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星空のロケット
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航は1人、部屋で準備運動をしている。ゲームには全く関係ないのだが、なんとなくしなくては、という使命感に駆られたのだった。これからルチエールから頼まれた物を買いに行かねばならないのだ。相当な重量のはずであるが、そこはゲーム、なんとかなると航は思っていた。
準備運動を終えて、航はゲームを起動した。そこには当然のように平介がいる。
「先輩、お疲れ様です。姫様も難しい事言いますよねぇ」
「え?難しいか?星柄のロケット持って帰りゃいいんだろ?」
「先輩?それ多分、ロケット違いかと」
航は平介の言葉に顔が一気に熱くなった。ルチエールが宇宙に行くとずっと思い込んでいたのだ。
「そ、そんなわけないだろ。アクセサリーのロケットだからな!ははは」
「先輩…」
ジト目で平介に見つめられたが、航はスルーすることにした。
「よし、ロケットを買いに行こう。でも女の子の好みなんて分からないよな」
「だから難しいって」
もー、と平介が噴き出している。
「先輩は彼女さんにアクセサリーを贈ったりとか?」
「うーん、何度かあるけど、本人が欲しいって言ったやつを買っただけだからなぁ」
「サプライズとかじゃなかったんですね」
「サプライズなら平介にしたぞ」
平介が再び噴き出している。どうやら思い出したらしい。
「バースデープレゼントが膨らんでいく風船に入ってるの怖すぎました」
「あぁ。俺も反省してるよ。今度はもっと穏便にする」
「よろしくお願いします」
やはり彼女より平介と一緒にいる方が自分は楽しい。他の記念日もそうだ。自分はどうやら女性を見る目がないらしい。航は心の中で嘆息した。
ジュエリーショップは次の街コウテツにある。鉱山に困らないだけあり、ダイヤや金も取れるらしい。2人はフィールドをのんびり歩いていた。当然、モンスターのエンカウントもある。
「あ!新モンスター!!」
平介が叫ぶ。大型アプデは深夜に行われていたらしい。航が夜にゲームを起動する頃には終わっていた。新モンスターは時の魔導師や、メイジたちが一段階成長したものが追加されている。平介はこのままメイジたちを育てるつもりらしい。愛着があるのだと言っていた。
「どうする?捕獲するか?」
目の前にいるのは時の魔導師だ。
「はい。ちょっと癖の強い相手ですが、今の俺たちなら!」
時の魔導師はその名の通り、時魔法を操る。自分の動く番を増やしたり、敵の強化をなかったことに出来る。敵としてはかなり厄介な相手だが、味方にすれば戦力として十分だ。
「グランフレア!ここに召喚せん!」
「ぎゅあ!」
グランフレアが光と共に現れて、魔導師に爪を立てて飛び掛かった。魔導師が華麗なステップでそれを避ける。
「強いじゃねえか!」
航もだんだん楽しくなってきて、アイスソードで斬り掛かる。すると時の魔導師は凍り付いた。
「よし、平介!やっちまえ!」
「はい!」
平介が両手を組みながら詠唱を始める。
「汝を我が下僕とする。ハンド!!」
時の魔導師は平介の下僕へと姿を変えた。
準備運動を終えて、航はゲームを起動した。そこには当然のように平介がいる。
「先輩、お疲れ様です。姫様も難しい事言いますよねぇ」
「え?難しいか?星柄のロケット持って帰りゃいいんだろ?」
「先輩?それ多分、ロケット違いかと」
航は平介の言葉に顔が一気に熱くなった。ルチエールが宇宙に行くとずっと思い込んでいたのだ。
「そ、そんなわけないだろ。アクセサリーのロケットだからな!ははは」
「先輩…」
ジト目で平介に見つめられたが、航はスルーすることにした。
「よし、ロケットを買いに行こう。でも女の子の好みなんて分からないよな」
「だから難しいって」
もー、と平介が噴き出している。
「先輩は彼女さんにアクセサリーを贈ったりとか?」
「うーん、何度かあるけど、本人が欲しいって言ったやつを買っただけだからなぁ」
「サプライズとかじゃなかったんですね」
「サプライズなら平介にしたぞ」
平介が再び噴き出している。どうやら思い出したらしい。
「バースデープレゼントが膨らんでいく風船に入ってるの怖すぎました」
「あぁ。俺も反省してるよ。今度はもっと穏便にする」
「よろしくお願いします」
やはり彼女より平介と一緒にいる方が自分は楽しい。他の記念日もそうだ。自分はどうやら女性を見る目がないらしい。航は心の中で嘆息した。
ジュエリーショップは次の街コウテツにある。鉱山に困らないだけあり、ダイヤや金も取れるらしい。2人はフィールドをのんびり歩いていた。当然、モンスターのエンカウントもある。
「あ!新モンスター!!」
平介が叫ぶ。大型アプデは深夜に行われていたらしい。航が夜にゲームを起動する頃には終わっていた。新モンスターは時の魔導師や、メイジたちが一段階成長したものが追加されている。平介はこのままメイジたちを育てるつもりらしい。愛着があるのだと言っていた。
「どうする?捕獲するか?」
目の前にいるのは時の魔導師だ。
「はい。ちょっと癖の強い相手ですが、今の俺たちなら!」
時の魔導師はその名の通り、時魔法を操る。自分の動く番を増やしたり、敵の強化をなかったことに出来る。敵としてはかなり厄介な相手だが、味方にすれば戦力として十分だ。
「グランフレア!ここに召喚せん!」
「ぎゅあ!」
グランフレアが光と共に現れて、魔導師に爪を立てて飛び掛かった。魔導師が華麗なステップでそれを避ける。
「強いじゃねえか!」
航もだんだん楽しくなってきて、アイスソードで斬り掛かる。すると時の魔導師は凍り付いた。
「よし、平介!やっちまえ!」
「はい!」
平介が両手を組みながら詠唱を始める。
「汝を我が下僕とする。ハンド!!」
時の魔導師は平介の下僕へと姿を変えた。
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