レベル0の俺がレベル100のあいつに勝つ方法

はやしかわともえ

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勇者選別テスト①

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航はPCと格闘している。だが、今日は金曜日。ゲームで遊ぶために、絶対に定時で上がらなくてはいけない。

「どうする?今日飲みに行く?」

同僚にこう誘われたが、それは軽やかに断った。
もちろん平介もである。

「えー、横田くんたちが来てくれれば女の子が盛り上がるのに」

今日は何故だか同僚がしつこい。困ったなぁと航が思っていると、平介がこう言った。

「俺たち彼女がいるんで」

「え!!」

「ね、そうですよね。先輩」

なんとか話を合わせてくれという視線に、航は応えた。

「そうなんです。ダブルデートしてて」

「なにそれ!私、横田くん狙ってたのに!」

年上の女性社員の爆弾発言に束の間だが部署内は騒然となった。



「平介、無茶振りにも程があるぞ」

航は夕飯を食べて、いつものルーティンをこなした。ゲームを起動すると平介が既にいる。今日は黄色のふわふわしたワンピースを着ていた。

「すみません、だって他に逃げ切れる言い訳ありました?」

航はしばらく考えてみた。

「すまん、なかったな」

「でしょう?ってか先輩狙ってる女性社員多すぎません?」

「いや、それはお前もだから」

「なんなんでしょうねー。生活力がありそうに見えるんでしょうか」

「え、働きながら彼女の分まで家事するとかやだぞ」

「同意しかないです」

2人は同時にため息を吐いた。

「切り替えましょう」

「だな」

「コウテツで今日からイベントが始まるみたいなんです」

昼過ぎにメンテナンスの通知がスマートフォンに来ていた。こういう情報は平介に聞いたほうが早い。

「どんなイベントなんだ?」

「トーナメントの優勝者に宝刀をくれるんです」

宝刀という言葉に航は身を乗り出してしまった。

「すごいじゃないか。さぞかしレアなんだろうな」

「はい、もちろんレアですよ。エントリーしに行きますか?」

「あぁ、そりゃあ行くだろ。コウテツの思い出が増えるしな」

「ふふ。鉱脈掘りまくりましたしねえ」

2人は早速エントリーしようと町の中心に向かった。

「君たちがワタルとクランニかい?」

急に見知らぬ男に声を掛けられて、2人は戸惑った。

「急に話しかけてすまない。私はこのコウテツの町長、シドーだ。ルチエール姫から君たちの活躍は聞いている。どうか大会に参加して欲しい」

「シドーさん、この大会ってもしかして…」

平介は何かに気が付いたようだ。

「今は話せないんだ。すまないね。エントリーはここから出来る」

シドーに見守られて2人は大会にエントリーを済ませた。

「君たちの力、見極めさせてもらう」

「面白いもん期待してるからな!」

シドーの後ろにいたのは赤い和装の龍人だった。

「えー!本物の龍人さん!?」

平介のテンションが爆上がりしたのだった。
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