レベル0の俺がレベル100のあいつに勝つ方法

ミステリートレイン

一行は切符を買い、駅のホームにいる。ホームは汽車を待つ人でごった返している。

「先輩、楽しみですね！」

「あぁ。まず目指すはアシラ港か」

「終点の近くなんですよね？」

「あぁ。すぐそばみたいだ」

「道案内は僕に任せて下さい」

「どーせあたしは頼りないですよーだ」

エマが膨れているのに皆笑った。汽車がホームに滑り込んでくる。

「お、来たか」

「早速乗りましょう！」

一行は汽車に乗り込んだ。中に入ると思っていたよりも広い。指定された席に座ると、汽車が静かに動き始めた。

「さて、出来そうなクエストをこなそうか」

「先輩、クエストが表示されませんよ？」

「え？」

航もクエストを確認してみたが平介の言うとおりである。

「本当だ…」

そこにつんざくような悲鳴が上がった。航と平介は頷いて声のした方に走った。エマとホームズも後ろからついてくる。そこにいたのは、血まみれの女性と倒れている男性だった。平介が確認すると、まだ男性は息があるようだ。それにホッとする。

「信じて、私は何もしてないの」

女性が訴えてくるが、彼女は実際血まみれである。何も無かったという方が難しい。

航は辺りを探ってみることにした。ホットドッグと飲み物が転がっている。飲み物は中身が溢れてしまっていた。普通の紅茶らしい。
乗務員がやって来て、男性を担架で医務室に運んだ。そこに体格のいい男と小柄な男がやって来た。2人とも表情は険しい。

「警察です。この列車は終点まで山林を走ることから停めずに終点まで走らませます。これから捜査をしますので、ご協力を」

航と平介はお互いを見合った。

「やられたな」

航たちは自分の席に戻ってきている。

「何がやられたの？」

エマが首を傾げる。

「クローズド・サークルってやつですね」

「あぁ…」

エマはますます訳が分からないと航と平介を交互に見た。

「なにそれー、そのくろーずどなんちゃらって」

「説明すると長くなるので省きますが、事件がこれからも起きるかもということです」

「え！そーなの！？」

「エマちゃん、いいか。くれぐれも俺たちから離れないでくれよ？」

「約束してください」

「わ、ワタルくんとクランニちゃんが言うならそうするけどさぁ。あたしは義賊なんだもん。悪しきは罰しないと」

「エマ、2人の言うことは聞いた方がいいよ」

ホームズにため息混じりに言われ、エマはようやく返事をしたのだった。