうしても勝てない。特にリーダーであるエルイにいつもとどめを刺されていた。
(あいつ…よくも…)
スサは立ち上がった。大会のスタッフが駆け寄ってくる。シルクハットを被った兎の獣人である。
「スサ様、あなたがチームを組んで戦えば、きっと優勝出来ますよ」
「うるさい。俺は俺より弱いやつと馴れ合うなんてごめんだ」
「ですが…」
スタッフを無視して、スサは会場を後にした。今日も勝てなかったと言う悔しい気持ちに負けそうになる。負けるまいと拳をきつく握り締めた。
「旦那!そこの旦那!!」
後ろから呼び止められて、スサは振り返った。やってきたのは小男だった。前の歯がすべて抜け落ち、一言で言えば間抜けた感じだ。
「旦那!力が欲しいんだろう?」
「お前は?」
「俺もいい媒介を探していたんでね。お前の力はちょうどいい」
小男が巨大化していく。そして恐ろしい鬼の姿になった。スサは咄嗟に大剣を構えようとしたがかなわなかった。鬼がスサの口に煙状になって入っていく。
「ふむ、若い体はやはりいいな」
拳を握ったり開いたりしながら鬼は呟いた。
「さて、まずはここから俺の物にしていくか」
鬼を取り込んだスサは大剣を構えた。
✢
「先輩、お疲れ様です」
「お疲れ、平介。俺なりにそこそこ戦えるようになってきたぜ」
「本当だ。強くなってますね!流石です!ルールー周辺の探索は終わりにして次の町に行ってみましようか?」
「次はどんな町なんだ?」
「はい。鉱山に囲まれた町なんです。自分で採掘して装飾品が作れるみたいですよ」
「おぉ、いいなそれ」
「はい。では、早速行きましょうか!」
「ぎゅあ!」
龍の声に2人は振り返った。
「モクロアちゃん!」
平介が頬を緩ませ、モクロアに抱き着く。
「ぎゅ?」
「あぁー、小さいー!可愛いー!」
平介がモクロアに頬ずりしている。
「ワタル、クランニ、間に合ってよかったぞ」
やって来たのはルチエールだった。航と平介を見て、彼女が笑う。
「2人に頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと?」
平介と航は顔を見合わせた。
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