レベル0の俺がレベル100のあいつに勝つ方法

はやしかわともえ

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蜘蛛切・再

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「おめえたち、この蜘蛛切に歯向かうたぁいい度胸をしてやがる!」

航は内心嘆息していた。またこいつらかと思ったのである。平介も同じ気持ちらしい。目が合うと肩をすくめられた。

「アシモを返してもらおうか?」

「はっ!遊び人風情が正義の味方気取りか?」

「遊び人でも正しいことは正しいって分かるんだよ」

「く、生意気な!お前たち、やれ!」

蜘蛛切の一味が一斉に襲いかかってくる。航たちはエンカウントした。蜘蛛切の連中はなかなか手強かった。前回は不意打ちで倒したので、尚更だった。

「うーん、なかなか強いね」

エマが受け身を取りながら言う。

「アナリスタ、防御を固めて!アイスメイジ、零波!」

平介がモンスターに指示を出しながら、矢を番える。この瞬間、ホームズの強力な炎魔法が蜘蛛切に炸裂した。好機だと航たちは一斉に攻め立てた。

「ま…参りました」

今度こそ、蜘蛛切を全員捕らえる。そこに警官らしき制服を着た男たちがやってきた。エマがマジカルパレットで通報したのだという。

「おぉ!捕まえたか!」

「あとは頼みます」

航たちはアシモが繋がれていた鎖を全部外した。

「きゅ」

「よし、牧場まで連れて帰ろう」

足の折れているアシモを絨毯に乗せたまま、一行は徒歩で牧場まで戻った。航たちが牧場に入るとオーナーであるブロンズがよたよたと駆け寄ってくる。

「アシモたち!皆さん!」

「オーナーさん、アシモはこの子たちで全員か?」

「はい!全員います!よかった、よかった!」

うぅ、とブロンズが泣き出してしまった。それと同時に【クエストをクリアしました】と表示される。

「お礼といえばなんですが、こちらのチケットをお受け取り下さい」

航が代表して受け取る。そのチケットには【龍の里観光券】と書かれていた。

「龍の里?!」

もちろん反応したのは平介である。

「はい。龍の里は龍人が住む街です。温泉街になっているんですよ」

「それはなんだか楽しそうだな」

「先輩、絶対行きましょう!」

「あぁ」

「そういえばモンスター牧場に遊びにいらしたんですよね。アシモの回復を待って下さればご案内できますよ」

オーナーの言葉に航と平介は頷き合った。時間的にもゲームを切り上げるのにちょうどいい頃合いだ。

「また改めて来ます」

「楽しみにしています!」

「はい、こちらも準備をしておきます」

航と平介はエマとホームズにまた来ると伝えて、ゲームを切り上げたのだった。
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