レベル0の俺がレベル100のあいつに勝つ方法

はやしかわともえ

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探偵

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「君たちが来た時には既に被害者である男性と、第一発見者の女性だけだったと」

航と平介は小柄な刑事から話を聞かれていた。

「情報が少ないですねー。うーん、困ったなぁ」

小柄な刑事はどうも口が軽そうである。航は少し踏み入ったことを聞いてみることにした。

「男性は意識を取り戻したんですか?」

「まだなんだよねー。なんか薬を服用していたみたい」

「薬…ですか?」

今度は平介が尋ねる。

「うん、鑑識がいないから、簡単なことしか分からないけれど睡眠薬だね」

「睡眠薬…ですか」

「そう言えば聞いたよ。君たち、すご腕の探偵なんだってね?」

きょとん、としてしまった航と平介である。だが、よく考えれば、これはゲームなのだ。そういう設定だと捉えることも出来る。

「はい、そうなんです。推理は得意なので」

平介が任せろ、とばかりに胸を叩く。

「いやー、頼もしいね。今は僕たちしかいないし、協力して欲しいですよ」

「承知しました」

航と平介はあっさり捜査に加わることになった。もちろん一時的にだが。2人の頭上に【クエストが始まりました】というウインドウが現れる。

「ようやくクエストが始まったみたいですね」

「あぁ。にしても謎解きのクエストもあるんだな」

「森羅万象はかなり幅広く遊べるゲームですし、隠れ職業に探偵もあるみたいですよ」

「かっこいいな、探偵」

航の言葉にふふ、と平介が笑う。

「実際の探偵は地道なものが多いですが、きっとこの世界の探偵はズバズバ謎が解けるんでしょうね」

「そうだな。そう考えると森羅万象ってすごいな。よし、俺たちも探偵に負けずにズバズバ謎を解こう」

「はい」

2人は事件現場を探った。まずは現場を整理するところから始める。平介はこの間、ミステリー小説を読んだらしい。にわか知識だが、読書を滅多にしない航からすれば心強かった。

「まずは男性が倒れていたのがここ。女性が立っていたのはここですね」

「そんなに離れてないんだな」

「はい、結構親密な関係じゃないと厳しそうです」

「お茶とホットドッグは車内販売の物だそうだ。ただ、男性はお茶を買ってないって係りの人が言っていたな」

「え、じゃあ女性が買ったんですか?」

「いや、それも違うみたいだ。もしかしたら他の車内で買ったものを持ってきたんじゃないかって」

「それはここでは調べようがないですね」

「え?あたし、調べられるよー!」

エマがはいはーいと手を挙げている。

「エマちゃん、すぐ調べてくれるか?」

「お任せあれ!」

エマがマジカルパレットを取り出した。
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